5月23日（水）ヤマザキナビスコカップ 新潟 vs 名古屋（19:00KICK OFF/東北電ス）
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グループ3位の新潟にとって、クラブ史上初の決勝トーナメント進出のためには勝点3が絶対条件だ（順位表はこちら）。FWエジミウソン、DF内田潤が累積警告で出場停止の上、攻守の要、MFシルビーニョが膝の治療ために一時帰国と、チーム状態は万全ではない。その中でチャンスをつかもうとしているメンバーもいる。左サイドバックでスタメンが濃厚なDF松尾直人もその一人だ。股関節の故障がもとで、昨季でF東京を退団。2005年に在籍した新潟に、練習生を経て今季途中に加入した。故障を克服して復帰した古巣で、完全復活を果たす。
　すでに決勝トーナメント進出の可能性がなくなった名古屋は、リーグ戦とはメンバーを入れ替えてくることが予想される。サブメンバーや若手にとっては絶好のアピールの場になる。

「チームにとっても、自分にとっても大切な試合です」。浅黒く日焼けした精悍な松尾の表情が、一層引き締まった。新潟は勝点8でDグループ3位。勝点3を取り、同グループの首位攻防戦、甲府（1位・勝点10）対鹿島（2位・勝点9）の結果を待つことが決勝トーナメント進出への最良の状況。そうするために、貢献することが松尾のステップアップにもつながる。

名古屋戦は今季初、ホームでのスタメン出場が予想される。ここまでナビスコカップでは第5節、アウェイの甲府戦でフル出場した。リーグ戦は3試合に途中出場。いずれもポジションは左サイドバック。1対1のスムーズな対応と、高さのある守備。攻撃では一気にオーバーラップするスピードと、正確なクロスを持つ。試合ごとに実力の一端を見せてきた。「でも、まだまだです。試合感覚は徐々につかめてきたけど、フィジカルやプレーの精度をもっと上げないと」。現状に満足はしていない。当然、定位置を奪うことが目標にある。「結果を残していかないと。プレッシャーはありますよ」。淡々とした口調の中にも、必死さがにじむ。

4月に追加登録された。それまでは開幕前から練習生として参加していた。股関唇損傷のため、昨季限りでF東京を退団。治療とリハビリに時間を費やし、試合出場はゼロだった。オフ、リハビリを兼ねて新潟の施設で自主トレを始めた。2004年のシーズン途中、神戸から新潟に期限付移籍し、11試合に出場して1得点。攻撃力のあるディフェンダーとしてサポーターのハートをがっちりつかんだ。そのシーズンで神戸に復帰したが、「いい経験ができた」という古巣で、再起の準備を重ねてきた。

新潟がラストチャンスのつもりでいる。故障のケアには十分に時間をかける。２ヶ月前から感じている左アキレス腱の痛みには、練習後に1時間以上かけて対処している。股関節の古傷は、自宅で入念にストレッチをすることで不安を取り払う。

前回の所属時から、新潟の主力は様変わりした。3バックから4バックへ、カウンター主体からポゼッション重視へと戦術も変わった。「運動量の多さと、チーム全体の粘り強さは同じ。僕はもともと攻撃の意識があるので、今の形もスムーズに入れます」。松尾自身、過去の土台の上に、現在のスタイルをうまくミックスさせた。「まず守備をしっかりやる。チャンスになったら、積極的に仕掛けたい。もちろん得点できればいちばんいいです」。ビッグスワンの大歓声に、試合結果と自らの成果で応えるつもりでいる。

モチベーションの高い新潟に、名古屋も負けてはいない。すでに決勝トーナメント進出の可能性はない。予選序盤でメンバーをシフトした感がある。その分、ここに出場する選手個々が、それぞれのアピールをかけて臨んでくる。
　ナビスコ前節は鹿島に1対4で敗れた。FW巻佑樹、MF吉村圭司、DF金古聖司らリーグ戦での控え組がスタメン出場した。新潟との前回の対戦はホームで引分け。このときもGKにルーキーの長谷川徹を起用した。今回も、サブ組中心の布陣が予想される。前節で勝利に貢献できなかった分、今回にかける意気込みは強い。5月に入って、公式戦は1勝4敗と開幕時の勢いはなくなった。ただ、プレスをかけてボールを奪い、流動的に攻めるスタイルは浸透した。もともと能力の高い選手がそろうだけに、集中力を保てば大崩することはない。

どうしても勝ちたい新潟と、ある意味、怖いものなしの名古屋。勝利への意欲の強さがストレートに結果に表れる。

以上

2007.5.22 Reported by 斉藤　慎一郎
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■注目プレイヤー： 松尾　直人選手（新潟）
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