8月26日（土）J1 第20節 Ｃ大阪 vs 浦和（19:00KICK OFF/長居）
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ひとりの選手の加入が、確実にチームを変えつつある――ここ2試合のC大阪の試合を見ていると、そんな印象を受ける。磐田から名波浩が期限付きで移籍し、チームに合流したのは8月15日のこと。19日の横浜FM戦では5ヵ月ぶりの勝利をあげ、23日の京都戦は4得点を奪って引き分けた。それまでの17試合でわずか6点だった勝点だが、この2試合で6点を加えた。もっとも、横浜FM戦では名波は出場しておらず（リザーブメンバー）、ピッチでそのプレーを披露することはなかったが、「試合に出なくても、練習の中からみんなにアドバイスをしてくれるし、経験というものはいろいろの部分でチームに伝わっている」（森島寛晃）という。

その名波が、C大阪の選手として初めてプレーしたのが前節の京都戦。58分に森島寛晃に代わってトップ下に入り、71分には西澤明訓と息のあったワンツーパスを見せて、藤本康太のゴールをお膳立てした。87分には、左から絶妙のクロスをあげて、大久保嘉人のヘディングシュートをアシスト。「裏でボールをもらえれば、点を取る自信はある。今まではほとんど（ボールが）出てこなかったから」。期待されながらなかなか出なかった復帰初ゴールに、大久保は声を弾ませた。「これで気持ちも変わったし、これから乗っていければいい」（大久保）。体のキレもすっかり戻っており、ゴール量産態勢に入りたいところだ。

前節は、大久保の2得点を含む計4得点をあげたC大阪だが、勝利には結びつかなかった。ロスタイムのCKからまたしても追いつかれてしまったのだ。塚田雄二監督は、「最後の勝つことへの貪欲さという点で、今のチームの現状を表している」と嘆いた。リードしているのに残りの数分間を耐えることができなかったチームを、誰より強い口調で叱咤していたのは、加入して1週間の名波だった。「3失点目と4失点目を防げなかったのは精神的なもの。去年（の最終戦）であれだけ悔しい思いをしたのに、同じことを繰り返してはいけない。みんなで話し合う必要がある」とメンタル面の改革を強調した。浦和戦でチームに変化が起こるのか否か、注目したいところだ。
　
対する浦和は、現在2位。前節の新潟戦では、FWワシントンがハットトリック、GK山岸範宏が再三の好セーブを見せて勝利をおさめた。第14節以降負けなしのハイペースで勝点を40に伸ばし、首位・G大阪を追走している。C大阪戦は、FWワシントンが出場停止。代わって出場する選手は誰か、興味深いところ。小野伸二、ポンテと負傷者がいるのがやや不安といえるが、総合力では浦和の優位はゆらがないだろう。

対するC大阪・森島寛晃は、「浦和は攻守すべてにおいてバランスが取れたチーム。どこからでも点が取れるので、自分たちが体を張って自由にプレーさせないことが必要。チーム一丸となって粘り強さを出せば、相手を苦しめることができる」と話す。強い相手であることは確かだが、その相手を苦しめ、結果を得ることでチームに勢いがつくはず。現在の順位には大きな隔たりがある相手だが、変わり始めたC大阪をアピールしたい。

以上

2006.08.25 Reported by　横井素子