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【J2:第11節 鳥栖 vs 水戸】レポート:まずは勝つこと!試合前の宣言どおりに結果を出した鳥栖。退場者を出して自らを窮地に追い込んだ水戸(08.05.03)

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5月3日(土) 2008 J2リーグ戦 第11節
鳥栖 3 - 0 水戸 (13:04/ベアスタ/5,507人)
得点者:66' 高橋義希(鳥栖)、85' 高地系治(鳥栖)、88' 石田博行(鳥栖)
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まず、敗れた水戸のGK本間幸司の言葉から紹介したい。
「今までの試合の中で、経験したことがない軌道だった」
J2で250試合以上の経験を持つ彼が脱帽したシュートは、66分の出来事だった。そのシュートは、「前節の敗戦を完全に振り払った」(DF飯尾和也/鳥栖)ものであり、7試合ぶりに鳥栖に無失点での勝利を呼び込むものだった。

試合後の監督会見で、鳥栖・岸野監督のトーンが高くなったのは、話題が無失点に及んだ時だった。「無失点で耐えて、先制点をあげて勝つ」事が、鳥栖の目指すサッカー。この目指すことが出来たことを、監督はじめ選手たちは素直に喜んでいた。しかし、無失点で終わった試合内容は、鳥栖の健闘だけでなく水戸が「自ら招いた」(木山監督/水戸)ことにも起因する。32分に水戸のMF中村英之が、この日2枚目の警告を受けて、水戸は窮地に陥った。それまでは、一進一退の攻防を見せていただけに、この退場は水戸にとっては取り返しがつかないものとなった。数的な優位を生かし、鳥栖はボールを左右に散らし水戸ディフェンスの綻びを狙った。しかし、水戸もDF大和田真史と平松大志のラインコントロールで前半を無失点で切り抜けた。

先に動いたのは鳥栖。後半開始から、左サイドDFに加藤秀典を入れて、高地系治を左MFの位置に入れて、よりパスの起点を作る作戦に出た。さらに65分、次の手を打って出た。FW金信泳を下げて、左MFに野崎陽介を入れた。この時点で、鳥栖は4−1−4−1のシステムとなる。このワンボランチにMF高橋義希が入ったことで、前述66分の出来事が生まれたわけである。
左サイドの野崎から中央の高地と渡ったボールを高橋が受けたのは、水戸ゴールから40m手前の正面の位置だった。右足から「狙っていた」(高橋/鳥栖)シュートは、GK本間がその軌道を眼で追うだけになってしまう見事な『ブレボール』となって、ゴールに吸い込まれていった。「2年間の練習の成果が出た」と高橋が満身の笑みで振り返ったゴールは、先制点となりさらに鳥栖の勢いに火をつけた。

85分には、水戸ゴールから25m地点での直接FKを高地がゴール左上に決めた。GK本間は「あそこに決められたら…」と続く言葉が出なかった。88分には、途中出場のMF石田博行が、水戸ゴール正面30m地点から、低い弾道のシュートを決めた。GK本間は「無回転ボール。芯を食ったようなシュートだった」と完全脱帽した。
高橋だけではなく、高地も石田も日頃から居残り練習で磨いた技の結果をピッチで見せてくれた。3点目が決まった瞬間のベンチと選手たちの喜びようは、単にゴールが決まった喜びだけでなく、全員が厳しい練習に耐え、切磋琢磨し、励ましあったことの表現でもある。そして、鳥栖が目指す「無失点」での勝利を告げるホイッスルが、大歓声と共にスタジアムにこだました。

水戸も今節まで9試合12得点と力強い攻撃を見せていた。しかし、「連戦を乗り切るため」(木山監督/水戸)に元気者のFW荒田智之をベンチスタートさせた策は、32分の退場劇で「プランが全部崩れて…」(木山監督)しまい、3試合連続3失点を喫してしまうこととなった。
大和田の5試合ぶりの出場も、終わってみれば失点を止めることはできなかった。DF金澤大将も、攻撃に参加する時間が非常に短かった。全ては、32分の「自ら招いた」(木山監督)出来事で窮地に陥り、66分からの芸術的な3本のゴールを呼び込むこととなってしまった。

鳥栖は、今節の勝利で前節の敗戦を払拭した。水戸を崩し切ることは少なかったが、「最低限の結果は出した」(岸野監督/鳥栖)ことになった。対した水戸は、今季の特徴である攻撃力を生かすことが出来ずに終わった。次節までは、お互いに時間がない中で、今節の結果は連戦の疲れを癒すことにも、倍増することにもなった次第であった。

「サッカーの華は、ゴールである」とよく言われる。今節の鳥栖の放った3本はいずれも『華』と呼ぶにふさわしいゴールだった。ゴールに至るまでの過程も大事だが、今節のゴールはぜひ録画をして永久保存版にして残してほしい。後世に語り継がれるゴールには、いくつものドラマがついているが、この日の3本のゴールのドラマには、試合中だけでは見られないドラマが隠されてあり、観るたびに『サガン鳥栖ファンの初心に帰る』事が出来るゴールである。

「練習でなし得ないことは、試合でもなし得ない」
地道な努力の積み重ねと強い意思を持ってして、初めて感動を与えるプレーが出来る。サッカーは人生そのものであり、人生はサッカーそのものである。サッカーに感謝したい。

以上


2008.05.03 Reported by サカクラゲン
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