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【J2:第3節 山形 vs 岐阜】レポート:シーソーゲームを抜け出した岐阜が大量5得点で歴史的なJ初勝利!山形はゴール前で人をつかまえきれず、無惨な「ホーム開幕」に。(08.03.21)

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3月20日(木) 2008 J2リーグ戦 第3節
山形 3 - 5 岐阜 (13:04/NDスタ/5,430人)
得点者:11' 高木和正(岐阜)、15' 豊田陽平(山形)、18' 渡辺匠(山形)、26' 片山真人(岐阜)、44' 片山真人(岐阜)、46' 高木和正(岐阜)、83' 菅和範(岐阜)、89' レオナルド(山形)

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 ゴールシーンは計8回。どんな演出担当も敵わないど派手なゲームを制したのは、ホーム開幕戦を迎えたNDスタの主ではなく、J2新規参入を果たしてわずか3試合目のアウェイチーム。遠く山形の地で、岐阜がJ2初勝利となる歴史的な1勝を刻んだ。

 前節・C大阪戦で内容を伴った3−1で快勝し、迎えたホーム開幕戦。「最初は前からガツガツ行こうって言ってた」(宮本)という山形が、あわや秒殺かというシーンをつくり試合が幕を開ける。豊田がクリックオン。自陣ゴールに向かって追った川島からリチェーリがボールを奪い去り、GK日野と1対1。しかし股抜きを狙ったシュートは、とっさに閉じた日野の足元で弾かれた。

 この一撃でビビらないメンタリティが、いまの岐阜にはある。「受け身に立った面は否めない」(宮沢)という山形をはるかに上回る早いリアクションでセカンドボールを奪い、前をめざした。しばらくはつなぎの拙さからすぐにボールを失い、この試合でも得点は遠いかと思われたが、前半11分、右サイドで起点となった片桐からのクロスに中央で高木頭から突っ込んだ。混戦のようにも見えたが、最後には相手を背負った片山がきっちりと落とし、高木が詰める。古巣への恩返し弾がゴールマウス右隅に流し込まれた。

 追う山形はここから豊田にボールを集める。ポジションの関係で岐阜のCB川島とは距離がある中央右寄りでプレー。豊田を見ることになったのは小峯と山田だが、高さではいかんともしがたく、放り込まれるすべてのボールを豊田は自由にプレーする。前半14分、石川からの長い左クロスにはタイミングが合わず、ヘディングシュートは力なくGK日野の正面に飛んだが、続く15分、同じような位置から渡辺がクロスを入れると、今度はしっかりとゴール右に打ち込み、同点。さらに18分、左へ流れたリチェーリからのクロスがクリアされ、こぼれたボールを渡辺がミドルシュート。山形が一気に逆転に成功した。

 しかし、立場は変わっても、岐阜の攻めの姿勢と山形の寄せの甘さは変わらず。岐阜がカウンターの牙を剥いて一気に押し込むと、26分にはスローインの流れから梅田、さらに片山へ。片山はポスト際で相手を背負っていたが、体をぶつけてプレーエリアを確保すると、難なくターンして同点弾を流し込んだ。さらに前半ロスタイムにも、梅田のFK、菅が折り返しから片山が3点目のヘディングを決め、岐阜が再逆転。不甲斐ない内容のホームチームに、スタンドからは檄を込めたブーイングが浴びせられた。

 山形は前節で高いパフォーマンスを見せたCB石井をあきらめ、後半頭から、怪我で外れていたレオナルドを投入して守備の立て直しを図る。しかし、その目論見もたったの1分で崩れた。岐阜が右・梅田→中・片桐→右・吉村と壁パスでサイドを突破してクロス。ニアに走り込んだ片山にはレオナルドが付いたが、ボールの行き先はそこではなく、ファーサイド。高木が縦に走りながら頭を突きだし、ゴールネットを揺らした。

 プレシーズンから1試合ごとに守備への自信を深めてきた山形だが、2点を追いかける予想だにしなかった展開に直面し、攻撃の歯車にも狂いが生じていた。リチェーリの足を頼んで裏を狙うものの余裕で対応され、これを見た小林監督は財前投入とともにリチェーリをベンチに下げる。そのあとは前半の2得点のきっかけとなった豊田の頭をめがけてボールを蹴り込むが、裏へ飛び出すリチェーリはすでにピッチにはいない。ならばと足元に付けようにも、すでに守備重視にシフトした岐阜の狭い網を通り抜けることも至難の業。孤立した豊田のサポートするために両サイドが中に入れば、空けたスペースが岐阜カウンターの起点に利用された。もはやボールに対して前に出ることさえ億劫になった山形はゴール前で固まり、サイドで回し放題の権利を得た岐阜は、後半38分、片桐が右からクロスに、マークを外してニアに飛び込んだ菅が5点目のダメを押した。山形がロスタイムのFKからようやく挙げた3点目は、もはや焼け石に水だった。

 「遠いのかなという感はあった」(松永監督)初勝利を、第3節で、しかも5得点という大量点で飾った岐阜。勝利への気迫で勝っていたという点では、得られるべくして得られた勝利と言える。選手たちの表情にはJ2で戦っていけるという自信が溢れていたが、それと同時に「失点の仕方は最低」(小峯)と、3失点への反省も忘れていない。この勢いで、次節はホームで徳島を迎え撃つ。「33番目のクラブ」を自認する謙虚さの上に、勝つことでさらなる自信を積み上げたい。

 「堅い守備がベース」「球際に厳しい」「必ず勝ってくれる」などのさまざまな期待を大きく裏切り、逆の意味で「BE MOVING!」(心を動かす)なゲームをしてしまった山形。新規参入クラブからの手痛い一発は、J2での9シーズンの歴史を否定されかねない、危うい敗戦だ。信頼は一瞬にして失望に変わるが、その逆の途をたどるには長い時間を必要とする。宮沢キャプテンは「少しずつですけど、信頼を取り戻すためにやっていきたい」と話すが、その第一歩となるのが、第5節・甲府戦だ。開け損ねた“開幕”という幕を、今度こそ開けることができるのか。失ったものを取り戻すためにも、もう同じ失敗は許されない。

以上

2008.03.21 Reported by 佐藤円
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