8月19日（土） 2006 J2リーグ戦 第34節
東京Ｖ 1 - 1 草津　（19:04／味スタ／4,482人）
得点者：'62 石川竜也（東京Ｖ）、'71 高田保則（草津）
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公式記録のシュート数を確認すると「12対22」。下位チームを相手に試合を支配するはずの東京Vが、草津に倍近いシュートを放たれた。後半のみに至っては数的優位に立ったにも関わらず、草津の14本に対し東京Vは6本。勝ち点1を分け合う結果にはなったものの、東京Vにとっては敗北感を感じざるを得ない試合となってしまった。

この試合、草津はアグレッシブに挑んできた。「東京Vはここ何試合か（精神状態が悪く）人が連動せず、攻めきれていない。そこが突き所だから積極的にいきなさいと指示しました」と植木監督。
その言葉通り草津は鳥居塚のミドル、FKからチカと、開始早々東京Vゴールを脅かしにかかる。奪って速い攻めを明確に打ち出し、10分には左サイドを突破した寺田からのクロスに吉本がフリーでシュート、続けて高田が中央をドリブルで持ち込み正面から狙う。更に22分、ボールを受けた島田が中央から吉本に浮き球のパス、吉本は迷わずシュート。

GK高木の好セーブもありなんとかこの時間を耐えた東京Vは、ようやく30分頃から反撃開始。が、セットプレーからは長野、ゼ　ルイスが惜しいシュートを放ったものの、流れのなかではビッグチャンスを作るまでには至らず。
攻撃の要・マルクスはピッタリとマークに付く草津MF大谷をかわせず、まだ互いを理解し切れてないように見える2トップも含め、草津の守備を崩し切るのは難しい状況が前半終了まで続いた。

そこでラモス監督は後半開始から、前線に絡んでいくプレーの少なかったMF喜名に替えMF永井をピッチへ。「それまでは楽に守れていましたけど、永井選手はクセ者でしたね」と試合後に大谷が振り返ったように、機を見れば勝負に出る永井が入ったことで前線は活性化。マルクスのマークをゾーンに切り替えたこともあり、草津の中盤が守備に回る時間が増えてきた。

そして61分、退場劇が起こる。草津のDFラインを統率してきた斎藤竜がこの日2枚目のイエローカードを提示されたのだ。東京Vにとっては絶好のチャンス。実際、先制点はこの退場劇の直後に生まれる。
62分、東京VのFKからカウンターに転じようとした草津のボールを中央でDF石川がカット。石川は一旦長野に預けると迷わずワンツーでゴール前に抜け出し左足でシュート。不意を突かれた草津を尻目にあっさりと石川が移籍後初ゴールを決めた。

数的優位の中の先制点。流れは完全に東京Vのものになるはずだった。事実、すぐに東京Vのチャンス。FWシウバがスピードに乗って平本からボールを受けてゴール前へ。これは決められなかったが、続く70分にはマルクス、海本と繋ぎ、中に切れ込んだ海本がシウバへお膳立て。ところが、このシーンが、その後の悪夢を生み出すことになる。

その70分の草津の得点シーン。ゴール前、絶好の位置で受けたシウバだったが、草津DFにボールを奪われカウンターを食らい、CKへと繋がれる。このCKのこぼれ球を佐田が右サイドから放り込むと、チカがゴール至近距離からヘディングシュート。GK高木がなんとか弾き出すも、これを高田が左足でシュート。ゴールマウスの中には海本も入っておりこのシュートも弾いたものの、ラインを超えたという判定が下り草津の同点ゴールとなった。

それでも時間はまだ20分あり、1人多い東京Vの猛攻が続くものだと予想していた。しかしここから試合終了まで、どちらが10人なのかわからなくなる展開。84分の決定的な中井のヘディングシュートを含め、公式記録が示す通りチャンスの数で大きく上回ったのは草津だった。

「（数的優位になっても）東京Vは全然いけいけじゃなかった。マークも曖昧だったし、（うちが）いける、と思った」と草津・大谷。
ラモス監督はマルクスに替え斎藤将基を投入、FW3人体制で追加点を奪いに出たが功を奏せず。結局1−1のまま試合は終了した。

草津はこれで5試合負けなし。「選手が自信をつけている。これから連勝を狙いたい」と植木監督も満足そうに会場を後にした。一方の東京Vは8月に入って未勝利。この試合で連敗は止めたとはいえ、上位陣が軒並み勝利した中の引き分けでは痛みが大き過ぎる。次節・柏戦、続く神戸戦が早くも天王山か。

以上

2006.08.20 Reported by　高木聖佳