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【J1:第11節 広島 vs 横浜FC レポート】カズの日本人最年長ゴールで横浜FCが9試合ぶりの勝利。広島は徹底した守備を崩せず、無得点。(07.05.12)

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5月12日(土) 2007 J1リーグ戦 第11節
広島 0 - 2 横浜FC (14:04/広島ビ/13,636人)
得点者:'23 難波宏明(横浜FC)、'42 三浦知良(横浜FC)

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40歳2ヶ月16日の三浦知良選手が成し遂げた「J1リーグ日本人最年長ゴール」という記録は、ただただ素晴らしいの一言に尽きる。記録そのものが偉大であることはもちろんだが、このゴールが横浜FCの9試合ぶりのリーグ戦勝利に導き、そしてゴールそのものが非常に美しいものだったことが、価値をさらに高めたのである。

42分、横浜FCのGK・菅野孝憲のゴールキックが大きくバウンドし、左サイドに流れ落ちたその場所に向かって、三浦は一心不乱に走った。体勢が崩れそうになりつつも必死で踏ん張り、ボールの落ち際を左足で思い切って叩く。ボールはキュンと上にあがった。スタンドからは、そのままバーを超えていくか、に見えた。が、三浦の「勝ちたい」という執念がこもったボールは、広島GK・下田崇の頭上を超えたあたりでストーンと落ちる。下田は必死で手を伸ばすも、ボールはそのままネットに吸い込まれた。三浦知良という偉大なストライカーにふさわしい、高いクオリティとエンタテイメント性に満ちたゴールだった。

ただ、広島サポーターの立場に立てば、とてもこの偉大なサッカー・マンの業績を祝う気持ちにはなれない。後半のスコアを見れば、15本のシュートを浴びせた広島に対し、横浜FCはわずか1本。いかに広島が攻め続け、横浜FCがそれに耐え続けたか。それなのに、試合は2−0で横浜FCの勝利。この結果を、広島サポーターが受け入れられるわけがない。
試合は、最初から横浜FCがゾーンを低く保って広島の攻撃を受け止める、という形が続いた。が、広島は攻めに出てはいるけれど、横浜FCのブロックの中に入って混乱をもたらすようなプレーが少なく、右サイドの駒野友一の突破に頼る展開が続いた。
とはいえ、横浜FC側にはカウンターのチャンスすらない。このままいけば、いずれ広島に得点が入るだろうと思われた矢先、唐突に横浜FCが先制する。ペナルティエリア近くでボールを持った戸田和幸に滝澤邦彦がプレスをかけ、ボールを奪ってスルーパス。完全にフリーになった難波宏明が落ち着いてシュートを決めた。
この後、横浜FCはゾーンをさらに後ろまで下げ、広島の突破を許さない。駒野のクロスに対する対応も集中し、ウェズレイや佐藤寿人にもいい形でボールを持たせない。攻めることをほとんど考えず、守りきることだけに専念した横浜FCの意志の強さの前に、広島は打開策を持たなかった。

後半、ゾーンをさらに下げた横浜FCは、64分に三浦をさげて根占真伍を投入し、難波の1トップだけ残して10人が自陣に下がった。広島は、ルーキーのU-20日本代表候補FW・平繁龍一を投入し、得点を狙いにいく。しかし、攻めても攻めても立ちはだかる白い壁の前に、広島の想いは最後まで届かなかった。

この試合で唯一、得点のにおいがしたのは、実は左アウトサイド・服部公太の飛び込みだった。佐藤とウェズレイは、共にダブルチームでマークされていたために、実は駒野と服部のサイドにはスペースがあった。おそらく外に自由を与えても中で潰せばいい、という判断だったのだろうが、そこを逆手にとった形になったのが、駒野クロス→服部飛び込んでのシュート、だったのだ。69分のヘッド、81分のボレー。共に、完全にフリーだった。が、最初は菅野のファインセーブに阻まれ、次はバーの上をかすめていった。

全員がやるべきことをやりきった横浜FCに対し、広島は「自分が」というプレーが多くなり、「誰かを活かすために自分が走る」というプレーが、見えなくなった。自然とパスの出し手と受け手の関係だけのプレーが多くなり、引いた相手に有効な「3人目の動き」もほとんどなかった。2トップの破壊力が際立ってはいるが、実際は開幕のF東京戦で見せたような、2列目の選手が2トップに絡み自分の存在を捧げることでストライカーを活かすプレーこそ、広島の攻撃の本質。そんな犠牲的な精神が、この試合では見えなかった。だから、攻撃が単調になり、横浜FCを守りきらせてしまったのである。

「記録よりも、勝ったことが本当に大きい」と語った三浦知良はこの日、チームの勝利のために力一杯闘った。最初から90分持たせるようなスタミナ配分ではなく、攻守にわたってずっと100%の力で、チームメイトを助けるために、この40歳は走った。誰よりも、とにかく必死で。
このサッカーに対する真摯な姿勢を、横浜FCの選手だけでなく、広島の選手も手本とするべきだ。それが、三浦が切り開いた日本のプロサッカーの道を受け継ぐ者たちとしての、義務ではないだろうか。


以上

2007.05.12 Reported by 中野和也
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