6月10日(日) 2007 J1リーグ戦 第14節
甲府 1 - 6 磐田 (14:02/小瀬/11,389人)
得点者:'17 前田遼一(磐田)、'21 太田吉彰(磐田)、'56 菊地直哉(磐田)、'63 ファブリシオ(磐田)、'73 太田吉彰(磐田)、'77 前田遼一(磐田)、'84 増嶋竜也(甲府)
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■注目プレイヤー: 増嶋 竜也選手(甲府)
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甲府サポーターはブーイングすらしないで、挨拶に来た選手に気持ちを伝えた。1−6という―野球でもショックの大きいスコアの―大敗。得失点で大量5点をプラスした磐田は、次節に3位浮上の可能性も充分にある9位に順位を上げて、連敗を止めた。ゴール祭りで掴んだ自信は、磐田を加速させるだろう。自信を過信に変えることなく、ハードワークに価値を見出し続けることが出来れば、ヤマハエンジンは止まらない。次節、磐田と対戦する横浜FCの高木監督は、記者席でこのゲームを見ていたが、ハマナチオの強化を一週間のテーマに決めたに違いない。
立ち上がりの趨勢が決まる前の開始3分に、甲府はGK・阿部謙作を失ってしまう。前田遼一と空中で交錯して右膝(程度は不明だが靱帯の損傷の可能性が高い)を痛めてプレーが続けられなくなったからだ。鶴田達也を入れてこの悲劇から立ち上がろうとするのだが、この日の甲府はフィニッシュどころか、中盤でボールを失うことが多すぎた。17分と21分の失点は、信条の一つである攻撃から守備への切り替えでミスを繰り返してプレゼントした形だ。普段のトレーニングでは、攻撃から守備への切り替えの部分で、「背中を走られるな、(マークに)ついて行け」ということを実践しており、意識しているはず。だが、前半の2失点は前掛りのチームからゴールを奪うための教科書のような形でゴールを奪われた。
しかし、0−2は希望や闘争心を奪えるスコアではない。次の1点が気持ちのシーソーを大きく動かすことができる。前半の終盤にはチャンスを作っただけに甲府は希望を持って後半を迎えることが出来た。しかし、54分に鈴木健太に代えて藤田健を投入した2分後に、またしてもパスミスから菊地直哉のドリブルショーを見せられて3点目を失ってしまう。菊地の個の能力の高さを見せたゴールでもあった。それでもまだ時間帯は早く、ゴール裏の甲府サポーターは直ぐに声を出した。しかし、メインスタンドからはパスミスに耐えられなくなったヤジが飛び始める。その頃、大木監督は3トップの頂点に入っていた山崎光太郎に代えるつもりで須藤大輔をスタンバイさせていたが、流れがよくなったことで交代をキャンセルする。しかし、直後にファブリシオに4点目を決められてしまう。このゴールは、失点を恐れてゴール前に戻るものの、入ってくる選手のマークはしていないという、パニック・ディフェンスの産物だった。それでも、ゴール裏の甲府サポーターは声を出した。
0−4になった甲府は林健太郎に代えて田森大己をアンカーに送り込んだ。しかし、それだけではミスの多いチームを変えることは出来なかった。73分には太田吉彰に5点目を決められて遂に甲府サポーターは沈黙で意思を表現することを選択する。ゴール裏の沈黙に対して、メインスタンドやバックスタンドからは散発的に「ヴァーンフォーレ」という声が出始めたが、77分に前田に6点目を決められると、これも沈黙させられてしまう。そして、見限って家路につくサポーターが増え始める。フロントの女性スタッフが、「試合中にこんなに大勢の人が帰るのを初めて見た」というほどの流れだった。ただ、評価したいのは、ピッチでプレーする選手が投げやりにならずに、サッカーを続けていたことだ。自らも失点に繋がるパスミスを犯した石原克哉も、自分たちがやるべきサッカーを―出来ているかどうかは別として―冷静にやり遂げようとする意思を見せた。この行為は、大敗したゲームの中で甲府の選手が見せた矜持だ。この姿勢が次に繋がる気がする。
甲府は9回裏(84分)に増嶋竜也の4号ソロホームラン(ゴール)で1点を返したが、5月3日(第9節)に横浜FCに勝って以来、リーグ戦・ナビスコカップを含めて勝利給で口座の残高を減らしていない。甲府のサッカーに対して相手が慣れてきた部分もあるだろうが、昨年のようにスモールフィールド、ボールサイドへの徹底をすれば、失ったボールを同じエリアで奪い返すことが出来るはず。ボールを失ってからのディフェンスが機能していないのは、スモールでもラージでもない中途半端なフィールドで勝負をしているからではないだろうか。それが出来ればボールを失うことを今ほど恐れることなく、勝負をする気持ちの強さを発揮出来る筈だ。
試合後、山崎は「後半の流れがいい時間帯のように、いつもならああいう感じでもっといける。ああいう雰囲気になればイケイケになれるのに…」と話した。しかし、「何かが違った。勢いがなかった」と、ミスを連発した理由は選手にもはっきりとは見えていない。以前茂原は、「『ミスをしたらどうしよう』ではなくて、みんなもっと自信を持ってプレーできればいいのに」という趣旨の話をしたことがある。スモールフィードへの回帰はその後押しをするはずだ。この敗戦はショックだ。しかし、第2次大木政権の3年間で重ねてきたティッシュペーパーの厚みは、この冷や水で全て解けて流れてしまうほど脆くはない。
次節の千葉戦は、勝利から見放されたチームによるトンネルダービーとなってしまうが、トレーニングでの意識を修正することが出来ればトンネルから出ることは出来るはず。積み重ねてきたティッシュペーパーの下は、ダンボールのように硬く強くなっているのだから。
以上
2007.06.11 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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