2月24日(日) 2008Jリーグプレシーズンマッチ
鹿島 3 - 0 水戸 (14:01/カシマ/7,012人)
得点者:16' 中後 雅喜(鹿島)、46' 野沢 拓也(鹿島)、49' 小笠原 満男(鹿島)
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4回目を迎えた「いばらきサッカーフェスティバル」は過去最も力の差が表れる内容となった。
序盤から圧倒的な鹿島ペース。中盤での丁寧なパス回しと果敢なフリーランニングで水戸のプレスをかいくぐっていった。そして、次々と決定機を演出。6分にはダニーロが、13分には野沢拓也が、14分には再びダニーロがチャンスを迎えることとなった。「今が疲れのピーク」と本山雅志が言うようにまだコンディションが万全でなく、ゴール前での力強さを欠いたことでチャンスを生かすことができなかったが、この中で1点でも入っていれば大量得点差も十分にあり得ただろう。
ただ、それでもしっかりとゴールを奪うのが王者の強さと言えよう。16分、CKのこぼれ球を拾ったダニーロがミドルシュート。ゴール前でそのボールを受けた新井場徹が落とし、横にいた中後雅喜が蹴りこんで先制。その後も流麗なパスワークで水戸ゴールを襲い、後半開始直後に鋭い速攻から2得点。勝負を決めることとなった。
今季も鹿島は強い。そう思わせたのはやはり中盤の力だ。代表に5人もの選手を送り出しているため、スクランブル的な4−5−1システムで臨んだものの、中盤の5人が流動的な動きを見せ、水戸の守備を切り裂いていった。特に目立ったのはダニーロだ。昨年は連携が合わず、孤立する場面が多かった選手だったが、この試合では彼にボールがよく収まり、そこから厚みのある攻撃ができていた。「日本のサッカーのテンポをつかめるようになっている」と指揮官もダニーロの成長ぶりに頼もしさを感じざるを得なかった。
そして、この試合において鹿島にとって求められていたものは結果だけでなく、多くの選手を起用することである。特に若手選手に出場機会を与えることもこの試合の狙いと言えるだろう。タイトな日程に向けて、選手層を厚くしなければならないという使命を背負うが、その面でも意味のある試合であった。本来はMFの大道広幸をセンターバックで起用。不慣れなポジションながらも安定した動きで水戸の攻撃を防いだのをはじめ、船山祐二、遠藤康、小谷野 顕治、佐々木竜太ら若手を起用し、経験を積ませることができた。いずれも積極的なプレーを見せ、「確実に成長していきている」と指揮官を喜ばせる内容となった。
2週間後の開幕に向け、まだ準備段階。だが、水戸をまったく寄せ付けない勝利をおさめたことで調整の順調ぶりを見せ付けることとなった。「あとは代表組が戻ってきてから、仕上げていけばいい」と大岩剛。昨年以上の高みを目指しての船出。その視界は良好のようだ。
一方、水戸は苦しい船出となった。攻守においていいところがなく、過去の対戦で最も力の差を見せ付けられることとなってしまった。その要因は自分たちのサッカーを貫いたからだろう。リスクを背負いながらもDFラインを高く保ち、全体が流動的に動くことで相手の攻撃を封じ、そしてできるだけ高い位置でボールを奪い、速攻を仕掛ける。これが今季の水戸の狙いである。この試合においても「引いて守るのではなく、前から積極的にプレスができた」と金澤大将は手応えを語り、チームの方向性にぶれがないことを説いた。だが、それが実践できたのは前半45分のみ。後半は運動量が落ち、間延びしてしまい、チームとしての戦いは見られなかった。自分たちのサッカーができなかった時にどうするか。戦術の柔軟性を欠くという大きな課題を露出することとなった。
また、攻撃面においてもチャンスらしいチャンスは作れず。後半に何度か攻め込んだものの、ほとんどがカウンターであり、チームとしての狙いの攻撃は見られなかった。高い位置でボールを奪えたとしても、その後のパス回しが単調でゴール前まで行けず。最後まで鹿島ゴールを脅かすシーンはやってこなかった。今季の水戸が掲げる「アグレッシブ」は残念ながら見ることはできなかった。
攻守において単調さだけが目立った水戸。高い位置からのプレスという自分たちのサッカーに固執しすぎたため、プレーに緩急がなく、スペースも作れず、逆に自分たちサッカーすらできない状況を作り出してしまった。自分たちのサッカーをするためには何をしなければならないのか。状況に応じた戦いというのを煮詰めていかないといけないだろう。開幕まで2週間、やるべきことの多さだけを痛感させられる90分であった。
以上
2008.02.24 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
一覧へ【2008Jリーグプレシーズンマッチ 鹿島 vs 水戸】レポート:茨城決戦は鹿島が水戸を一蹴し、昨年以上の高みに向けて順調な船出。これまでの対戦で最も力の差が表れる内容となった。(08.02.24)
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