第86回 天皇杯全日本サッカー選手権大会 3回戦
草津 3-0 岐阜(2,650人/群馬サ)
得点者:'1 高田保則(草津)、'5 高田保則(草津)、'82 高田保則(草津)
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草津・植木監督は試合終了のホイッスルを聞くと、ホッとした表情を見せた。開始直後に2点を先制した草津だが、その後、草津サポーターが見たものは、岐阜が果敢に攻めて草津が必死に守るという光景。岐阜相手に苦戦を強いられた草津は、冷や汗をかきながらも4回戦へコマを進めた。
開始わずか1分、草津は右サイド・佐田からのクロスに高田が左足で合わせて先制ゴールを奪う。そして、5分、右サイドを抜け出した佐田が佐藤のポストプレーを受けて強烈なシュート。岐阜のGKが弾いたところを再び高田が詰めて2点目。「自分で決めたかったが、よく詰めてくれた」(佐田)。草津は序盤にして2点のリードという願ってもない展開となる。
左右MFを高い位置に配置する3−5−2のシステムを選択した草津に対し、岐阜は、2トップの一角に片桐、右MFに小島を置く4−4−2の布陣。草津はキックオフと同時に前線からプレスを仕掛け、岐阜に揺さぶりをかける。岐阜・戸塚監督は「スピードに戸惑ってしまった」と振り返ったが、スピード以上に戸惑いが見えたのは、「間合い」だった。草津がボールを持ったときの「間合い」が甘く、草津にサイドをえぐられる。草津の2点は、そんな状況から生まれた。開始15分までは、草津圧勝の予感さえ漂った。
しかし、15分過ぎから岐阜が魅せたサッカーは、それまでとは全く異なるものだった。「Jのレベルを思い出すのに時間がかかった」(戸塚監督)。小島、高木が高い位置を取り、草津のMFを引き付けると、そのスペースに両SBが上がり、攻撃を仕掛ける。序盤とは一転して、素早いプレスでボールを奪い、片桐、小島らがゴールに迫る。
後半に入っても岐阜のリズムは続く。59分には、スーパーサブ・森山を投入し、岐阜サポーターのムードも最高潮。岐阜は運動量でも草津を圧倒し、次々とチャンスを演出。しかし、ペナルティエリアの中でシュートを打つことができない。「相手の利き足などの特長は頭に入っていたので落ち着いて対応できた」(田中)。「サイドは崩されることはあっても、中ではやられなかった」(佐田)。草津守備陣は、劣勢になりながらもゴールだけにはきっちりとカギをかけた。
そして82分、ゲームを決める草津のシュートが岐阜のゴールネットを揺らす。CKの折り返しを高田が決めて、ハットトリック。岐阜の奮闘もこれで終わりを告げた。2対0からの「1点」がゲームのポイントだった。もし、岐阜が先に1点を奪えていれば、試合は違ったものになっただろう。
敗れた岐阜だが、攻撃のキーマン片桐、スペースに走った小島、鋭いドリブルを見せた高木など攻撃陣のタレントが光った。一方で、草津FW陣にポストプレーを許すなどDFのフィジカル面に不安を残した。また、ワンタッチプレーでサイドを崩される場面が多く、サイドへの対応も課題だ。JFL昇格を懸けた11月下旬の地域リーグ決勝大会は1回のミスも許されない大会。03年に同大会を経験した植木監督が「岐阜は地域リーグを抜ける力はあると思うが、力だけで上に行けるという戦いではない」とアドバイスを送ったが、チーム、サポーター一丸となって、修羅場を乗り切ってほしい。
今大会の3回戦では、横浜FC、神戸、東京V、水戸の4チームが格下に食われて、姿を消した。内容的に物足りなさを残した草津だが、J1との「挑戦権」を得たことはサポーターにとっては幸せだ。植木監督にとっては、C大阪、横浜を破りベスト8に進出した一昨年以来の天皇杯。「次は挑戦者として思い切り戦える」(植木監督)。サポーターは、あの「奇跡」の続きを見せてもらえることを信じている。
以上
2006.10.08 Reported by 伊藤寿学
J’s GOALニュース
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