5月11日(日) 2008 J1リーグ戦 第12節
清水 1 - 0 鹿島 (13:04/日本平/16,195人)
得点者:24' 本田拓也(清水)
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キックオフ直後の鹿島のロングフィード、これに対して清水のセンターバック・青山直晃は、日本代表FW・田代有三を吹っ飛ばしながら激しくクリア。このプレーに象徴されるように、今日の清水の選手たちは、立ち上がりから本当に気持ちが入っていた。
ホームの清水は西澤明訓と矢島卓郎がケガ、鹿島もマルキーニョスがケガで欠場し、どちらも前線の主力を欠く中で迎えたゲーム。清水は、岡崎慎司とフェルナンジーニョをFWにしてトップ下に枝村匠馬を起用。実質的には岡崎の1トップに2シャドーのような形で試合に入った。対する鹿島は田代と興梠慎三の2トップとし、右サイドバックの内田篤人がケガから復帰した。
立ち上がりは、前述のように清水の選手たちが良い入り方を見せ、人もボールもよく動いていたが、鹿島も中盤の構成力や田代のポストプレー、興梠のドリブルなどで対抗。どちらも相手ゴール迫る場面を作り、鹿島のほうは得意のセットプレーで清水ゴールを何度か脅かした。
しかし、その中ではっきりとした差が見られたのが、攻守の切り替えの早さだった。清水の選手たちが非常に早い切り替えを見せたのに対して、鹿島の選手たちがそれに遅れをとるシーンが徐々に目立ち始める。11分、13分、15分と、清水がカウンターからサイドに展開して鹿島ゴールに迫るチャンスを作るなど、清水の速攻=「ファストブレイク」を鹿島が止めきれない場面が続いていた。そして、鹿島がそれを修正しきれないうちに先制点が生まれる。
24分の鹿島のCKを跳ね返したところから清水のカウンターが発動。藤本淳吾が左サイドに飛び出し、左足でクロスを入れると、岡崎が競ってこぼれたボールから本田拓也が左足でシュート。これが鋭い弾道でゴール左上隅に突き刺さり、本田自身のプロ初ゴールで、清水が先制点を奪った。
「セットプレーからのカウンターで川崎F戦でもやられていたので、それは気をつけようと話していたのに……」(青木剛)と鹿島側が悔やんだゴール。それは、鹿島のカウンターへの対応が遅れがちだということを事前に分析済みだった清水側にとっては「本当に狙い通り」(伊東輝悦)のゴールだった。セットプレーでは鹿島が優位に立っていたが、それは諸刃の刃でもあった。
後半も、1分と9分に岡崎が惜しいシュートを放つなど、序盤は清水のペースで試合が進み、切り替えの早さでも清水が上回っていた。だが、鹿島が21分に本山雅志→ダニーロ、野沢拓也→増田誓志と2列目を一気に代えて機動力を増したのに対して、清水のほうは疲労で少しずつ運動量が落ちてくる。それにより鹿島がポゼッションする時間が徐々に長くなり、逆に清水は攻撃が早い段階で止められ、鹿島が押し込む展開になっていった。
39分には鹿島の左クロスから増田が決定的なシュートを放つが、ここはGK西部洋平がファインセーブ。こぼれ球もDFが何とかクリアしてピンチをしのぎ、清水は42分に藤本に代えて山西尊裕を投入し、耐えて逃げ切る体勢に入った。41分のダニーロのシュート、ロスタイムの岩政大樹のヘッドといったピンチも、清水の守備陣が身体を張ってしのぎ、3分のアディショナルタイムでも高い集中力をキープ。いつもより足がつる選手が多い中で清水が1点のリードを守りきり、じつに5年ぶりの鹿島に対する勝利を勝ち取った。
敗れた鹿島は、試合中に選手たちが肩で息するシーンが多く見られ、攻守ともに最後のところで迫力を欠いたのは、昨年の王者らしくない部分。やはり本来の力を出せていないのは明らかだった。
もちろん勝った清水としても、今日はカウンター主体の攻撃となり、100%満足できるような内容ではなかった。だが、気持ちを出して90分間戦い抜くこと、攻守の切り替えの早さで負けないこと、そしてチーム全体がひとつになって戦うことといった面では、今季いちばんの充実度を発揮。長谷川健太監督が「(今季で)初めて何か熱くなるようなゲームができた」と振り返ったプレーで、鹿島という壁を乗り越えたことは、なかなか調子の上がってこないチームにとって、何よりも大きな収穫となったはずだ。
以上
2008.05.11 Reported by 前島芳雄
J’s GOALニュース
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