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【J1:第18節 鹿島 vs 浦和 レポート】見ごたえある好ゲームも、両者痛み分け。あと一歩で勝利を逃した鹿島は5位後退し、浦和も悔しいドローで首位陥落。(06.08.20)

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8月19日(土) 2006 J1リーグ戦 第18節
鹿島 2 - 2 浦和 (19:04/カシマ/34,236人)
得点者:'40 アレックスミネイロ(鹿島)、'69 柳沢敦(鹿島)、'71 小野伸二(浦和)、'89 ワシントン(浦和)
★ハイライト&会見映像は【こちら】
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「ホームだったし、2点リードの中、残り時間に追いつかれた。非常に残念です」
 今季開幕戦でのハットトリック以来のゴールを挙げた柳沢敦の言葉が、鹿島イレブン全員の心中を如実に表していた。アレックス・ミネイロがセットプレーからのワンチャンスをモノにし、得点から遠ざかり続けていた柳沢も2点目を奪ったのだから、2試合ぶりの勝利は確実かと思われた。しかし「2−0になってからが甘かった。気の緩みが出てしまった。昨年からそういう展開が多い」と岩政大樹が反省した通り、ここから浦和の追撃を許してしまう。柳沢の得点の2分後に小野伸二に1点を返され、さらに終了間際にワシントンに同点弾を決められたのだ。

 鹿島にとっては、まさに「勝ち点2を失った試合」。勝ち点3がほしかった浦和にとっても痛いドローで、たった1節で首位をガンバ大阪に明け渡すことになった。だが「代表選手たちが2週続けて週中に試合をしている疲労困憊の中、追いつけたのは大きい」とエンゲルスコーチが話すように、彼らにとっては前向きな勝ち点1確保といえるだろう。

 J1第18節最大の注目ゲームとなった鹿島アントラーズ対浦和レッズ戦。前節時点で首位と4位の対戦なのだから、サポーターも燃えないはずがない。34,236人が集結したカシマスタジアムは真っ赤に染まった。

 浦和に勝ち点4差としていた鹿島だけに、絶対に勝ってポイント差を詰めたい。この日は前節出場停止だった岩政も復帰。パウロ・アウトゥオリ監督は最強布陣でこの重要なゲームに挑んだ。対する浦和は日本代表7人衆の疲労が心配されたが、ブッフバルト監督は思い切って全員をスタメン起用した。

 5月7日の埼玉での対戦では4−0で圧勝している浦和が、今回も頭から積極的な攻撃を仕掛けた。巧みなボールポゼッションと献身的な守備から主導権を握る。田中達也は3日前にイエメン戦をフルに戦ったとは信じがたい運動量とスピードで鹿島守備陣に切り込み、ワシントンも負傷明けとは思えない存在感を示す。

 開始9分にはワシントンが決定機を迎えるが、これを防いだのが鹿島の守護神・曽ケ端。この好プレーをきっかけに鹿島はリズムを掴む。そして3分後にはフェルナンドのミドルシュートがポストを叩いた。残念ながらこれは得点に結びつかなかったが、「前回の対戦とは違う」という鹿島イレブン全体の闘志が感じられた。

 前半を通じて際立ったのは鹿島の組織的な守備。浦和攻撃陣に対し、岩政らは高い意思統一で応戦する。新井場徹や内田篤人の両アウトサイド、青木剛らボランチもカバーの意識が高く、相手の決定的な仕事を封じた。攻撃チャンスこそ思うように作れなかったが、彼らは40分にワンチャンスをモノにする。

 小笠原満男の右CKをニアサイドに飛び込んで頭で合わせたのがエースFWアレックス・ミネイロ。前半は押され気味だった鹿島にとっては値千金の先制点だった。

 この1点が浦和に多少なりともダメージを与えたようだ。後半立ち上がりの彼らは運動量が落ち、前半の粘り強さが失われる。鹿島は持ち前の素早いパス回しを取り戻し、前半はほとんど見られなかったサイド攻撃も出せるようになった。後半6分には内田のシュートにファビオ・サントスと柳沢が飛び込む惜しいチャンスが生まれるなど、明らかに流れは鹿島に傾いていた。

 そして24分、美しいコンビから2点目が生まれる。小笠原のパスを受けた柳沢がアレックス・ミネイロとのワンツーから左足で技ありのシュートを決めたのだ。日本代表GK山岸範宏が飛び出してきた裏をつくようにループ気味で打ったシュートは、技術の高いベテランFWならではのものだった。

 これで勝っていれば完璧なのだが、「肝心なところで守り切れない」という昨季からの課題を露呈してしまう。鹿島2点目の2分後に生まれた小野のゴールは、田中達也に新井場のサイドを崩され、逆サイドに展開されて折り返しを決められたものだ。小野自身のシュートも巧みだった。オシム監督就任以来、日本代表から遠ざかっている彼だが、復調ぶりを改めて示しつつある。

 その後、ブッフバルト監督は永井雄一郎らを投入。前線に三都主アレサンドロに田中マルクス闘莉王を上げ、ワシントンを含めて4人がゴール前にいる状態で猛攻をしかけてきた。これはあらかじめ予想できたはずだが、パウロアウトゥオリ監督の対応が遅れてしまった。ボールをキープさせるため、野沢拓也と深井正樹を投入しようとした矢先の後半44分、ワシントンに同点弾を浴びる。それも小野の1点目と全く同じような形で永井に新井場のサイドを崩され、逆サイドの闘莉王に展開され、その折り返しを決められたのだ。

 2−2のまま迎えたタイムアップの瞬間、小笠原がピッチにヒザをつき、岩政もガックリ肩を落とした。サポーター席からも奇妙な静寂が流れた。この一戦を取りこぼしたことで、G大阪との勝ち点差は6に広がり、順位も5位に下がったのだから、そんな落胆も理解できる。しかし8月は中2〜3日の連戦が続く。ここで立ち止まってはいられない。沈黙していた柳沢が得点感覚を取り戻すなど明るい材料が出てきただけに、それをプラスに考えるべきだ。

 浦和もドローという結果は納得できないだろうが、疲労困憊の代表組があれだけの粘りを見せたのは賞賛に値する。彼らの個人能力とチーム力の高さを改めて示す好ゲームだったといえる。

以上

2006.08.20 Reported by 元川 悦子
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