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【日本代表 vs タイ代表 日本代表 vs タイ代表】レポート:流れの中から1点にとどまるも、4−1で勝点3確保。南アフリカへ好発進した岡田ジャパン(08.02.07)

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2月6日(水) 日本代表 vs タイ代表
日本代表 4 - 1 タイ代表 (19:23/埼玉/35,130人)
得点者:21' 遠藤 保仁(日本代表)、22' ティーラテープ・ウィノータイ(タイ代表)、54' 大久保 嘉人(日本代表)、66' 中澤 佑二(日本代表)、91+' 巻 誠一郎(日本代表)
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「ワールドカップ予選はそんなに簡単なものではない。勝ったことはすばらしいが、自分自身にも甘さがあったかもしれない」

 日本代表の岡田武史監督はタイに快勝した後、自戒を込めてこう言った。2010年南アフリカワールドカップへ好発進した直後にもかかわらず、表情は緩まない。「セットプレーから点を取れたことは喜ばなくてはいけないが、セットプレー以外で取れなかったことは反省しないといけない」と指揮官は自ら問題点を指摘したのだ。

 確かに今回もまた一筋縄ではいかないワールドカップ予選の洗礼を受けた。序盤から積極的にしかけながらタイの組織的守備にあい、日本は思うようにゴール前を突けなかった。遠藤保仁(G大阪)の直接FKでようやく先制するも、わずか1分後に日本の生命線であるワンボランチ・鈴木啓太(浦和)の横のスペースへの侵入を許し、FWティーラテープ・ウィノータイに芸術的なミドルを決められてしまう。相手はこの形を狙っていたのだろう。今回が3度目のワールドカップ予選となる川口能活(磐田)も「相手の動きが速くなり、対応が遅れてシュートを打たれてしまった」と悔やむ1失点で、日本は再び窮地に立たされたのだ。

 もっと運動量を増やしてダイナミックに行こうと声をかけあって挑んだ後半も立ち上がりは苦しんだ。が、山瀬功治(横浜FM)の果敢なドリブル突破と中村憲剛(川崎F)の「取られたら取り返す」という姿勢が大久保嘉人(神戸)の1点を呼び込む。相手が1人退場した後には、中澤佑二(横浜FM)、途中出場の巻誠一郎(千葉)がそれぞれセットプレーから得点した。
 岡田監督の言うように、流れの中から1点しか取れなかったことには、やはり物足りなさが感じられる。それでも、ワールドカップ予選は結果が全て。大事な初戦を4−1で勝利し、勝点3を確保した意味は大きい。遠藤が「やりたいことの方向性が見えてきた。手ごたえを感じている」と話しているように、チーム全体が岡田監督の目指すサッカーを徐々に具現化しつつある。これを今後の戦いにつなげていくことが肝要だ。

「世界を驚かせるサッカーをする」という大目標を掲げる岡田ジャパンにとって、南アフリカワールドカップ予選は最初の関門。その重要な一歩となるタイ戦が6日、19時20分から埼玉スタジアムで行われた。気温2度、激しい雪が降りしきる最悪の気象条件だったが、約3万5000人を超える熱心なファンが見守った。ジーコジャパンのドイツワールドカップ予選初戦、2004年2月のオマーン戦の約6万人に比べると寂しい数字ではあったが、「少ないといっても1人1人が応援してくれることが伝わってきた」と川口もコメント。選手たちのモチベーションに影響はなかった。

 前回のボスニア・ヘルツェゴビナ戦同様にイビチャ・オシム前監督も観戦に訪れる中、決戦に挑んだ日本代表。岡田監督はボスニア戦と同じスタメンを送り出すと思われたが、右胸の痛みが残る巻を控えに回し、好調の山瀬を先発起用した。高原直泰(浦和)と大久保の2トップにはゴールへの大きな期待が寄せられた。負傷と累積警告で主力4人が出られないタイ相手に、まずは内容と結果の伴うサッカーをしたかった。

 しかし、4−4−2の布陣で来たタイは予想以上に組織力とバランス感覚のある好チームだった。しっかりとラインを上げ下げし、日本の攻撃陣が攻め込んでくると確実にゴール前を固める。そしてスキあらば前線に展開してカウンターを狙ってきた。個々のスキルも高く、2トップはスピードに長けていた。

 そんな相手に対し、立ち上がりの日本はアグレッシブに前へ出た。「これまで序盤は受けに回ることが多かったんで、前から行こうと指示があった」と中村憲剛も話す。しかし徐々に日本の戦い方に慣れたタイに攻撃の起点を抑えられてしまう。高原と大久保のFW陣にはほとんどボールが入らず、タメも作れない。内田篤人(鹿島)、駒野友一(磐田)の両アウトサイドも高い位置でフリーになることが何度かあったが、手数をかけすぎたせいか、効果的なクロスを入れられない。数回あったセットプレーのチャンスもモノにできない。前半はシュートを8本打ちながらも、流れの中からの決定機はなし。寒い中、集まったお客さんも不満に感じただろう。

 ホーム初戦を1−1で終えるようなことがあれば、今後の予選に暗雲が漂う…。そんな危機感を持ってのぞんだ後半。日本はようやく自分たちのサッカーを見せる。遠藤と中村憲剛を軸とした細かいパス回しが機能し始め、山瀬や大久保もドリブルや前へ抜け出す動きで相手を霍乱する。9分の大久保の2点目はそんな流れから生まれたものだ。

 2−1になった後も安心できないムードだったが、19分にタイの10番、ナロンチャイ・ワシラパーンが2枚目の警告を受け退場。その直後に中村憲剛からのFKを中澤がボンバーヘッドで決めたのが大きかった。これでタイの集中が完全に途切れたようだ。途中出場の播戸竜二(G大阪)や巻もゴールに向かう意欲を前面に押し出した。尻上がりに内容がよくなる形で日本は南アフリカへの確実な一歩を踏み出したのである。

 高原が本調子から程遠くFW陣がターゲットになりきれない、サイドも有効に使えず、流れの中から決め手を作りきれない、先制点を挙げた直後に1点を失う…など問題点はいくつもあった。確かにそれは修正しなければならないだろう。それでも選手たちは4−1の勝利を前向きに捉えている。中澤が「東アジア選手権で細かい内容は詰めていきたい」と話すように、3月26日の3次予選第2戦・バーレーン戦(マナマ)まで時間もある。初戦勝利を大きな自信にしつつ、来るべき戦いに向け、さらなるレベルアップを図っていくこと。それができれば、岡田ジャパンは世界を驚かすサッカーに近づく。そんな可能性を感じられる一戦だった。

以上

2008.02.07 Reported by 元川悦子

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【グループB 他試合結果】
オマーン 0−1 バーレーン

※この結果、日本が得失点差でグループB首位に立ちました!
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