●第86回天皇杯4回戦
11/8(水)19:04キックオフ/フクアリ/4,389人
千葉 0-1 札幌
得点者:66' 相川 進也(札幌)
-----------
肩を落としてサポーターのブーイングを浴びる千葉の選手たち。この日の彼らのプレーには、『勝者のメンタリティ』を発揮したヤマザキナビスコカップ決勝の面影はなかった。
「リズムが悪いのにシュートを打たず、ゴール前でスルーパスを狙っていた。そういうチームではないのに、綺麗なサッカーをしようとしていた。結局、スルーパスの出し手と受け手が合わなくて、ボールがゴールラインを割る場面が多かった」(千葉のMF佐藤勇人)
札幌の柳下正明監督が「千葉は20分まで本当に寝ている状態」と表現したように、試合開始からアグレッシブに攻めたのは札幌のほうだった。千葉がその時間帯で失点を食らわなかったからといって、大きな問題がなかったわけではない。今シーズンの千葉には試合の入り方がよくないという課題があった。結局、千葉はこの試合で20分間もルーズな戦いぶりを見せてしまい、札幌に「やれる」という手応えを与えてしまった。
その後は千葉がリズムを取り戻し、互いに攻め合う展開となった。29分には、11分に接触プレーで負傷していた千葉のDF水本裕貴がMF楽山孝志と交代。楽山が左ウイングバックに入り、左ウイングバックでプレーしていたMF坂本將貴がストッパーへと下がった。千葉はこのアクシデントにも動じず、むしろ札幌を圧倒する攻撃を展開。だが、札幌はチーム一丸となった必死の守りを見せ、千葉のシュートは精度を欠いてしまった。
前半から目についたのは、札幌のリベロのDF曽田雄志のアクションだった。曽田はJ2リーグ戦第42節以来の出場だが、ディフェンスラインを上げて高い位置を保とうと、再三チームメートに指示していた。札幌のディフェンスラインの背後にスペースがあることで、千葉は余計にスルーパスで決定機を作ろうとする意識が出たようだ。だが、これは裏目に出た。前述の佐藤の言葉どおり、最後の部分で呼吸が合わずにミスが続いた。
札幌は千葉とは逆にシンプルにクロスを入れてゴールを狙った。66分、狙い通りの形で左ウイングバックのMF西谷正也がクロスを入れる。ワンバウンドしたボールをFW相川進也がヘッドで押し込み、札幌が先制点をゲット。スペースのない場所ではダイレクトパスできっちりとつなぐ。前線にスペースがあれば思い切った飛び出しやドリブル突破を仕掛け、遠目からでもシュートを打つ。状況に応じた攻撃は、リーグ戦第47節終了時で7位に甘んじているチームとは思えなかった。今シーズンの公式戦出場2試合目のGK佐藤優也の好セーブもあり、札幌は最後まで体を張って千葉に得点を許さなかった。また、本来は右ウイングバックのMF芳賀博信がボランチとして、プレッシャーの多い中央で攻守に効いていたのも大きかった。札幌は勝利への貪欲な『気持ち』をプレーで表わした。
千葉はシュートを打つタイミングのまずさで自滅した。15本もシュートを打ったのにと思われるかもしれない。だが、勝てなかった時期もパスをつなぎすぎていた。この日も綺麗に相手の守備を崩そうとしてボールを奪われ、カウンター攻撃でピンチを招いた。ヤマザキナビスコカップで連覇しても、ミスを繰り返しているようでは『王者』とは呼べない。
以上
2006.11.09 Reported by 赤沼 圭子
J’s GOALニュース
一覧へ【第86回天皇杯4回戦 千葉 vs 札幌 レポート】ミス多発の自滅で札幌を相手に再び天皇杯初戦黒星を喫した千葉。札幌は『気持ち』を見せた攻守で番狂わせを演じる。(06.11.09)













