3月16日(日) 2008 J2リーグ戦 第2節
岐阜 0 - 1 仙台 (13:03/長良川/5,023人)
得点者:23' オウンゴ−ル(仙台)
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岐阜にとって歴史的な日は、春の到来を感じるほどの晴天に恵まれた。長良川球技場のメインスタンド外のコンコースでは、地元の名産品のお店がずらりと軒を並べ、試合前から多くの人でごったがえした。対戦相手が人気のある仙台とあって、仙台のユニフォームやTシャツを身に纏った多くのサポーターも、この活気に加わって、岐阜名物に舌鼓を打った。
試合前はどこか牧歌的でほんわかした雰囲気だったが、キックオフが直前に迫ると、一気に戦闘モードに。共にゴール裏バックスタンドよりのコーナーに陣取ったサポーターから大きな声援がこだました。
いよいよホーム開幕戦がキックオフ。立ち上がりは岐阜が高いラインをキープしてくることを想定していた仙台が、前線の中原貴之をターゲットにしたロングボールを軸にリズムを作り出そうとする。
対する岐阜は相手のロングボールにひるむことなく、小峯隆幸と川島眞也が強気のラインコントロールで、真っ向から対抗。中原に自由を与えず、セカンドボールは菅和範と北村隆二のダブルボランチと連動してセカンドボールを拾って、素早く攻撃に繋げる本来のサッカーを展開した。しかし、この日の岐阜は両SBが思うように機能しなかった。左SBの奈須伸也が怪我で出場を回避し、本来はCBとボランチで、甲府戦では右SBだった山田正道が左へ入り、吉村光示が右SBに入ったが、慣れないポジションと、吉村の調子が上がりきっていないこともあり、仙台の攻撃の生命線である梁勇基、関口訓充の両サイドアタッカーの個人技とスピードに翻弄されてしまった。すると23分、中原からのパスを右サイドで受けた梁のセンタリングをクリアしようとした山田のヘッドが、そのままゴールに入り、痛恨のオウンゴールで先制点を献上してしまう。
失点はオウンゴールであったが、サイドのほころびを突かれた結果の失点であった。その後も関口や梁にサイドをえぐられ、ピンチを招くも、GK日野優を軸に耐え抜いて、前半を1−0で折り返した。
後半も仙台は中原をターゲットにしたロングボールを軸に、追加点を狙いに来た。前半同様に関口、梁がサイドを突破するが、仙台の攻撃がワンパターンになってきたせいか、徐々に岐阜の守備陣が対応しやすくなり、抑えるポイントが絞れるようになった。
仙台が要所をしっかりと押さえる岐阜の堅い守備をこじ開けきれないでいると、ここを勝負どころと見た松永監督が動いた。FW片桐淳至を左サイドにシフトし、64分にはスピードが売りで前に仕掛けることが出来るFW姜曉一を投入。片桐が2列目に下がりボールを中継することで、ボランチのビルドアップの時間と、姜、片山の前への推進力を引き出し、徐々に岐阜の攻撃が形作られていった。
だが、サイドのバランスを完全に修正するまでには至らず、甲府戦の終盤では解消出来ていたFWと中盤の距離の広がりが解消出来ないまま、時間が過ぎていき、そのままタイムアップ。岐阜の初勝利はお預けとなり、仙台が初勝利を掴んだ。
試合後、仙台・手倉森誠監督は「選手には『自分の初勝利で誰もゴール決めていないぞ』と言いました」と語り、会見場に笑いを誘ったが、決して単なるジョークではなかった。この日の仙台はサイドを突破できても、そこからのアイデアが乏しく、縦へのシンプルな攻撃においても、FW中島裕希が抜群のタイミングで飛び出してもパスが来なかったり、彼が前線で粘ってキープしても、フォローがなかったり、フィニッシュに繋がるまでのオートマチズムが足りなかった。昨年はロペスというフィニッシュまでに繋げる潤滑油的な選手がいたため、萬代宏樹(現磐田)と中島がゴールに直結するプレーが出来たが、今季はいまだその役割を果たす選手が出てきていない。ここを解消しない限り、長丁場のJ2を戦い抜くには不安要素が多くなってしまうだろう。
一方の岐阜も同様の悩みを抱えている。J2初参戦といえど、明確な狙いを持った守備の形、攻撃の形は出来ている。あとは松永監督の言う「フィニッシュまでの自動化」がスムーズに出来るか。まさに仙台同様、サイドを崩したり、相手のマークの歪を生み出した後以降の潤滑油となるプレーが足りないだけに、試合を重ねていくごとにプレーの精度を積み上げていくしかない。
共に課題が残った一戦。この共通する課題をどちらが先に解消する糸口を掴むことができるのか。ここに注目していきたい。
かくして岐阜のホーム開幕戦は幕を閉じた。初勝利こそお預けとなったが、確かに岐阜にJがやってきた。この歴史的瞬間に5,023人の観衆が立ち会ったが、この数字がシーズン最高の観客数にならないように、クラブも努力しなければいけないし、周りももっと興味を持って欲しい。こうした相互努力の一つ一つの積み重ねが、チームを強くし、やがて本当の意味で岐阜に根付いたクラブになっていくのだから。今日はその一歩を踏み出したに過ぎない。岐阜の長い道のりはまだ始まったばかりだ。
以上
2008.03.16 Reported by 安藤隆人
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第2節 岐阜 vs 仙台】レポート:岐阜、記念すべきホーム開幕戦を勝利で飾れず。仙台が今季初勝利を挙げる。(08.03.16)
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