3月23日（日）J2 第4節 甲府 vs 福岡（16:00KICK OFF/小瀬）
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J1昇格を果たした05年シーズンと同じ△△●でスロースタート中の甲府。第1節がお休みだった福岡は、第2節に甲府より強い水戸に2−1で勝ったものの、第3節は昨年4戦全敗だった天敵・仙台にPKの1点で試合を決められ1勝1敗。それでも、まだ2試合しか消化していない福岡は、溢れているかどうかは判らないが希望に満ちているだろう。しかし、甲府はポジティブコンテストで入賞を狙えるようなプレビューを書くことは難しくなってきた。DF・秋本倫孝、FW・宇留野純が戻ってくる4月には結果がついてくると信じているが、「1年でJ1復帰」という大きな看板を掲げた以上、よっぽど能天気か昇格達成の未来を見てきたのび太君でないと、寝転がってマンガを読んではいられない。現時点では05年の第4節は○ということが最大のポジティブ要素になってしまった。

3012足の靴がゆったりとスタジアムを埋めた水戸戦は、第2節で見せた前進の続きが見られなかった。今の甲府が抱える課題の打開策については人それぞれ色々な意見を持っているだろうが、今になってズシりと圧し掛かるのは甲府の立ち位置の難しさ。この立ち位置に縛られてしまうのだ。選手もスタッフもフロントも多くのサポーターも甲府シンパのマスコミも、3位以上のところにバミリの目印をつけてシーズンに入ったものの、そこに立つ難しさや厳しさを思い知らされている。J1でG大阪、鹿島、横浜FMに挑んで勝利をもぎ取ったときのようなモチベーションと集中力はどこに行ったのだろうか。殆どの選手は残留したし、下手になっている訳でもない。立ち位置を修正し、挑戦者のメンタリティとガッツを取り戻して3位以上を見上げる目線で戦う覚悟が必要になってきた。しかし、それを主導するリーダーがいないことは不安材料。責任の擦り付け合いにならないようにコントロールすることが何よりも重要。結果が出ないときに安間監督・コーチ陣がどう選手に接して自信を継続させて福岡戦に臨むのか興味深い。

福岡はオーストラリア国籍の2枚目FW・グリフィスが左足の捻挫で今節の出場が難しそうだが、黒部光昭という軸が残っており、極端に戦力が落ちることはなさそうだし、フィジカルの強さをグイグイ出してくるツートップになる。中盤はリトバルスキー監督が今の甲府をどう見ているかで変化がありそうだが、中盤を制することに重点を置くなら中払大介、タレイ、久永辰徳に、第1節の負傷から復帰する可能性が高い久藤清一の先発が濃厚。簡単には主導権を握らせてくれないだろう。ベテラン勢が好調の福岡は、傷だらけの優勝候補・甲府にとって最強の相手となる。逆に、相手のレベルが高ければ甲府のストロングポイントを引き出してくれることに期待を持つことも出来る。選手はお互いに激しく戦うだろうが、90分間積極性を失わない戦いで、失点やミスを恐れずに攻撃的に戦う姿を期待している。3点取られれば4点取り返すメンタリティを見せて欲しい。

プロなんだから「結果が全て」と切り捨てることも出来るが、過程のない結果もない訳で、その苦しんでいる過程を正当に、チョット温かく、希望と一緒に見るだけの価値は甲府の選手やスタッフには充分にある。今節は「ワァオ」と喜びたくなるような新人選手の抜擢がありそうで、苦しんでいる中でも前進を楽しむことは出来るはず。水戸戦は悪天候のために、期待も前進も濡れたピッチに塗れてしまったが、福岡戦は乾いた芝生の上で新しい力がチームに活力を与えてくれる姿を見ることが出来るはずだ。

以上

2008.03.22 Reported by 松尾潤