11月25日(日) 2007 J2リーグ戦 第51節
水戸 1 - 0 C大阪 (13:05/笠松/4,563人)
得点者:56' 西野晃平(水戸)
----------
水戸を愛するすべての人の気持ちが西野の左足に込められた。56分、ペナルティエリア内でボールを受けた西野が強引なドリブル突破。角度のないところから放ったシュートは相手DFに当たりながらゴールへと転がり込んでいった。ゴール後、西野をはじめほぼ全員の選手が前田監督の下へ走り寄り、抱き合った。前田監督が5年かけて積み上げてきたものがどれだけ大きいのか。このシーンだけでも十分に察することができた。
試合はC大阪ペースで始まった。中盤の軽やかなパスワークで水戸を翻弄。明らかに違うプレーの質。序盤はC大阪の猛攻が続いた。だが、水戸は個々のハードワークで勝った。局面の1対1でも気迫で勝り、また、攻守の切り替えもC大阪よりも早くすることで技術の差を補っていき、15分過ぎから反攻を開始。時間とともにサイド攻撃を繰り出す場面が増え、そして、56分のゴールが生まれることに。終盤、昇格のためには勝利しか許されないC大阪は猛攻を仕掛けてきたが、水戸は1人1人が体を張った守備でゴールを死守。虎の子の1点を守りきって、水戸が勝利をおさめることとなった。
水戸を支えていたものは一つの大きなモチベーションであった。
試合前のミーティングで前田監督は選手たちに「俺に勝利をプレゼントしてくれ」と頼んだという。5年間チームを引っ張り続け、すべての選手に確かな成長を促した前田監督に対する選手たちの熱い気持ちがプレーに表れたのである。「前田監督のためにも絶対に勝ちたかった」。すべての選手が同じことを口にし、それが表れたのがゴール後のシーンだったのだ。
前田監督の今季の挑戦についてここであえて語らせてもらいたい。今年は常に最下位に低迷していたが、今季を変革の年と位置づけ、クラブ一丸となってアクションサッカーにトライしてきた。結果こそついてこなかったが、昨季までの「ごまかしの」(前田監督)カウンターサッカーとは違い、相手と真正面でぶつかることでチームは日々成長してきたし、足りないものも明確に見えるようになってきた。最下位に沈み続けてきたものの、決してそれは恥ずべきことではない。トライしたからこそ得た結果ということを忘れてはいけない。月並みな言い方だが、ジャンプをする時には必ず足を曲げなくてはいけない。それが今年だったのではないだろうか。飛躍のための1年。選手たちもそれを信じて前田監督についてきたのである。でなければ、最下位(この試合で勝って12位浮上)という現状でほぼ全員の選手が監督のところへ抱きつきにはいかないだろう。「来季もこのメンバーでやりたいですね」。倉本は試合後に寂しげな笑みを浮かべて語った。
そんな水戸の気迫にC大阪は押されることとなった。特に「ジェルマーノの不在が大きかった」とクルピ監督が言うように中盤でパスは回すものの、起点が作れず。逆に水戸の「相手のボランチがDFの選手なので、そこにボールを集めさせるように」(前田監督)という術中にはまり、ボールを前に進めることができなくなってしまった。そして、無念の敗戦。昇格の可能性も潰えることとなってしまった。「現実として受け止めないといけない」とクルピ監督は気丈に語った。次節からすでに来季への戦いがはじまる。気持ちを切り替えて戦い続けることでしか道は開かない。
ホーム最終戦で見事な勝利をおさめた水戸。試合後はスタジアム全体からわれんばかりの「前田コール」が巻き起こった。それは今季のサッカーに対するサポーターからの絶大なる評価と見てもいいだろう。「市民クラブ」水戸ホーリーホックにとってこうした市民の理解を得ることが最高の力である。「水戸サポーターは世界一。人数は多くはないが、サッカーをしっかり分かっているし、分かろうとしてくれる。選手をレベルアップさせるのは監督だけでない。サポーターの存在は大きい。それが一体になってないと強くならない。このチームは一体になれてるんです。それが素晴らしい」と前田監督は試合後、水戸のクラブの現状について語った。しかし、そうした現状を築いたのは前田秀樹という男以外何者でもない。サポーターと積極的に対話して現状を説いてきたし、サポーターからの意見も聞き入れてきた。その充実した信頼関係が水戸の未来を明るく染めてきたのである。選手同様、サポーターも前田監督を信じて、同じ夢を見てここまでやってきたことは今さら言うことではないだろう。
前田秀樹が水戸にいる幸せ。5年もいると当たり前になりすぎて、その思いは希薄になりがちだ。しかし、この日、水戸サポーターはあらためて痛感したことだろう。こんなかけがえのない思いができるのは日本中で水戸サポーターだけであるということを。透き通った青空の下、何度も何度も何度も何度も「前田コール」がこだました。それは彼らの魂の叫びであった。
以上
2007.11.26 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第51節 水戸 vs C大阪】レポート:「前田監督のために」一致団結した水戸がC大阪の昇格の芽を摘む勝利。前田秀樹がいる幸せがスタジアムに充満した(07.11.25)
- 開幕招待
- 国立招待
- J.LEAGUE ALL-STAR DAZN CUP
- 熱き一枚を手に入れろ
- ベイブレードコラボ
- 明治安田のJ活
- 明治安田Jリーグ百年構想リーグ
- 明治安田Jリーグ百年構想リーグ フライデーナイトJリーグ
- 2025 移籍情報
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- J.LEAGUE FANTASY CARD
- NEXT GENERATION MATCH 2026
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE
















