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【J1:第10節 川崎F vs 鹿島】レポート:驚異的な集中力の川崎Fが、3戦連続逆転勝利で5位浮上。一方の鹿島はリーグ戦5戦連続未勝利で順位を一つ落とす。(08.05.04)

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5月3日(土) 2008 J1リーグ戦 第10節
川崎F 3 - 2 鹿島 (19:03/等々力/20,280人)
得点者:13' マルキーニョス(鹿島)、25' 谷口博之(川崎F)、33' 青木剛(鹿島)、56' 鄭大世(川崎F)、57' 中村憲剛(川崎F)
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 劇的な試合展開に笑顔の攻撃陣とは対照的に、少しばかり険しい表情の守備陣とのコントラストが印象的な試合後だった。川崎Fは課題だった守備の安定感を欠く前半を演じてしまう。試合開始直後の13分。注意していたはずの先制点を「結構何気ないスローインから」(森勇介)あっさりと奪われてしまった。

 見事なジャンピングボレーによってアウェイでの貴重な先制弾を叩き込んだマルキーニョスは、その直後に異変を示し、すぐにピッチから退くことに。オリヴェイラ監督は試合後の会見で「ケガをしてしまって残念です。それがお腹なのか、恥骨なのかはまだ定かではないですが、本当に残念です」と口にすると「彼のケガが精神的なダメージをチームに与えた部分はあると考えられます」とマルキーニョスの存在の大きさについて率直な見解を述べていた。

 攻撃の核を失った鹿島に対し、川崎Fは鄭大世が前線で体を張って起点となり攻撃を組み立てるいつもの戦いに持ち込む。ペースを掴んだ川崎Fが、ジワジワと鹿島を追いつめる中、同点ゴールが生まれたのが25分のことだった。中村憲剛からのスローインは警戒されていた鄭大世を経由して谷口博之の足元へ。完全にラインの裏に抜け出した谷口は、コースを見極めて左足を振り抜き、ニアポストを破る豪快なシュートを突き刺した。

 一気に逆転ゴールを奪いたかった川崎Fだが、33分に一瞬の隙を突かれてしまった。「先に点を取られると余計にエネルギーを使う」(村上和弘)事はわかっているのだが、中盤がぽっかりとあいた状況で青木に、アウトにかけた技ありのロングシュートを決められてしまうのである。川崎Fはシュート10本で1ゴール。対する鹿島は3本で2得点。開幕以降の川崎Fの試合での傾向、つまり得点力不足そのままの数字で前半を終了する。

 ハーフタイムにサイド攻撃を意識させた高畠監督の指示は的確だった。この日何度となく左サイドを上下動し、広大なスペースの中でボールを呼び込もうとしていた山岸智にようやくパスが出たのが後半56分の事だった。攻守の切り替えを早くした中での速攻で、中村から左サイドの山岸へ。中央に走り込む鄭大世が見えていたという山岸は落ち着いてラストパス。「得点の場面はゴールを見てました。冷静でしたし、あそこしかないと思いました」という鄭大世がニアサイドを破って同点ゴールを決めた。

 意気消沈した鹿島に対し、川崎Fは攻撃の手を緩めない。同点ゴールの1分後。今度はジュニーニョから山岸へパスが出ると、ファーサイドに走り込む中村の頭にドンピシャのクロスを上げる。

「点を取れたのはたまたま。味方がいたから。落ち着いてできました」という中村の、06年以来という珍しいヘディングシュートが決まり、川崎Fが一気に逆転ゴールを奪った。

 勝点3を手に出来る状況になると川崎Fの安定感は際立っている。柏戦、名古屋戦で見せたねばり強い守備で鹿島の攻撃をシャットアウト。点を取りに来た鹿島を後半は2本のシュートに抑え込んで見せた。ただ、追加点が奪えなかったこともあり、見ている観客には冷や冷やの場面は続いたが結局そのままのスコアで逃げ切る事に成功した。

 高畠監督体制に移行した川崎Fは新体制下での3試合で先制点を奪われる苦しい戦いを続けているが、それでも3連勝によって首位との勝点差は3にまで縮小。順位も5位にまで浮上した。快調な攻撃陣に対し、守備での課題は残っているが試合の中で攻守のバランスを探る作業に勝利はプラスの役割を果たすはず。

 対する鹿島は、ケガ人とACLの影響が大きいのか、リーグ戦5試合勝ち星がないという苦しい状況に追い込まれている。ただ、個人能力の高さには定評があり、元々ポテンシャルを持つチームということもあって、ここを耐えれば道は開けてくるだろう。今はガマンの日々である。

以上

2008.05.04 Reported by 江藤高志
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