5月23日(水)ヤマザキナビスコカップ 広島 vs 千葉(19:00KICK OFF/広島ビ)
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1992年9月5日にスタートしたJリーグ初の公式戦「ヤマザキナビスコカップ」に参加したのは10チーム。そのうち、一度も予選リーグを突破し、決勝トーナメントに進出できていないのは、広島だけだ。過去最高成績は2001年のベスト8(この時は予選リーグなしのノックアウト方式)。同じカップ戦でも天皇杯では3度の準優勝を記録しているだけに、ナビスコカップとの相性の悪さが際立つ。
これは、広島がずっと抱えている「選手層の薄さ」という問題が原因の一つだろう。1992年当時から、広島は何人かの日本代表選手(世代別を含む)を常に輩出している。ところが、ナビスコカップの開催時期と日本代表の活動時期が重なってしまうことが、これまで非常に多かった。もちろん、それは広島だけの問題ではないのだが、選手層の薄い広島はより大きなダメージを受けていたのだ。
今年もこれまで同様代表に主力をとられ、さらにリーグ戦とのスケジュールもタイトだったために、広島は主力をこのカップ戦に投入することが難しく、リーグ戦で控えに回っていた選手たちが起用された。だがその選手たちがこのカップ戦で大活躍しているのだから、今年の広島は頼もしい。
特に、ほとんど主力選手たちで固めたG大阪を相手に、ルーキー・平繁龍一の2戦連発ゴールで得た1点を、U-22世代の高柳一誠・槙野智章らが中心となって守りきり、チームを勝利に結びつけた前節の内容は印象深く、「このチームはいつも驚きを見せてくれる」と、試合後のペトロヴィッチ監督が笑顔を隠せなかったほどだ。その結果として、広島は2連敗スタートの後に3連勝を記録。明日の首位・千葉戦で勝利すれば、文句なしでクラブ史上初の決勝トーナメント進出が決定する。
ただ、広島にとってネガティブなのは、こういう「次に勝てば」という状況をナビスコカップだけで3度経験し、そのすべてがホームゲームだったにもかかわらず、3度とも勝てなかった歴史があること。この大会だけでなく、広島はサントリーチャンピオンシップでも天皇杯でも、決勝戦ではすべて敗戦。「クラブにとっては決勝戦のようなもの」と戸田が語るほど意味のある明日の試合に向けて、この「ここ一番に弱い」体質がマイナスに作用しなければいいが、と心配する向きも多い。
さらに、ボランチの青山敏弘を出場停止で欠いてしまうことも痛手だ。昨年第13節・名古屋戦からポジションを確保している青山を、五輪代表や怪我、出場停止などで欠いた公式戦は過去7度あるが、その戦績は1分6敗。今年のナビスコカップ第2節・千葉戦に彼は出場しなかったが、この試合でも逆転負けを喫している。攻守にアグレッシブで、展開の精度も高い彼の不在は、広島にとっては大きなマイナスだ。
とはいえ、千葉の「野戦病院」ぶりと比較すれば、そんな広島の悩みも軽く感じてしまう。下村東美・ジョルジェビッチを出場停止で欠く上に、羽生直剛・佐藤勇人といった主力中の主力が、19日(リーグ戦第12節)の広島戦で負傷して明日は欠場が濃厚。さらに怪我で離脱中のストヤノフや結城耕造も、広島戦には間に合いそうにない。怪我を押して先週の広島戦に強行出場した水本裕貴や山岸智も、本来であれば休ませたいところだが、それも難しいほどのチーム状況だ。
ただ、今まで出場機会が少なかった選手たちが試合に出る時は、「アピールしてポジションを奪いたい」という気持ちが盛り上がり、モチベーションはよりいっそう高くなるもの。実際19日の試合でも、佐藤・羽生・ジョルジェビッチがピッチから去った後半の千葉は、選手がそれぞれアグレッシブに戦い、ボールと人が激しく動く自分たちのサッカーを前面に押し出して広島を押し込んだ。もし、広島側が「主力のいない千葉」などという気持ちを少しでも持てば、「広島の歴史を変える」(ペトロヴィッチ監督)という想いは、空しく終わることになるだろう。
明日、もし広島と千葉が引き分けならば、グループ1位はG大阪となる可能性もある(神戸に2点差以上で勝利すればG大阪が1位。1点差勝利ならば、G大阪と千葉が勝点・得失点差・総得点で並ぶ可能性もあり、そうなれば当該チーム対戦成績でも五分の両チームが抽選で1位を決めることになる/予選リーグ・順位の決定方法: http://www.j-league.or.jp/yncup/profile.html )。仮に引き分けて勝点10(もしくは9)でのグループ2位となった場合は他グループの結果待ちとなり、絶対に予選リーグを突破できるとは言い切れない。
勝って上にいく。両チームとも、それだけをシンプルに、考えるしかないのだ。
以上
2007.05.22 Reported by 中野和也
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