2月24日（日）2008Jリーグプレシーズンマッチ 鹿島 vs 水戸（14:00KICK OFF/カシマ）
-鹿島へ行こう！ スタジアムガイドはこちら-
★2008春のＪリーグ・プレシーズンマッチ予定
----------

　毎年恒例となった「いばらきサッカーフェスティバル」。シーズン開幕を告げるこのイベントも今年で4回目。過去3戦は鹿島が力の差を見せ、勝利をおさめている。ただ、勝敗も大事だが、シーズン前にお互いの今季のコンセプトを茨城県民に知らせる重要な一戦であり、今季も互いの持ち味を出し切る好ゲームになることに期待したい。

　今年の対戦は両チームにとって例年以上に大切なものになるだろう。

　鹿島は昨季、リーグと天皇杯の2冠を達成。今季は00年以来の3冠を期待されるのはもちろん、実力的にもさらなる向上を見せ付けることが求められている。そして、今年はアジア王者という大きな目標を抱えており、そうした野望を抱いて臨む1年の到来を告げる試合だけに充実した内容を見せておきたいところだ。「結果を出していい形でゼロックス（スーパーカップ）に向かいたい」と曽ヶ端準は気合いを見せる。鹿島側はプレシーズンマッチといえども今週水曜の水戸の練習試合にスカウティングを派遣するなど、万全を期してこの一戦へ臨む構えだ。

　田代有三、内田篤人、岩政大樹が日本代表として東アジア選手権で奮闘中であり（※岩政選手は怪我のため途中離脱）、伊野波雅彦、石神直哉がU-23代表のアメリカ遠征に参加中ということで5人もの主力を欠いての一戦となるが、今年は日本代表はワールドカップ予選、五輪代表は北京五輪を控えていることもあり、リーグやナビスコカップでも同様の事態となることは十分に予想がつく。また、今年はACLもあり、タイトな日程での戦いが余儀なくされる中、けが人や出場停止などベストメンバーで戦えない試合が増えるはずだ。そうした中で絶対的に求められるのは層の厚さである。昨年は代表選手も少なく、リーグ戦に集中して戦えたことでリーグ制覇を成し遂げたが、王者として臨む今季は昨年以上に厳しいシーズンになることは間違いない。そのためにもこの一戦で新たな戦力の台頭を示しておきたい。　

　中でも注目したいのは右サイドバックとして先発出場濃厚の笠井健太だ。ブラジルから逆輸入という形で今季鹿島に加入。持ち前の俊足と運動量を駆使して右サイドを駆け上がる姿を見せてくれることだろう。内田のいぬ間にしっかりとアピールしておきたいところ。昨季以上のチーム力の上乗せという部分で彼にかかる期待は大きい。この試合での彼のプレーが今年の鹿島を占うと言っても過言ではないかもしれない。

　水戸にとっても重要な一戦だ。木山隆之監督の初陣であり、大幅に選手が入れ替わったチームがどう生まれ変わったのかを示す最初の舞台である。昨季築いたアクションサッカーをさらに昇華させるべく、前線から激しくプレスをかけるサッカーを徹底しており、そのサッカーがどれだけ通用するのかを試せる最高の機会と言えよう。これまでの練習試合では主力組は無失点できており、「守備はメドがついた」と木山監督は手応えをつかんでいる。それが王者・鹿島に通用すればチームとしても大きな自信を得ることとなるだろう。

　思い出されるのは昨年の天皇杯4回戦。鹿島と対戦した水戸はコンパクトな組織的な守備で対応。徐々にプレスゾーンを上げていき、後半は3度の決定機を作るなど鹿島を苦しめる展開へと持ち込んだ。結果的には0対2で敗れたものの、その試合で大きな自信を手に入れた水戸はその後のリーグ戦で自信に満ちたプレーを披露。第51節にはC大阪に勝利をおさめるに至ったことは記憶に新しい。そうした経験があるだけにこの試合から水戸が得るものは計り知れない。「自信につなげられる試合にしたい」と西野晃平は意気込みを語った。

　両チームの今季を占う一戦。だが、この試合の意義はそれだけではない。茨城県にはJリーグクラブが2つあるというものの、サッカー浸透度はまだまだ発展途上と言っていいだろう。両クラブともより一層のアピールが求められているのだ。茨城県のサッカー熱を高めるような一戦を、茨城県のサッカー潜在能力を掘り起こすような一戦を、そんな責任を背負って戦うということを胸に刻んで選手たちはピッチに立ってほしい。茨城県を魅了することがこの試合の最大の義務である。

以上

2008.02.22 Reported by 佐藤拓也