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●第一試合
武南(埼玉) 1-1(PK 2-4) 盛岡商(岩手)
1/3(火)12:10 キックオフ/9,200人/駒場
得点者:14' 苗代泰地(武南)、61' 東舘勇貴(盛岡商)
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高円宮杯優勝の滝川第二を圧倒し強さを見せつけていた武南だが、盛岡商業の老獪な試合運びに苦戦を強いられた。
端的だったのがFWの成田の献身的な守備である。そもそも齋藤重信監督は「FWのラインをハーフラインまで下げてFWとDFの間を狭くする事を狙っていました」と試合を振り返っているが、そうやって作ったコンパクトな中盤のスペースにさらに2トップの一角である成田が下がり、武南のボールを追いかけ回した。これが武南の中盤での焦りを生み、前戦へのパス出しを封じ込めた。さらに言うとキャプテンの藤村が「空中戦ではトータルすれば負けたかもしれませんが、体をぶつけて簡単にさせないようにしていました」というタイトなマークで松永につき、武南の長所をつぶした。
思うように試合を作れない武南に対し、盛岡商は7分にスルーパスから東舘が抜け出して決定機を作り出すなどペースは盛岡商が握っていた。滝川第二戦で見せた武南の良さは完全に消されていたが、そんな難しい試合でもきっちり仕事をしたのが、武南の10番を背負う苗代だった。前半14分。右サイドから田中優が入れたクロスに反応。「普段からドライブシュートは練習していて、胸トラップをした時にあそこに蹴ろうと思いました」と振り返る狙い通りのファインシュートをねじ込む。
ワンチャンスで先制を許した盛岡商だが、千葉のロングスローをきっかけに成田、東舘とつないだ同点ゴールが7分後に決まったことで、落ち着きを取りもどす。
試合はここから一進一退の展開となるが武南の大山照人監督が「一番心配していた長いボールを多用してしまいました。ハーフタイムで修正がきかないほどでした。ただ、それでチャンスもできたので、選手が近道を選んでしまった。それは本来のうちの戦いではない」と悔やむ内容に。裏を返せば「膠着したのはそれはそれで良かったと思います。失点を無くすことを考えていましたし」と停滞した試合内容を容認する齋藤監督としては、悪くない内容だったと言える。
最後まで得点を狙いに行った武南に対し、最後は「後半になるとFWが前に出て行って間が空いてきたので、ボランチを一枚入れて、もう少し下がってリスクを犯さないサッカーを狙いました」と語る齋藤監督の思惑通りにPK戦へ。4人とも決めた後攻の盛岡商に対し、武南は2人目の田中直、3人目の田中優が外して武南の敗退が決まった。「チーム全体としてやることはやって、出せるものは出せました。勝ち越し点が取れなかったですが、課題が見つかったということで次につながると思います」と後輩へ雪辱を託した苗代はすがすがしい表情。泣きじゃくるチームメイト、マネージャーに落ち着いて声をかけていたのが印象的だっった。
対する盛岡商業の藤村は「先生を国立へ連れていきたいという気持ちが一番です。体調も万全ではないと思いますし定年も近いと思いますし、国立に立ってほしいです」と気持ちを込めて次戦を見据えていた。それぞれの立場での感情が交錯する試合後の風景だった。
●第二試合
境(鳥取) 0-0(PK 2-3) 広島皆実(広島)
1/3(火)14:10 キックオフ/2,300人/駒場
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こみ上げる涙をこらえながら、境の丸谷が質問に答える。「1本フリーで来たんですが、ミスしてしまいました。それが一番悔しいです」
選手権開幕以来の2試合を無失点に抑えてきた広島皆実ディフェンス陣だが、その堅守がほころびたのが前半25分の事。ペナルティエリア左でフリーでボールを受けた丸谷は「GKがニアを切っていたのが見えたので」とファーへのシュートを選択。慌てることなく、落ち着き払って流し込むようにシュートを放った。惜しくも右に逸れてしまった事は何とも残念だが、あれだけの決定的場面でも力むことなく状況判断していたことに驚かされた。
「決めるべきところで決められないのが鳥取全体の課題。克服できるよう、頑張っていきたい」と言葉を続けた丸谷はまだ2年生。その言葉からは鳥取県のサッカーを引っ張っていこうという意気込みが感じられた。決定機だけを見れば境が上回っていた。その証拠に報道陣に囲まれた広島皆実の鯉迫勝也監督は「守備は今日が一番きつかった。今までよりは攻める時間がなかった」と境の攻撃陣を評価していた。ただ、違う視点からこの試合を振り返るとすれば、攻撃的なタレント不在の中、よく耐えていた広島皆実の守備陣を称えるべきだとも言える。
たとえば敗れた境の廣川雄一監督は「試合は支配されると思っていましたが、そこでカウンターを狙おうと思っていました。そこは割とできていたと思います」と丸谷を中心とした攻撃陣に対し一定の評価を与えているが、そのカウンターを広島皆実守備陣は落ち着いて受け止めていた。
2回のやり直しを含め、2本のPKをストップした殊勲のGK増田は、カウンターを受けた場面でも冷静に的確な指示を守備陣に出していたという。そうした守備面での安定感が、結果的に3試合連続無失点という成果を出したとも言えるだろう。
鯉迫監督は「申し訳ありません」と3試合連続無得点ながら3試合連続でPK戦で勝利した試合を振り返ったが、と同時に「PK戦狙いではないんですが」とも述べており、セットプレーを中心にやれる範囲で攻めようという姿勢は見せていた。結果的に勝ったわけで、この成果をそこまで卑下することもないだろう。そもそも今大会はPK戦にまでもつれる試合が多く、守備優位の大会だという事が言えるのかもしれない。高校選手権のJ2化が始まったというのは言い過ぎか。
いずれにしても次の舞台は準々決勝。もう一つ勝てば憧れの国立である。
以上
2006.01.03 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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