3月20日（木）ヤマザキナビスコカップ 東京Ｖ vs 磐田（15:00KICK OFF/味スタ）
-ゲームサマリーはこちら-
-味スタへ行こう！ スタジアムガイドはこちら-

----------
「楽しみにしていて下さい」
好ゲームを誓い力強く笑った福西崇史の言葉には、自信と期待が込められていた。

自信をもたらしているのは、新天地として選んだJ1復帰元年・東京Vのチーム状態だ。リーグ戦開幕・川崎F戦、第２節・鹿島戦とJ屈指の強豪相手に互角の戦いをみせられたことは福西だけではなく、チーム全体に大きな勇気と希望を与えている。
結果こそ０−０（ｖｓ川崎F）、０−２（ｖｓ鹿島）と勝利へはつながっていないが、「ほんの少しの差。この２戦で見ている人に『ヴェルディやるじゃん』と思わせることはできた」と柱谷哲二監督も及第点をつける。

特に「まずはしっかりとした守備」「９０分間、勝つためにファイトする」という東京V伝統のサッカーのためのコンセプトがチームとして守られていることは高く評価されている。
「早く１勝して方向性は間違っていないと証明したい。（ここ２試合のように）良いサッカーをすればお客さんもついてきてくれるはず。ぜひ見に来て欲しい」と、福西はこの試合でも全力で戦うことを誓った。

だが、やはり「『やるじゃん』だけでは絶対にダメ。プロである以上まず勝負にこだわらなければ」と指揮官は語気を強める。「ほんの少しの差」と表した最大の課題・決定機に決めるか決めないか、は結果にすると非常に大きな違いとなる。ストライカー不在が囁かれるが「だったら逆にそれを生かせばいい」と富澤。廣山望、飯尾一慶、河野広貴ら攻撃陣をはじめボランチ福西、冨澤自身、さらにはDF和田拓三などポジションに限らずシュート力の高い選手が積極的に狙うのも１つの打開策だという。１８日（火）の練習後にも多くの選手がシュート練習をする姿があった。
誰の一撃が闘将監督に初勝利をもたらすだろうか。注目だ。

福西のことばから感じる期待感は、言うまでもなく「古巣・磐田との対決」へのものだ。昨年もF東京に在籍し４度の古巣対決を行ったが、「知った顔が多いので何回やっても楽しいし、雰囲気が好きです」やはり思い入れは強い。今季は同じく磐田を古巣とする服部も初対決を迎える。「ハットさんもやりたそうだった。今年のジュビロは名波（浩）さんやカワム（河村崇大選手）も戻って懐かしい顔が増えたしね」。特徴を熟知している同士だけに、互いの良さを引き出し合った好ゲームをぜひ期待したい。

「楽しみ」なのは当然磐田側も同じだ。特に名波は昨季を東京Vで過ごしただけに、この一戦に対する思いは誰よりも強い。人情深い名波にとって元チームメイトやチームの状態は常に気になっているし、逆に「名波さんに会って人生が変わった」と心底彼を慕う飯尾（東京V）をはじめ昨季共にプレーした東京Vの選手たちも敵とはいえ再び同じピッチに立つことをとても楽しみにしている。
リーグ戦開幕から２試合、ベンチ入りメンバーには入りながらもここまでは残念ながら出番は巡ってきてはいないが、サックスブルーの背番号「１６」の登場を、磐田サポーターも、東京Vサポーターも心から待ち望んでいるだろう。チャンスは十分ありそうだ。

磐田は、開幕戦こそ柏に０−２で敗れたものの、１５日（土）の試合にはしっかりと気持ちを切り替え、中山雅史の１５年連続となるゴールなど３得点を挙げG大阪に快勝した。
「まだまだ」（河村）とは言うものの良いイメージをもってこの試合に挑めそうだ。
特にキャンプ時から好調なのが西紀寛で、久しぶりにFWとして出場したG大阪戦でも、持ち前の運動量に加え、彼が引かずに前で起点となれたことが大きな勝因の１つと言えるだろう。「西の動きにどう周りが絡んで行けるか」（内山篤監督）がポイントとなりそうだ。

この試合、磐田は日本代表に招集されているGK川口能活とMF駒野友一を欠いて戦うことになる。代わって入ると予想される五輪代表復帰を狙いたいGK松井謙弥、右サイドの太田吉彰はこのチャンスに必死にアピールしたいところだろう。彼らの闘志にもぜひ注目したい。

「大会が変わろうと目の前の試合に勝つだけ」
両チームの監督・選手全員が口を揃えたように、各クラブが重点を置くリーグ戦とは大会は変わるが、東京V、磐田ともチーム構築中だけに、今は１つでも多くの試合をこなし、チームとしての完成度を少しでも高めていくことが最も大切な時期である。
どちらの監督も「現時点でのベストメンバーで勝ちに行く」と宣言する。

選手、スタッフ、サポーターが楽しみにしているゲームが盛り上がらないはずはないだろう。福西のことば通り、東京Vにとっても磐田にとっても見応えのある試合が見られそうだ。

以上

2008.03.19 Reported by上岡真里江