3月16日(日) 2008 J2リーグ戦 第2節
広島 3 - 0 愛媛 (14:04/広島ビ/17,250人)
得点者:23' 高萩洋次郎(広島)、74' 高萩洋次郎(広島)、89' 佐藤寿人(広島)
----------
もちろん、ヒーローは2得点の高萩洋次郎だ。
均衡を破った先制点は、ゴールよりもアシストに美学を求める高萩としては珍しい、思いきったダイレクトミドル。美しい弾道を描いてネットに突き刺さったこのゴールが、守備から入ってしのごうとした愛媛のゲームプランを崩した。
そして、愛媛がボール支配率を高めた後半にたたき込んだ、高萩の見事な2点目。服部公太の突破、久保竜彦のダイレクトシュートと続いたダイナミックプレーをしめくくった、角度のないところからの強烈なシュート。ゴールだけを考えて放った『高萩らしくない』プレーから生まれたこの2ゴールをきっかけに、それまで美しいパスを出すことにこだわってきた広島育ちのファンタジスタが「ゴールゲッター」として脱皮できれば、これは広島にとって本当に大きな収穫だろう。
ただ、このゲームのMVPは誰か、と問われれば、高萩と共にもう一人の選手が浮かび上がる。
イリアン・ストヤノフ。広島の最終ラインに君臨するスーパー・プレーヤーだ。
1点目の起点となったロングパスは、特に前半、愛媛の脅威となった。スペースを正確に突き、広島の選手の動きを呼び込むパスが通る度に、愛媛は広島の圧力にさらされる。機を見て上がるドリブルは、ボールを失うことなくスペースをつくる。そういう派手なプレーばかりでなく、ショートパスを駆使してゲームのメリハリをつけるプレーは、まさに最後尾のゲームメイカーと称すべき働き。
もちろん、「私の本職は守ること」と彼が言い切るように、ディフェンスでの貢献も素晴らしい。危険な場所には必ず紫の背番号2が現れ、相手の攻撃を未然に防いだ。愛媛が突破をしかけても冷静に対処し、アーリークロスを放り込んでもまったく慌てることなくはじき返し続けた。
槙野智章と盛田剛平にしっかりと声をかけ、DFラインを一つの意志の元に統率する。木寺浩一とコミュニケーションを交わし、森崎浩司らMF陣と連係をとって、広島の守備に1本の芯を通した別格とも言える彼の存在こそ、広島の勝利の源泉だったのである。
「崩されたわけではない」
「充分に闘える」
愛媛の選手たちは、試合後、口々にそう語った。確かに、広島が圧倒的にパスを回したわけでもなく、後半は愛媛のボール支配率も高まった。しかし、「最後のシュートの質・クロスの質の差」と青野大介が語っていたように、ゴール近く1/3のスペースでの精度が、課題として浮き彫りになったことも確かである。
特にストヤノフのような百戦錬磨のDFを相手にした場合、そこを突き崩すには正確性だけでなくアイデア、そして抜け目なさが求められる。例えばそれは、後半終了間際に大木勉が放った「3人目の動き」からのシュート。右クロスに対して若林学が競り、そこにトップ下から飛び込んだ大木の動きは、ストヤノフや盛田剛平の集中が若林に向かっていたところをついた、さすがの「抜け目ない」プレーだった。こういうプレーを各選手が意識して取り組んでいけば、チームとしての闘い方は明確なだけに、愛媛が面白い存在に成長する可能性は大いにある。
それにしても、今日のビッグアーチの雰囲気は素晴らしかった。それは1万7250人という「昨年のリーグ戦でも、これ以上集まったのは浦和戦だけ」とペトロヴィッチ監督が言うほどの多くの観衆が集まったためだけではない。紫に染まったスタンドから間断なく声援が送られ、「我々は今日、サポーターも含めた12人の選手で闘っていた」と指揮官に言わしめたほどのハイテンションぶりを見せた。特に、久保竜彦が6年ぶりに紫のユニフォームを身にまとって登場した瞬間、ムードは最高潮に盛り上がり、強烈な声援と拍手は最後までスタジアムを包んだ。いつもは決して派手なパフォーマンスは見せない高萩が、2点目を決めた後、一目散に広島のサポーターのもとに走り、スタンドの前で拳を突き上げたのも、そのサポーターの大声援に応えたいがためだ。
サポーターが熱い歓声と手拍子で選手をサポートし、その声援に選手がプレーで応じる。この強烈な雰囲気の高まりこそ、『ALL FOR J1』、1年でJ1に返り咲くという広島全体の決意の表れである。
以上
2008.03.17 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第2節 広島 vs 愛媛】レポート:まさに大黒柱。イリアン・ストヤノフこそ、熱く盛り上がった広島ビッグアーチの主役。(08.03.16)
- 終盤戦特集2025
- アウォーズ2025
- 明治安田J1昇格プレーオフ2025
- 明治安田J2昇格プレーオフ2025
- J3・JFL入れ替え戦
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- 明治安田Jリーグ百年構想リーグ
- 2025 月間表彰
- 2025 移籍情報
- 2025 大会概要
- J.LEAGUE FANTASY CARD
- 2025 Jリーグインターナショナルユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE













