10月27日(土)J1 第30節 広島 vs 千葉(13:00KICK OFF/広島ビ)
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下村東美が警告累積で出場停止、佐藤勇人が負傷離脱と、ダブルボランチが揃って広島戦不在となる公算が高い千葉に、さらに負傷者が追い打ちをかける。U-22日本代表で、6連勝中には5得点をあげていた右サイドの水野晃樹は右足ふくらはぎの痛みが癒えず、広島戦の出場は厳しい。また、GK立石智紀も別メニュー調整が続いており、彼もまた出場が微妙。第23節〜28節まで続いた6連勝を支えたメンバーのうち4人の欠場が濃厚で、さらにFW新居辰基もケガを抱えている。ここ10試合で7勝3敗と好調な千葉ではあるが、内実は文字通り満身創痍の状態にあると言っていい。特にダブルボランチは、豊富な運動量と激しいプレーで千葉のサッカーを引っ張ってきた中核だけに、二人同時に欠けてしまう影響は大きい、と言わざるを得ないだろう。
しかし、今の広島には、相手チームの状況などは関係ないはずだ。相手に合わせて闘うよりも、自分たちのサッカーを表現することの方が先決。その考え方の正しさは、大宮の堅守速攻を意識するあまりに彼らのサッカーに合わせてしまい、自分たちの進むべき道を見失ってしまった前節の闘いが、証明してくれるだろう。
広島の問題点は、そのバランスの悪さに尽きる。攻撃的なサッカーで相手に脅威を与えている時はそれ以上に失点し、ここ3試合のように失点1に抑えると、今度は点が取れなくなる。レギュラーメンバーのほとんどが攻撃的なセンスを重視されての起用だけに、どうしても全体が前がかりになってしまいがちになる。そのためにカウンターからの失点が増えると、今度は後ろのスペースが怖くなって気持ちが前に出られなくなり、本来の人数をかける攻撃ができなくなって2トップが孤立しているのだ。
ただ、攻撃的な布陣を貫いて、シーズン前半の広島は結果を出してきたわけで、この苦境は能力よりもむしろ「ミスを怖れて前に行けない」という精神的な要因が強いと見るべき。しかし、だからこそ、事態の収束は容易ではない。勝利という結果が出れば自信も出てくるが、その勝利のためには自信が必要、という「鶏が先か、卵が先か」的なパラドックスに陥っているのが、今の広島なのだ。失った自信を取り戻すには、戦術的な修正では難しい。
ケガ人が続出している千葉と違い、広島はベストメンバーを組める。U-22日本代表組の疲れも癒え、コンディションは決して悪くないはずだ。しかし、練習での出来は、正直に言えば日替わり状態。素晴らしいコンビネーションプレーを見せたかと思えば、躍動感が失われたプレーが散見することも。その不安定ぶりが、今のチームの精神状態を表しているように見える。「原点に戻って、自分たちのサッカーを貫けばいい。まずしっかり動いて、ボールを動かすこと。難しく考えすぎずに、自分たちがやるべきことをやりぬけばいい。鹿島・磐田と、チャンスは量産できているのだから」と下田崇は言う。その言葉どおりなのだが、それが思うようにできないところに、選手たちの悩みがある。
ただ、その雰囲気の打開のために、選手たちはそれぞれの立場で動いている。戸田和幸主将は今週も選手たちを集め、ピッチの上でミーティングを開いた。プレーで引っ張るタイプのウェズレイは、昨日の練習で45分にもわたってFKをひたすら蹴り続けた。熱い闘志を胸に秘める李漢宰は、練習中に柏木陽介に対して激しいタックルを見舞い、「サテライト組も気持ちは落ちていない。チームのために闘うんだ」という意志を見せつけた。自分たちにとって今、何ができるかを模索しながら、彼らは行動している。そういう空気が充満してくれば、チーム全体に前への推進力が生まれてくるはずだ。
MFにストヤノフを起用するのか、それとも青山敏弘なのか。練習ではどちらも試していたペトロヴィッチ監督だったが「(どちらを起用するか)最後まで考える」と言う。だが、どちらが出場するにしても、広島の原点である「走るサッカー」が復活するかどうかが、今後の浮上とJ1残留への鍵を握っている。昨年も残留争いに見舞われた広島だったが、6月に就任したペトロヴィッチ監督が徹底して走りぬくサッカーをこのチームに植え付けたことが、シーズン終盤の5連勝につながった。あの苦しかった時のことを、広島とすればもう一度、思い出したい。
「チーム全体で動きまわりたいし、全員で走らないといけない」と柏木陽介が言えば、「考え過ぎず、ガムシャラに走る。全員で走れば、状況は変わる」と青山敏弘も口にする。ペトロヴィッチ監督が自らの目で抜擢した若い選手たちは、強い気持ちを持って勝利することを誓う。彼ら同様に、ペトロヴィッチ監督が育てたDF槙野智章は、こんな言葉を口にした。「シュートを打たれても顔面を突き出して止める。勝利しか考えていません」。
以上
2007.10.26 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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