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【J2:第34節 横浜FC vs 山形 レポート】横浜FCは好調アレモンの2発で山形に今季3連勝。しかし、勝ったとはいえ多くの課題が残る。(06.08.20)

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8月19日(土) 2006 J2リーグ戦 第34節
横浜FC 2 - 1 山形 (19:04/三ツ沢/4,116人)
得点者:'10 アレモン(横浜FC)、'25 アレモン(横浜FC)、'72 レアンドロ(山形)
★ハイライト&会見映像は【こちら】
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横浜FCにとって「辛勝」という言葉が当てはまる試合だったかもしれない。前半2−0という理想的なかたちで折り返したが、後半は押し込まれる時間が続いた。しかも、相手は後半29分から10人になるという展開だったにも関わらず、試合のペースを握ることはなかった。後半のシュート数は横浜FCが3本であるのに対し山形は10本。数字が試合展開を顕著に物語る。

ゲームを通して主導権を握っていたのは山形だった。開始早々からペースを掴み、特に横浜FCの左SB小林の裏のスペースをうまく突きチャンスを作っていた。「開始5分まででシュートを」というチームの狙い通り、山形は中盤での細かなパス交換を軸に、積極的な攻めを見せた。

しかし、先制点は横浜FCに入る。横浜FCの右CKを防いだ山形はクリアすると同時にすばやく攻めに移る。ボールが横浜FC陣に向けて蹴り出されたとき、山形は3人の選手が反応したのに対し、横浜FC陣に残っているのは2人。ロビングの競り合いが鍵を握ることになった。
だが、空中戦は双方互角、ルーズボールにすばやくフォローに入ったのは横浜FCの滝澤だった。滝澤がすばやく前線に残っていた早川に展開すると、その早さに山形は対応できない。ディフェンスラインを揃えることができず、センターバック2人の間にポジションを取ったアレモンに見事なスルーパスがとおる。アレモンはそのボールを落ち着いてゴールに流し込み横浜FCが先取点をあげた。

その後も右サイドを起点に山形が攻めを見せる。右サイドのMFに入った臼井だけでなく、永井や渡辺が横浜FCの左SBの小林の後ろのスペースを狙って走り込む。だが、追加点もどちらかといえば押し込まれていた横浜FCに入った。

山形は右サイドからの攻撃で敵陣に入り込む。しかし、シュートまで至らずポゼッションを奪われてしまう。横浜FCもすばやく攻撃に移りたいものの、前線にはアレモンと中盤の選手で唯一すばやく反応した左サイドの滝澤のみ。だが、中盤でボールをキープした山口は滝澤に展開し、滝澤は中央にはアレモンしかいないにも関わらず、迷うことなくサイドで1対1を仕掛けた。状況は攻撃が2人に対し、守備がディフェンスラインの4人。普通ならチャンスにならないと思える状況だが、滝澤の積極性が活きる。ゴールキーパーとディフェンスラインの間に絶妙なクロスがあがり、アレモンは頭で合わせるだけでよかった。

後半に入ると、山形は右サイドのスペシャリスト佐々木勇人を投入し、臼井をサイドバックに下げ右サイドでさらに攻勢に出る。試合のペースは明らかに山形が握った。しかし、ポゼッションはもつものの、それぞれがドリブルに固執してしまい、単調な攻めに終始してしまう。スピードに乗った状態でオーバーラップするシーンはなく、フリーでセンタリングあげるシーンをつくることはできなかった。

「危険なボールさえ出させなければ良いと考えていた」という山口の言葉通り、ディフェンスは1対1を粘り強く対応すれば決定的なセンタリングを防ぐことができた。つまり、山形の攻撃も横浜FCのディフェンスを混乱に陥るほどの攻めではなく、シュートは打つものの決定的なシーンはCKからのヘディングシュートをゴールに入っていた山口が弾き返したシーンのみだった。

横浜FCもゴール前まで迫るシーンは見られた。しかし、それは本来であるならバウンドさせずにヘディングで処理するゴールキックなどの高いボールの処理を、上空で風が舞っていたためか山形のディフェンダーが目測を誤ったことが原因。アレモンがディフェンスラインの裏へ抜け出すシーンが何度か生まれたが、後半は組織として攻撃がうまくいったシーンは少なく、城の閃きか、右サイドの崔が鋭い突破を見せるのみだった。

これから上位チームとの対決が数多く控える横浜FCにとって、能動的にゲームの流れをコントロールできなかったというのはあまり嬉しくない結果だ。1点返された直後、山形に退場者が出て10人になったのは、流れを取り戻す大きなチャンスだった。しかし、態勢が変化するようなプレーも無く、またズルズルと相手のペースに持ち込まれてしまったのは大きな課題だろう。またアレモンを1トップに据えることで2得点はしたものの、攻撃のバリエーションは少なく、アレモンに密着マークが付いたら途端に攻め手が無くなってしまうことも問題だ。

勝ち点3を得たことは大きな成果だが、J1への昇格を果たすためにはさらなる成長が必要なことを示した試合だった。

以上

2006.08.20 Reported by 田中滋
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