3月20日(木) 2008 ヤマザキナビスコカップ
柏 1 - 1 札幌 (16:02/柏の葉/4,838人)
得点者:56' 菅沼実(柏)、72' 砂川誠(札幌)
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寒風吹きすさぶ柏の葉公園総合競技場で、躍動感のあるプレーを披露した弱冠17歳のストライカー、大津祐樹。ナビスコカップ開幕戦で早くも先発のチャンスをつかんだ今季新加入のルーキーは、あどけなさの残るその顔で、自らのプレーを「駄目ですね」と繰り返して振り返った。
だが、この日大津が見せたプレーは、非常にインパクトのあるものだった。右サイドで相手DFを翻弄し、また抜きからの流麗な動きで送ったラボーナでのクロス。得点には繋がらなかったものの、柏の背番号27にとってはまさにこの試合のハイライトとも呼べるシーンだった。滞空時間の長いジャンプやパンチの効いたシュートなど、時折見せる日本人離れした迫力溢れるプレーには、多くのサポーターが今後の成長に向けてますます期待を募らせたに違いない。
また、ちばぎんカップでいきなりデビューの場を与え、リーグ開幕後もチャンスを与え続けている石崎監督も、「いいものがある。可能性としてはすごく面白い」とその潜在能力を高く評価する。もちろん、一方では「まだプレーが軽いし、フィジカル的に飛ばされてしまう」と指摘するように、課題は山積みだ。本人にしても「まだ全然。キープしたときに身体が弱い」と自覚している。ただ、1カ月後、2カ月後の成長した姿を想像するだけでも胸は膨らむだけに、とにかくまずは初得点が待たれるところ。『17歳ながら』という枕詞も、またひとつ年を重ねる3日後には使われなくなるが、柏のワンダーボーイの眼前には大きな道が開かれている。
さて、試合の方はと言えば、札幌の三浦俊也監督が振り返ったとおり、「フィジカル的なゲーム」となった。雨と風が吹き荒れるなか、「まるで北海道でやっているようだった」(同監督)というほどの寒さに包まれて、両チームはなかなかうまく試合を進められなかった。ともにつなぎの部分でミスが出てしまい、決定的な場面は数えるほど。端的に言えば、両チームともに、ゴール前での工夫というこれまでの課題をこの試合で消化することはできなかった。
そんななか、この日柏で結果を残してみせたのは菅沼実だった。「石川に感謝したい」。そう語った柏のスピードスターは、左サイドバックとして後方を支える仲間に促され、解き放たれたかのようにピッチを蹂躙した。56分の鎌田次郎からのボールは風の影響を受けたようにも見えたが、菅沼の目の前に落ちたときにはあとはボールを浮かしてGKをかわすだけだった。試合後、切れ長の目で記者陣の質問にハキハキと答えていく同選手は、ゴールよりも決定機を決め切れなかった場面を悔やんでいたが、五輪代表も見据えながらもストイックに「勝たないと評価されない。結果を出したい」と話していた。
これに対し、札幌はダヴィやクライトンといった外国籍選手の個人能力を活かして徐々に押し返していった。先制点を浴びたあとも集中を切らさず、72分には途中出場の砂川誠が値千金の一発。交代直後に見せた切れのあるドリブルからの同点弾は、まさに古巣相手に見舞った手痛い恩返しとなった。全体を通して見れば、特に攻撃面では決して明るい材料だけだったとは言えない札幌だが、ビハインドを覆しての連敗ストップという事実は、チームに確かな自信を与えたはずである。
この試合で、近藤直也、古賀正紘というDFラインの主力を故障で失い、またも苦しい台所事情を強いられることになった柏。ようやくケガ人が戻ってきたという余韻に浸る間もなく再び訪れた不運にも、石崎監督は「ええ、まだ選手もたくさんいますし。…そうでもないか(笑)」とおどけていたが、「まだ選手もいる」というコメントは意外と実感に近いものだったのではないだろうか。この日も先制点をアシストし、今季の新人のなかでも即戦力という言葉が最もぴったりとくる選手のひとりであろう鎌田の存在も心強いし、昨季から着実に積み上げてきたものがこの苦難を埋め合わせることだろう。
「古賀と近藤は恐らく長期離脱」という石崎監督の言葉には、多くのサポーターが不安を募らせたに違いないが、柏がこの試合で大きな収穫を得たこともまた事実である。「ホームでの勝点1は痛いねぇ」。スタジアムからの帰り道、タクシーの運転手が語った言葉にも、それほどリアリティは感じられなかった。
以上
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