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【J1:第30節 清水 vs G大阪】レポート:決めるべき3人が1点ずつ決めた清水。5年間勝てなかったG大阪に完勝。(07.10.28)

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10月27日(土) 2007 J1リーグ戦 第30節
清水 3 - 1 G大阪 (19:03/日本平/15,898人)
得点者:12' 矢島卓郎(清水)、51' フェルナンジーニョ(清水)、62' チョジェジン(清水)、86' 山口智(G大阪)

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 前半30分過ぎの取材メモ。「エスパルスがチームとしてよく機能し、個々も随所で良いプレーを見せている。素晴らしい試合。このまま90分いけたらすごい」。やや興奮気味にこう記していたが、それを現実に90分間やり遂げた清水が、5年間勝てなかったG大阪に完勝。躍進した昨年からチームがさらに成長していることを、選手たちが気持ちの入ったプレーで証明した。

 台風20号の影響で、試合前までは雨粒を伴う強い風が吹いていたが、キックオフからしばらくすると徐々に収まり、雨もストップ。コンディションが非常に良い日本平の芝は水浮きが一切なく、気象条件が試合内容に及ぼす影響は最小限に抑えられた。さらに両チームのスタメンは、現状で両監督がベストと考えるメンバーが揃い、お互いに総力を出し合って大一番を戦う条件は整っていた。
 そして、立ち上がりから両チームとも激しく攻め合う。4分にはマグノアウベスの左クロスからバレーがヘディングシュートを放ってG大阪が先に決定機を作るが、その後は清水が主導権を握った。

 G大阪ボールの時は素早くコンパクトな守備のブロックを整え、前線の3人も相手ボランチのところにしっかりとプレッシャーをかけて、G大阪の強力2トップに良いボールを入れさせない。さらに球際での厳しいチェックからボールを奪うと、素早く前線に縦パスを当て、速い攻撃=「ファースブレイク」を展開。2トップのチョと矢島も良い動きを見せて、G大阪のDFラインを押し下げた。
 そんな中、11分に清水が左から仕掛けて右に大きなスペースを作り、フェルナンジーニョのパスから右サイドバックの市川が上がってクロスという自分たちの形でチャンスを作る。その1分後にも同じような状況を作り、藤本のパスから市川が上がって狙いすましたクロス。これにニアのフェルナンジーニョが頭で合わせ、DFに当たってこぼれたボールに矢島が素早く反応してゴール右に流し込んだ。狙い通りの形で先制点を奪ったことで、さらに手応えをつかんだ清水は、その後もG大阪を上回る運動量と集中力を見せる。

 もちろん、そんな中でもG大阪はしっかりとポゼッションしてシュートまで至る力を見せたが、「エスパルスの堅いディフェンスをなかなか崩しきれなかった」(西野監督)という時間が続く。また、マグノアウベスとバレーの2トップも、「バレーが予想以上に良くなく、ほとんどコンビネーションもなかった」(西野監督)と期待通りに機能せず、逆に長谷川監督の立場からは「播戸が非常に調子が良かったし、彼のライン上での駆け引きとか、彼が出たときに生まれるFWのコンビネーションのほうが正直イヤだった」という印象。結果論ではあるが、ケガを抱えるバレーをぶっつけ本番で起用したことが、裏目に出た形だった。

 後半は、G大阪がハーフタイムで橋本→安田、寺田→家長と一気に2人を代え、立ち上がりから積極的に仕掛ける。2分にはセットプレーの2次攻撃から山口が決定的なヘッドを放つが、ここはゴールカバーに入った高木和が目一杯足を伸ばしてクリア。4分にも加地の右クロスからバレーがヘッドでチャンスを作るなど、G大阪のペースになりかけるが、この時間帯は高木和を中心にした清水の守備陣が身体を張って耐えたことが、追加点につながる。

 後半6分、清水が右サイドの高い位置でボールを奪い、兵働のスルーパスからフェルナンジーニョが鮮やかに裏に抜け出して、GKとの1対1から冷静に2点目を流し込んだ。古巣とのゲームで非常に気合いが入っていたフェルナンジーニョが決めたことで、日本平スタジアム全体が爆発的な歓声に包まれ、試合の流れも再び清水のペースに引き戻された。
 さらに17分には、藤本の右CKからエースのチョ・ジェジンがシジクレイに競り勝って決め、清水が決定的な3点目をゲット。決めるべき3人が1点ずつ決め、どれも自分たちの形からのゴールであり、清水にとっては理想に近い3得点だった。

 終盤は、25分にボランチの明神に代えて播戸を入れ、3トップに変更したG大阪が攻める時間が多くなったが、清水の守備のバランスは最後まで崩れない。26分のフェルナンジーニョ→枝村、39分のチョ→岩下という守備を固める交代も効き、セカンドボールをしぶとく拾って、バイタルエリアでG大阪に自由を与えなかった。またG大阪のパワープレーに対しては、五輪代表・青山の空中戦の強さも大きな力を発揮して、つけいるスキを与えない。40分には播戸がもっとも惜しいシュートを放ったが、ここは最後の砦・GK西部がファインセーブ。
 それでもG大阪は、41分に左CKから遠藤→山口のホットラインで意地の1点を返したが、反撃もそこまで。3分のアディショナルタイムも清水が危なげなく守りきって3-1のままタイムアップを迎え、日本平の空に大きな花火が打ち上げられた。

 これで逆転優勝が非常に厳しくなってしまったG大阪の側から見れば、問題点はいくつかあっただろう。だが、それでもG大阪がふがいない戦いをしたというより、清水が素晴らしい戦いをしたという印象が強かったゲーム。雨の中、1万5千人以上が応援に駆けつけた清水サポーター側から見れば、長谷川監督が就任してからのベストゲームと感じた人も多かったのではないだろうか。

以上

2007.10.28 Reported by 前島芳雄
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