4月12日（土）J2 第7節 福岡 vs 岐阜（13:00KICK OFF/レベスタ）
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　運動量がない。スピードがない。連携もない。ないない尽くしの徳島戦だった。敗れたという結果も受け入れ難いものだが、それ以前に、やるべきことを何ひとつやろうとしない福岡の姿はサポーターにとっては信じられないものだった。自分たちの狙いとするサッカーを徹底していた徳島の戦い方は見事だったが、それにしても福岡はあまりにも内容がなさすぎた。そして今節。嫌な空気を払拭するために、Ｊ１復帰を口にするにふさわしいチームであることを証明するために、福岡は内容も結果も問われる１戦を迎える。

「この前のような試合は１回限りにしないといけない」（久永辰徳）。そんな福岡に求められるのは自分たちのサッカーを90分間にわたって主体的に展開することだ。例年以上にチーム間格差がなくなった今シーズンのJ2では、わずかな気の緩みは足元をすくわれることにつながる。特に、どのチームも攻撃面での成長が著しく、順位にかかわらず、相手を受けながら戦えるリーグではなくなっている。相手の出方を見るのではなく、自らが仕掛けていくサッカー。それが岐阜戦でやななければいけないサッカーだ。

　そのためのポイントとなるのは中盤の連動性だ。「攻撃面での動き出しと運動量に欠けていた。特に中盤はグループとして連動しないといけない」（リトバルスキー監督）。まずは高い位置からプレスを掛けること。そして、細かく動き出してスペースを作り、そのスペースを使って素早くボールを動かすこと。第５節の愛媛戦で見せた中盤のハードワークを取り戻さなければならない。今週のトレーニングでは中盤のコンビネーション練習に多くの時間が割かれたが、実戦でどこまで機能するかに注目したい。

　一方、迎える岐阜は、ここまで２勝２分２敗の五分。開幕直後はプロのスピードに戸惑う様子も見せていたが、試合を重ねることで順応し、Ｊリーグ昇格１年目ながら堂々とした戦いを見せている。第５節のＣ大阪戦は０−１で敗れたものの、試合の主導権を握っていたのはむしろ岐阜。前節の広島との対戦では１点のビハインドを背負いながらも、自分たちのリズムで試合を進めて引き分けに持ち込んだ。ここまでの結果は勢いではなく、自分たちの実力に応じたものと言える。

　持ち味は、高い守備意識とカウンター。中盤をコンパクトにして守備ブロックを形成し、相手がハーフウェイラインを越えて前に出たところで数的優位を作って囲い込む。そして、その勢いのままにボールを奪い、シンプルでリズミカルなパスワークを駆使してカウンターを仕掛ける。２トップに加え、両ＳＨ、ボランチが駆け上がる攻撃は迫力がある。それを可能にしているのが、豊富な運動量と攻守の切り替えの速さ。対戦チームの多くが、そのスピードに悩まされている。

　注目の選手はＦＷ片桐淳至。攻撃から守備までいたるところに顔を出し、すべての攻撃はここから始まる。スピードだけではなくスルーパスを繰り出す能力も高い。この片桐と連携して攻撃のリズムを刻むのはＦＷ片山真人と右ＳＨの梅田高志の２人。３人で作る右サイドからの攻撃は要注意だ。そして、高いキャプテンシーと的確なカバーリングで最終ラインを統率するのが小峯隆幸。福岡から移籍した川島眞也もゴール前で高い壁を作る。

　さて、Ｊリーグでプレーすることの喜びと、チャレンジ精神溢れるアグレッシブな姿勢をぶつけてくる岐阜は、福岡にとっては決して簡単な相手ではない。時間帯によっては押し込まれる展開も覚悟する必要がある。しかし、福岡にとっては、仕切り直しの大事な１戦。しかもホームでの戦いである以上、勝点３がノルマと言える。「ホームでは全部勝つつもり。自分たちのやるべきことをやり通せば問題はない」（久永）。意地と誇りをかけてレベルファイブスタジアムで戦う福岡。徳島戦を払拭する勝利が見たい。

以上

2008.04.11 Reported by 中倉一志