5月3日（土） 2008 J1リーグ戦 第10節
千葉 0 - 1 柏　（16:03／フクアリ／14,103人）
得点者：37' アレックス（柏）
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　キックオフ前の選手入場時、柏サポーターが陣取ったサイドのゴール裏を除いたフクダ電子アリーナのスタンドでは、千葉のユニフォームのカラーである黄色と紺のボードが掲げられた。そこに浮かび上がった人文字は『ＡＬＬ　ＦＯＲ　ＷＩＮ』。ここまでリーグ戦未勝利＆リーグ戦５連敗の千葉の選手を鼓舞し、奮起を促して勝利を祈るものだった。

　サポーターのメッセージに応えるように、これまではゴール前に下がりがちでピンチを招いてきたディフェンスラインの位置を、ＤＦ池田昇平が何度も声とジェスチャーで高く維持しようと努めているのが記者席からも見えた。その効果もあってボール保持率は決して悪くなかった前半の千葉だが、前線に効果的なボールが入らない。右膝の負傷を抱えながらスタメン出場したＦＷ巻誠一郎がボールを呼んだり、ＦＷ新居辰基が相手の裏に脱け出そうとする動きを見せたりしても、なかなかそのタイミングでパスが出てこなかった。
　サイドを変えるパスも、効果的なサイドチェンジというよりも、縦にうまく入れられないために横へ横へとボールが動くようにしか見えない。試合後、前線までボールがうまく入らなかったことについて巻に聞くと「みんなビビりながらプレーしすぎだからと思います」という答え。勇気あるチャレンジが少なく、シュート数ゼロの前半が悔やまれた。

　その前半の37分、千葉が池田のファウルで与えてしまったＦＫを蹴ったのは、柏のＭＦアレックス。ボールはゴール前中央に飛び込んだ柏のＤＦ古賀正紘の頭にかすったようにも見えたが、実は誰も触っていないままゴールネットに突き刺さった。そして、この場面で柏がセットプレーから確実に『１点』を奪ったのに対して、千葉は『１点』が遠かった。
　ヨジップクゼ監督は後半開始からＤＦボスナーに代えて入れたＭＦ坂本將貴を右サイドバックで起用。さらに、51分には新居に代えてＦＷレイナウドを入れた。積極的に仕掛けようとする坂本、効果的なボールキープとラストパスを見せたレイナウドによって、65分過ぎからは千葉が主導権を握る。だが、誰よりも闘争心にあふれた果敢なプレーで気を吐いていたＭＦ谷澤達也の69分、75分のシュートは惜しくもゴールポストの横で、73分にはＭＦフルゴビッチがレイナウドのプレゼントパスをシュートミス。76分には前半から相手の裏を突くパスと動きの意識が高かったＭＦ工藤浩平からのスルーパスを受け、ＦＷ苔口卓也がグラウンダーのシュートを放つが、柏のＧＫ菅野孝憲が好プレーのキャッチ。ＦＫやＣＫでのシュートはゴールの枠に飛ばず、千葉はノーゴールで敗れた。

　警戒していたはずのセットプレーでの失点も悔いが残るが、それよりも残念なのはやはり前半の攻撃だ。「自信とちょっとした勇気も必要」とは試合後の坂本の弁。現状では自信を持つのは難しいだろうが、この試合ではほとんどなかったミドルシュートを含め、ミスを恐れず思い切って挑まなければゴールは生まれない。次節の相手は首位の浦和。これ以上落ちようのない最下位の千葉だからこそ、挑戦する心を忘れずにプレーしてほしい。

以上

2008.05.04 Reported by 赤沼圭子