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【J1:第30節 甲府 vs 横浜FM】レポート:最高と最悪の中間で終わった第30節。課題は巡るが状況とレベルは違う。甲府は最後右肩上がりのスタートを切った。(07.10.28)

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10月27日(土) 2007 J1リーグ戦 第30節
甲府 1 - 1 横浜FM (18:30/小瀬/9,056人)
得点者:20' 大島秀夫(横浜FM)、38' アルベルト(甲府)

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甲府にとって最高の第30節は、大宮(16位・勝ち点27)、広島(15位・勝ち点29)、大分(14位・勝ち点32)が負けて、甲府(17位・勝ち点25)が勝つこと。そして、最悪の第30節は、大宮、広島、大分が勝って、甲府が負けること。そして、結果は大宮だけが勝ち、大分が負け、広島が引き分けた。J1リーグのゴールテープが近づくにつれて、大宮や広島の試合を見ることが増えた甲府サポーター。昼間に行われた横浜FC対大宮(0−1)、広島対千葉(2−2)をテレビで見て、0−2から追いついた千葉を少し好きになって小瀬陸上競技場に駆けつけたという人は少なくないだろう。この試合の教訓は「最後まで何が起こるか分からない」ということだった。

台風20号の影響で甲府も前日から雨が降り続いたが、排水のいい小瀬のピッチは水たまりを作らなかった。風で飛ばされた雨がメインスタンドの屋根の下をビショビショにする異常な状況でも、ピッチはちゃんとボールを転がして甲府のサッカーをサポートする。甲府は立ち上がりからクサビの縦パスとそのサポートとリアクションで前にボールを運ぶ意欲を積極的に見せた。ただ、サイドから入れるクロスは精度と中の選手とのコンビネーションに問題はあった。赤いアディダスを履く横浜FMの山瀬(功)の精度の高いキック、大島と坂田のツートップが前と裏、ニアとファーと役割を決めて仕事をこなすのに比べて、甲府のフィニッシュには怖さが足りなかった。

今節もオール日本人の先発を組んできた横浜FM。メンバーの入れ替わりはあるものの、横浜FMの日本人選手層が薄くはないことを感じさせる。そして、サブには11月6日に開幕するAFC U-19選手権予選(タイ)のメンバーに選ばれている日本代表の水沼宏太が入った。この横浜FMは今季の総失点が30点と堅い守備を見せる。そして、攻撃に移れば、トップ下の山瀬(功)が軸になって前掛りで薄くなっている甲府のディフェンスラインに襲い掛かる。シーズン始めの目標が優勝になるのが当たり前のビッグクラブ・横浜FMから見れば、精度が足りない攻撃ということになるのだろうが、甲府から見れば彼らの精度は充分に高く見える。一つの現実は複数の側面で成り立っている。

甲府はCBの秋本を中心によく弾き返して健闘するのだが、20分に那須のクロスをファーサイドでフリーの大島に決められてしまう。マークを外していただけに、甲府のディフェンス陣としては悔やまれる失点だった。冷たい雨に濡れそぼった状態で先制されると惨めな気分になりそうになるが、甲府サポーターはすぐに「さあ行こうぜ〜」と歌い始める。そして、その気持ちはピッチの選手と繋がる。38分、アルベルトの「思ったコースとは違ったが決まってよかった」というゴールが決まって、甲府サポーターのなかに勇気と希望が満ちて、雨も寒さも気にならなくなる。

後半は甲府が流れを掴むのだが、フィニッシュの場面で横浜FMの厚くて堅いディフェンスを破れない。そのために、慎重に成りすぎて、「(ボールを奪われる前に)シュートで終われ」とスタンドからコーチングされるシーンが出てくる。そして、チーム対抗カウンター合戦の時間を経て、井上が2枚目のイエローを貰って75分から甲府は10人になってしまう。横浜FMは82分に水沼を投入して攻勢をかけるが、10人の甲府がよく守りきって、勝ち点1を分け合うことで折り合いが付いた。

横浜みなとみらい地区に「マリノスタウン」という素晴らしい施設を持つビッグクラブ・横浜FMにとって、水沼のJリーグデビュー以外は収穫も大きな改善も無かった第30節。自前の練習グラウンドもクラブハウスも持たない甲府にとって、祝杯を挙げる気にはならないものの、しみじみと一杯だけ飲んでから寝ようというくらいの気分にさせてくれる第30節だった。フィニッシュという以前からの課題はあるが、その出現状況は同じではない。状況とレベルが違う状態で最後の課題に直面している。現在の『前にパワーのある攻撃』は悪くは無い。フィニッシュの課題が劇的に解消されることは難しいかもしれないが、少なくとも右肩上がりの状態でゴールテープを切ることは出来そうだ。そのゴールには「(15位以上の)Finish」と書いてあるのか「+2」と書いてあるのか分からないが、チームと選手を信じて最後まで戦える内容と流れ。下位にあえぎながらも、こんな気分で応援できるチームはそうはないだろう。

夏前、「最後の5節でアルベルト爆発」と地元テレビ局のテレビカメラマンが予言していたが、この言葉をこれからの希望に加えて神戸に乗り込めそうだ。

以上

2007.10.28 Reported by 松尾潤
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