3月20日（木）J2 第3節 山形 vs 岐阜（13:00KICK OFF/ＮＤスタ）
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-★勝敗予想ゲーム！J2第3節は20日13:00締め切り！-
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　サポーターが参加した「雪かき大作戦」やこのところの陽気ですっかり雪が消えたＮＤソフトスタジアム山形が、静かにホーム開幕のときを待っている。クラブでは新たに「イレブンミリオンプロジェクトグループ」を創設し、もうひとつの戦いである観客動員にも本腰を入れている。ついに生命を吹き込まれたマスコット「ディーオ」はホームゲーム初登場、もうひとりの「モンテス」も高さ８ｍのエアドームとなって来場者を迎えることになった。入場する選手たちをゴール裏の紙吹雪が迎えれば、雰囲気は最高潮に達する。このスタジアムでしか体験できない高揚感を４カ月ぶりに、存分に味わいたい。

　今季初めてＮＤスタに足を踏み入れる対戦相手、新規参入の岐阜は、甲府に１−１、仙台に０−１と２戦を終えて１分け１敗。２試合合計でシュート数８本、被シュート数25本という数字が示すとおり、特に攻撃ではＪＦＬとのレベルの違いを体感しているところだろう。しかし、松永英機監督に率いられた選手たちはやられっ放しで沈黙することなく、隙あらばという気概とチャレンジ精神が90分間にわたり保たれている。物怖じしないニューカマーだ。

　片山真人は前線のターゲットマンとしての存在感を光らせる。仙台戦では相手を背負いターンしながら放ったシュートがポストに跳ね返されたが、山形・小林伸二監督が「体をストッパーにくっつけてプレーする」と独特なボールさばきを警戒する。前を向けば左足の強烈な一発を持っている片桐淳至は、左右に流れて起点をつくることも忘れない。そこから上がるクロスに対して、タイミングよくゴール前まに顔を出すのがボランチの菅和範だ。ＦＷには森山泰行、梅田高志といった実力者の名前が並び、05年に山形でプレーした高木和正も中盤を元気に走り回っている。

　果敢に攻める代償として、自ら空けたスペースは当然狙われることになる。しかし、波状攻撃にどれだけラインを崩されようとも、最後の１人までつかまえる執念の守備を武器に、つなぐ甲府、縦に鋭い仙台ともに最少失点に抑えてきた。センターバックには、高さを担当する川島眞也とカバーリングの小峯隆幸。 対山形では、豊田の高さには川島が主に対応することになるが、半端ではないリチェーリのスピードにどう対応するのか。小峯のポジショニングや両サイドバックの絞り加減は、岐阜の運命を左右するカギになりそうだ。

　山形は内容で押していた開幕戦で鳥栖に手痛い１敗を喫したが、続く前節・Ｃ大阪戦では、オウンゴールを含む３得点で快勝。勝点を手みやげにホーム開幕を迎えられることで、多くの選手が「ほっとした」と口にする。

　ゲームを支配し、シュート数で14対４と上回りながら０−１と敗れた鳥栖戦後、ボランチ渡辺匠が口にしたのは、14本の中身だった。「完全に崩しきったところまでいっていない。もっとチャンスの数を増やさなければ」。その反省が生きたのが前節・Ｃ大阪戦。一度ボール際まで下りてからスペースへ石川竜也のクロスを呼び込んだ豊田陽平のヘディングで前半13分に先制すると、前半終了間際にはリチェーリが得意のボール奪取からオウンゴールを誘うクロスで追加点。後半にはＣＫからゾーンの隙を突いて小原章吾が３点目を挙げ、週１回の非公開練習の成果も見せた。豊田からリチェーリへ、ワンタッチでスルーパスを狙うシーンが２度見られたように、課題とされる２トップの連携も大きな進歩が感じられるものだった。

　逆に、最大の特長としている守備では課題が見つかった。Ｃ大阪の的確なボール回しに人数が足りなくなるシーンが幾度となくあり、失点もマークを外した古橋に決められたもの。今週のトレーニングでは、自陣でラインをつくり、相手のポゼッションに対してどのタイミングでボールに出るのか、オフ・ザ・ボールではどこにポジションを取るのかを入念にチェックし直している。

　Ｃ大阪との一戦を前にした13日、長く療養していた小林監督の父が他界した。山形から監督就任のオファーを受けた昨年11月、その病状を気にかけ話を断ることも考えたが、本人に相談したところ、返ってきた言葉は「もたもたせんで仕事せいや！海外に行くわけじゃないんだから」だった。「そう言ってもらったので話を引き受けたんです。感謝しています」。14日には急遽チームを離れて実家の雲仙市国見に戻り、ユニフォームと同じ黄色と白星を意味する白の菊を棺の中に供え、Ｃ大阪戦は当日15日にチーム合流。そして何事もなかったかのように指揮を執った。「バタバタしているなかで落ち着いてゲームをやってくれた選手にも感謝しています」と、小林監督は特別な１勝を振り返る。

　そうした指揮官の姿に、選手たちも何かを感じ取っていたのだろうか。キャプテン宮沢克行は「そういう選手がいたかもしれないし、そこまで考える余裕もない選手もいたかもしれない」と、選手個々の内面に答えをとどめた。そのうえで、自身については「僕はキャプテンだし、少なからずそういう気持ちはありました。でもそこに執着はしないように。あくまでも、セレッソに負けたくないということをメインに戦いました」と話している。

　チームの総合力を見れば、岐阜との間には明らかに開きがある。それでも、Ｃ大阪に勝てたことで気を緩めたり自分たちの力を過信したりすれば、粘り強い岐阜のペースに引きずり込まれることになるだろう。今節最大のポイントを、小林監督は「メンタルです」と言いきる。ひたむきに戦う姿勢こそが、スローガン「BE MOVING！」実現の絶対条件であることを忘れてはならない。

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2008.03.19 Reported by 佐藤円