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【J1:第18節 清水 vs 甲府 レポート】攻守に充実したサッカーで甲府の特徴を出させなかった清水が4連勝で4位浮上!(06.08.20)

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8月19日(土) 2006 J1リーグ戦 第18節
清水 4 - 0 甲府 (19:04/日本平/15,410人)
得点者:'27 枝村匠馬(清水)、'31 マルキーニョス(清水)、'45 兵働昭弘(清水)、'87 兵働昭弘(清水)
★ハイライト&会見映像は【こちら】
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 「自分たちの良さがまったく出せずに終った」と甲府の大木監督が振り返ったゲーム。ただ、それは甲府が悪かったというよりも、清水の攻守にわたる充実ぶりが、甲府の特徴を出させなかったと言ったほうが正確だろう。

 先制点が決まるまでは、どちらにもチャンスがあった。清水の攻撃は、「相手が1ボランチだったので、僕と淳吾(藤本)がその横のスペースでボールをもらって起点を作れと言われていた」と兵働が語ったように、甲府のアンカー(1ボランチ)と、2列目のMF、サイドバックで作られる三角形の中央付近に兵働と藤本が入ってボールを受ける。そこにアンカーの林がつけば、それによってできたスペースに清水の超攻撃的ボランチ・枝村が上がるし、サイドバックがつけば、その裏に清水の2トップが飛び出すという形でスペースを生かし、甲府を押しこむ。さらに、スピードのあるマルキーニョスと矢島が裏に飛び出してロングボールを受けることで、甲府のDFラインを下げさせ、中盤のスペースを広げさせた。

 こうして序盤は清水がペースを握り、決定的なチャンスも作ったが、それでもひるまないのが甲府の良いところ。攻撃に入ったときは、前線の5人が流動的に動いて清水の守備陣に的を絞らせず、それぞれがクサビのボールを受けて少ないタッチ数で素早くつなぎ、清水の守りを混乱させる。バレーがいないこともあって、ロングボールのこぼれ球を拾って押しこむという形はあまり作れなかったが、それ以外の形でもしっかりと攻めを構築した。そして、20分に近づいたあたりから清水ゴールに近づき始め、24分には右クロスから決定的な形を作るが、こぼれ球からの山崎のシュートはゴールライン直前でDFがブロック。甲府が先制点を奪う可能性も十分にあった。

 だが、先制点は清水の狙いが形となった。前半27分、中盤右のスペースで枝村がボールを受けると、清水の前線の選手たちが一斉に動き出して甲府の守備陣を引っ張り、枝村の前に大きなスペースができる。そこを枝村がドリブルで上がってそのままペナルティエリア手前から右足を一閃。このシュートが低く速い弾道で左ポストぎりぎりに決まった。16節の磐田戦でもミドルレンジからのシュートを決めた枝村だが、キックの精度の高さには舌を巻く。
 こうなると流れは一気に清水。先制点の3分後には、2列目から裏に飛び出した兵働のシュートからGKが弾いたボールをマルキーニョスが押しこんで追加点。その後も、34分と38分には矢島が決定的なシュートを放つが、これはGK鶴田の攻守に阻まれゴールならず。42分にも矢島の右クロスに藤本が飛びこんだが、これもDFにブロックされて、前半は2-0で終了。

 ハーフタイムには、長谷川監督が「次の1点が勝負」と選手たちに伝えたが、それが決まったのが、後半開始直後。山西の縦のフィードからDFのミスをついて枝村が左サイドに飛び出し、中をよく見て冷静に折り返すと、矢島が引っ張ってできたスペースに兵働が走りこみ、ワンタッチ・シュートをゴール左に決める。
 甲府の大木監督は、後半頭から林に代えて鶴見を投入し、石原の位置を下げてボランチを2枚にして、前半に狙われたポイントの修正を図っていた。だが、いきなり3点目を取られたことで選手たちの気持ちが前がかりになり、石原の位置も高くなってしまい、結果的には機能しなかった。

 逆に清水のほうは、リスクを冒して反撃に出る甲府のスキをついて、カウンターから何度もチャンスを作る。甲府の守備陣は、センターバック2人か、アンカーを加えた3人だけが残る形なので、サイドには大きなスペースがあり、清水は少なくともあと2点は取れそうなほどの決定機を作ったが、ここでは詰めの甘さが出てしまった。
 その後、甲府が26分に大西を右ウィングに入れて藤田をボランチに下げ、清水に攻め疲れが出始めた中で、ようやく自分たちの形を作ってサイドから攻めていく。30分すぎからは甲府がかなり押しこむようになり、33分に石原のシュートがポストに当たり、その直後の須藤の決定的なシュートもGK西部のファインセーブに阻まれる。36分のCKからの須藤のシュートも兵働が足で止めるなど、清水の守備陣が最後のところで踏ん張った。
 ただ、終盤になっても、清水の狙いは時間を稼ぐことではなく、あくまで追加点を取りにいくこと。42分に市川の折り返しからまたも兵働が決めて完全にダメを押し、そのまま4-0でタイムアップ。長谷川体制では初めての4連勝を果たし、ホームでは6連勝。順位も4位に上げた。

 甲府にとっては、組織でも、個人の力でも、攻守の切り換えの速さでも相手が上回り、1-5で敗れた前節・名古屋戦以上にショックの大きい敗戦。だが、中3日で迎えるホームでの鹿島戦に向けて、それを引きずるわけにはいかない。いろいろな意味での選手たちの「タフさ」が問われる連戦になりそうだ。

 一方、勝った清水にとっては、もっと点が取れたゲーム。特に矢島がゴールを決めていれば言うことなしだったが、その課題は次への持ち越しとなった。ただ、矢島はいつもの2トップ(マルキーニョスとチョ)と比べてもまったく遜色のない働きを見せたし、兵働と枝村も絶好調。守備では、ボランチの伊東が相変わらずピンチの芽を摘む絶妙な働きを見せ、DFラインも安定感十分。長谷川監督も選手たちも、まだまだ満足はしていないが、4位という順位にふさわしいサッカーをしていることは間違いないだろう。

以上

2006.08.20 Reported by 前島 芳雄
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