第86回 天皇杯全日本サッカー選手権大会 3回戦
水戸 0-1 静岡(1,016人/ひたちなか)
得点者:'50 河村優(静岡)
----------
現実を直視するしかない。J2・水戸が地域リーグ・静岡に負けた。事実はそれだけである。格上が戦いづらいカップ戦であることや、けが人が多いことなど何の言い訳にもならない。水戸の今の実力が如実に表れた90分。水戸は不調を通り越して、ついに地に堕ちてしまったと言っていいだろう。
0分のプレーに水戸の現状が凝縮されていた。DF裏にうまく抜け出した西野がGKと1対1の場面を迎える。だが、西野はシュートを打たずに、横に走ってきたアンデルソンにパス。懸命に戻ってきた静岡DFがそれを間一髪クリアして、チャンスを逸してしまったのだ。
「自信がないのが1つ1つのプレーに出てしまった」と前田監督が頭を抱えるように、その一つのプレーがチーム全体を縮こまらせることとなってしまった。そして、「最初アタフタしてしまったが、相手がシュートを外してくれたので落ち着けた」と静岡・日比が語るように逆にその1プレーが静岡に自信を与えることとなってしまったのだ。
その後の水戸は目を覆うばかりであった。全体的に引き気味な静岡に対して中盤でボールを支配し、サイドから攻撃の形をつくるものの、クロスやラストパスなどことごとく精度を欠き、自らチャンスを逸す。今までJ相手のプレッシャーの中でごまかされていたが、この日のようにプレッシャーのない中でのプレーによって一つ一つの精度の悪さが一層さらけ出されてしまったのである。さらに判断力の欠如も著しかった。フリーでボールをもらいながらも、その後の選択肢が乏しく、バックパスや意味のないロングボールに頼っていて攻撃を組み立てられず。50分、水戸が攻撃にかかった時にマルキーニョが中盤でパスミス。それを奪われ、速攻を食らい、最後は元・水戸の河村に見事な反転からゴールを決められたのは、もはや自然の成り行きであった。
終盤は3トップや大和田を前線に上げてのパワープレーなどリーグ戦さながらの攻撃態勢でゴールを狙ったが、全員が体を張って守る静岡ゴールをこじ開けられず、そのまま試合は終わることとなった。
公式戦6連敗。アマチュア相手の敗戦。試合後はサポーターへの挨拶すら忘れ、呆然とロッカールームに帰る選手がいるなど、チームはまさに惨状と化した。「切り替えたくても切り替えられない…」。時崎は苦痛な表情でそう語った。だが、1週間後、嫌でもリーグ戦を戦わなければならない。プロとして仕事をまっとうしなければならないのだ。彼らの仕事とは何か。それは「サッカーをする」ことではない。「サッカーを観る人に喜びを与える」ことである。弱音を吐いている場合ではない。彼らがプロサッカー選手という道を選んだ以上、この壁は乗り越えないといけないのである。
もはや失うものは何もない。プライドもすべてかなぐり捨てて、勝利のために戦わなければならない。「やまない雨はない」などという慰めの言葉を出す気はない。今は自分たちで這い上がっていくしかないのである。罵詈雑言を浴びながら、様々な非難を浴びながら這い上がってこなければならない。果たして選手たちは「強く」なれるか。
以上
2006.10.08 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
一覧へ【第86回天皇杯:水戸 vs 静岡レポート】J2水戸が静岡に破れる。プレーの随所に自信のなさがあらわれた水戸。この状況から這い上がれるか。(06.10.08)
- 終盤戦特集2025
- アウォーズ2025
- 明治安田J1昇格プレーオフ2025
- 明治安田J2昇格プレーオフ2025
- J3・JFL入れ替え戦
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- 明治安田Jリーグ百年構想リーグ
- 2025 月間表彰
- 2025 移籍情報
- 2025 大会概要
- J.LEAGUE FANTASY CARD
- 2025 Jリーグインターナショナルユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE













