第86回 天皇杯全日本サッカー選手権大会 3回戦
柏 3-0 法政大(2,752人/柏)
得点者:'69 谷澤達也(柏)、'83 ドゥンビア(柏)、'89 佐藤由紀彦(柏)
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一昨日までの豪雨から一転し、久しぶりのデーゲームを実感させる強い日差しと青空の下、蛍光に近いオレンジのパンツが眩しい関東大学リーグ1部、現在3位の法政大イレブンと、公式戦のスタメンに気合の入る柏イレブンが入場した。柏のGKノグチピントは、今季初のスタメン出場に愛息子を抱いての入場。リーグ戦と勝手が違う為、確認を取り許可を得ての念願の親子入場となった。
それだけの思いのつまったスタメン出場。今週の練習では、サテライトやベンチスタートが中心だった選手達が、いつにも増しての高いモチベーションでアピールをし続けた。トップのメンバーにとってもポジションを奪われぬ様にと危機感を感じるほどだった。
その気合を買った石崎監督が公言通りのチャンスを与えた新たな布陣でスタートした天皇杯3回戦。天皇杯といえばあまり良い思い出のない柏だが、満を持した予想通りの布陣で臨む法政大に対してJチームの意地と続くリーグ戦での戦いの新たな存在を見せて欲しいとサポーターの期待が高まる中でキックオフの笛が吹かれた。
しかし、その期待と気迫が強すぎたのか前半の柏は形どころか流れも作れず。今日はメンバー外として観戦していたレギュラーの選手達も「大学生相手で何をしても当たり前と思われるし、メンタル面でも凄くやりずらい中での試合だと思うし、観ていても胃がキリキリした」という内容で攻めあぐねた45分。ゴール前でのシュートチャンスもフィニッシュまで行かずの歯がゆいシーンが目立つ柏。それに対して伸び伸びと立ち向かいパスの繋ぎを見せる法政大。
吹かれたのは笛だけでなく、想定外だった今日の最大の敵は、記者席の机上の書類も飲み物も瞬時に素っ飛んでしまうほどの強風だった。風下であった柏は「前半は風が強すぎてサッカーにならず、みんな空回りしていた(DF近藤)」のだった。ゆえに「前半は持ち味のゴールキックも魅せられなかった」とGKノグチピントが話したが助けられたのは前半27分に、2枚目のイエローを貰ってしまった法政大4バックの中央右に入っていたDF雑賀の退場で柏が数的優位になったことだったかもしれない。
0-0で折り返した柏が風上となった後半は、12分にMF石館のゴールと思われたシュートもオフサイドの判定。18分には法政大のU-21日本代表であるMF本田拓也のCKから2度、3度とゴール前での猛烈なシュート攻撃が仕掛けられた。が、ここでは「これまで居残り練習を地道にしてきたことが結果になった」と振返ったGKノグチピントの好セーブを魅せて、続く24分にMF谷澤の左足でのゴールを生んだ。その後38分のFWドゥンビア、後半ロスタイムでのスタメン1トップに入っていたFW佐藤による追加点は共にPKでのもの。
結果3-0で完勝した柏ではあったが「前半の2、3回GKにはじかれたところで、ミスをせず決めていたら状況は分からなかった」と法政大の照井監督が冷静に語っていた通り。実際にシュート数を見ても、柏の10(前半6:後半4)に対して法政大も10(前半5:後半5)と同数。清水東時代からファンタジスタとして知られ、この日も左サイドでいい動きをしていたMF菊岡に「全体的には自分たちの色を出せたので、10人でなく対等で戦ってみたかった」と試合後に言わせてしまった。
アピールの場を活かした新たな選手がいるか?の会見での質問に「まだまだ頑張って貰わないといけないと思います」と石崎監督も苦笑い。強風に苦労し、自分達の気合にも空回りした感が否めない一戦であったと言えよう。法政大にとっては「最後に決めきるのがJだと思った(FW井上)」と言いながらも悔しいかな「退場者を出して10人になってしまったことが今日の試合のポイントになってしまった(照井監督)」。
『結果が全て』とプロの世界を表現するならば、まさに今日の一戦はJリーグのプロチームらしさで得た勝利で天皇杯4回戦へ進出となった柏。1年ぶりの公式戦出場(2005/6/4ナビスコ予選vsFC東京戦)復帰となったDF近藤が「90分やれるとこを確かめる事が出来た」し「谷澤のトップ下と左サイドとポジションを見たかった(石崎監督)」ことなど確認出来た収穫はあるものの、トップのメンバーを脅かすアピールまでには至らなかった。チーム内での切磋琢磨はまだまだ続くだろう。敗退となった法政大にとっても気持ちを切替えて残すリーグ戦に集中する、というのは変わらない。
強かった期待にゆえに内容はいまひとつな印象だった柏だが、トーナメント形式の天皇杯で結果を残せたことはプロの意地を出せたというところか。その答えは、来週から続く残るリーグ戦8試合に表われる。「頑張っていれば結果は必ずついてくる(GKノグチピント)」ことが、リーグ戦最終節に向けて層の厚さを増す追い風になることを願いたい。
以上
2006.10.08 Reported by 脇本カオル
J’s GOALニュース
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