●第86回天皇杯4回戦
11/8(水)19:00キックオフ/カシマ/1,824人
鹿島 4-0 Honda FC
得点者:11' オウンゴール(鹿島)、15' 深井正樹(鹿島)、19' 田代有三(鹿島)、61' 岩政大樹(鹿島)
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ナビスコカップのタイトルを落とした鹿島にとって、時を置かずに天皇杯という新たなタイトルにチャレンジするというのは良いことだったのかもしれない。途中まで良い試合をしながら惜敗した決勝戦の悔しさを引きずることなく、新たなモチベーションを糧に、選手たちはピッチの上を走り回った。しかし、ゲーム内容は4−0というスコアから想像されるような一方的な試合とはならなかったことが、いまの鹿島のチーム状態を表しているのだろう。
普段対戦のないJFLのHondaFCが相手ということで、鹿島アントラーズの作戦はまず相手の機先を制することだった。キックオフと同時に両サイドバックが相手陣内深くまで攻め入り、HondaFCの選手たちを一気に相手陣に押し込んだ。
「今日は相手がどういう出方をしてくるかより、自分たちのサッカーをやることを意識した」
深井がそうコメントしたように、序盤は鹿島の狙い通りの試合展開となった。だが、この後が続かない。相手ゴール前まで圧力をかけるような攻めにはつながらず、逆に横パスをカットされピンチを招くような状態だった。幸い鹿島の攻撃力を警戒してか、HondaFCの選手たちはボールを奪った後の動き出しが遅く、自陣でパスミスをしても鹿島のディフェンス陣が慌てる場面は少なかった。全体的には鹿島がボールを支配しながらも、効果的な攻めができずに時間が過ぎ、重苦しい雰囲気がスタジアムに漂い始めたなかで、先制点があっさりと決まった。
12分、右サイドから新井場がディフェンスとゴールキーパーの間にロングボールが放り込むと、HondaFCのDF安部はゴールキーパーにバックパスをするためヘディングでボールに触れた。しかし、キーパーの川口はそのまま取るつもりで飛び出していたため、ボールの変化に対応できず、ボールは無人のゴールへと吸い込まれていった。労せずして先制点をあげた鹿島はこれで落ち着きを得る。15分、鹿島のサイトチェンジをHondaFCの選手が対応を誤り、右サイドに開いていた深井に渡る。得意な位置でボールを得た深井は、左足で内に切れ込みシュートを放った。キーパーから逃げるようなカーブを巻いたボールは、ファーサイドのサイドネットに突き刺さり鹿島に2点目が入った。さらに19分、左サイドを崩した深井からゴール正面で待つ田代にセンタリング。田代はこれを落ち着いてワントラップし、左足で強烈なシュートを決めた。後半にも、岩政がCKから追加点を奪い試合を決めた。
ただ、4−0と言っても圧倒的に試合を支配したわけではない。特に、前半に深井、本山と負傷者が相次いだため、後半からは若手中心のメンバー構成となった。そのせいか、興梠、田代などが鋭い動きを見せるものの、お互いの意図がうまく噛み合わず、数的優位の状況でもシュートまでいけない展開が多かった。試合を通じてシュート数が10本だったということも、その事実を如実に表しているだろう。ただ、選手のモチベーションは高く、運動量は落ちなかった。また、鹿島にとっては久しぶりにホームのカシマスタジアムで勝利をあげたことも喜ぶべきなのかもしれない。ホームゲームの観客数が1,824人というのはあまりにも寂しい。一つずつ勝利を積み重ねていくことが今一番求められている。
以上
2006.11.09 Reported by 田中滋
J’s GOALニュース
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