5月11日(日) 2008 J2リーグ戦 第13節
福岡 0 - 3 広島 (13:03/レベスタ/9,217人)
得点者:29' 森崎浩司(広島)、72' 森脇良太(広島)、81' 森崎浩司(広島)
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勝ち続けることで身に着けたしたたかさと、勝ちから見放されたことで地に足が着かない危うさ。両チームの間にある差が3-0というスコアに映し出された。
ここまで福岡は3勝3分5敗。現在2連敗中で、しかも守備組織が構築できずに大量失点で敗れる試合が続いている。流れを変えない限り、J1昇格はおろか、下位グループからの脱出さえもかなわない。迎える相手がどこであろうと、勝利を手にすることでしか浮上のきっかけは掴めない。
そして首位を走りながらも、前節の仙台戦に敗れた広島も必要なのは勝点3。「連敗はできない。引き分けであっても、これからの戦いを見据えると雰囲気が悪くなる」(森崎和幸・広島)。いつの時代もJ2は難しい。過去、わずかな隙を見せたことでリズムを崩したチームは多い。
さて、この日の福岡の布陣は3-5-2。ここまでマークの受け渡しとスペースのカバーに難を抱えていたが、それぞれが見る相手をある程度はっきりさせることで守備の安定を図ることが狙いだった。まずは守備から入る福岡は、相手ボールの時は黒部光昭1人を残して広島に対峙する。「青山と森崎和を自分の前に置いて見て、攻撃の時は前に出て行くということを監督から言われていた」(大久保哲哉)。この狙いは思いのほかはまった。そして、前半は福岡がボールを支配する展開で進む。
広島を困らせたのは大久保の動きだった。バイタルエリアに下りてボールを受け、そこからボールを捌く大久保をうまく捕まえられない。そして、福岡は両WBが高い位置へ出て大久保とパス交換することでボールの支配権を握る。「緊張のためかやや硬さが目立った」(リトバルスキー監督)という攻撃はビッグチャンスは作れないものの、まずまずの出来。不安材料だった守備も狙い通りに相手を捕まえていた。前半0-0は福岡にとっては十分な結果。まずはいい滑り出しといえた。
一方の広島にとっても、決して悪い流れではなかった。相手ボールに対して引いて守るのは広島のやり方。守備がうまくいかなかったとは言いながらも危ないゾーンには決して福岡の侵入を許さない。それどころか、わずかな隙を嗅ぎつけてはゴールを陥れようとするしたたかさを常に忘れず。何の前触れもなく放つシュートは確実に枠を捉える。ボールの支配率では劣ってもゲームを確実にコントロールしていく。広島にとっても悪くはない流れだった。
そして29分、この日最初のゴールが生まれる。自陣の低い位置で前を向いた森崎和が中央へドリブルを仕掛ける。福岡は守備体制を整えながらも誰もボールを奪いに行かない。まるで花道のように出来た中央のスペースを森崎和が楽々と突破して前線で待つ佐藤寿人へ。そして、最後は2列目から猛烈な勢いで走り込んできた森崎浩司が豪快にゴールネットを揺らした。ここぞという勝負どころで一気に仕掛けた広島。勝負どころでマークをあいまいにしてフリーでプレーさせた福岡。これこそが両チームの間にある差だった。
後半に入って攻撃的に出る福岡は、48分、49分、54分と立て続けに決定機を演出。この時点では、まだ試合の行方は分からなかった。しかし、再び両チームの差がゴールシーンに現れる。
時間は72分。広島の右からのCKのチャンスに李漢宰の蹴ったボールはニアで競り合う選手の頭上を越えてペナルティスポット付近に落ちる。そこへフリーで飛び込んできたのは森脇良太。「自分自身はフリーで、前にもスペースがあり、ワンタッチコントロールからシュートというイメージが沸いた」(森脇)。次の瞬間、ゴールネットが大きく揺れた。セットプレーを確実にゴールに結びつけるのは強者の証。そして、福岡はマンマークで守りながら相手を放した。それは、福岡が今シーズン何度となく繰り返してきたシーンと同じだった。
そして広島の3点目はセットプレーのこぼれ球から。すばやくボールにつめる福岡はボールを保持する相手に数的優位を保ち、ゴール前にも十分な人数を揃えていた。しかし、仕掛ける相手に簡単に突破され、なすすべもなく折り返されると、最後は森崎浩の強烈な左足でのシュートを浴びた。このシーン、人数を揃えながら簡単に抜かれたこともさることながら、多くの選手がゴール前にいたにもかかわらず、ペナルティアークで待ち構える森崎浩には誰もマークがついていなかった。これも、過去の失点シーンと変わらないものだった。
福岡の3バックが機能したのかと言えば、4-4-2と比べて安定感が出たとは言えるだろう。初めてリベロとしてプレーした山形辰徳は役割を果たし、柳楽智和の対人能力の高さも十分に生かせていた。各場面でも1対1での守備は及第点がつけられる。しかし、体制が整った中で、人と人との間に入ってくる相手に対して誰が当たりに行くかが不明確なこと、セットプレーでマークをはずすことは、これまでの試合と変わらず。この部分を修正しない限り、本当の意味での安定感は得られないだろう。
そして広島は、そのしたたかさが際立った。ゲームの流れを読む力と、攻守にわたる勝負どころを確実に抑える力はJ2の中では突出している。この日の試合も、3点目が入るまでは、どちらに転んでもおかしくない試合だったと言えたが、試合を終えて改めて振り返ってみると福岡にはノーチャンス。広島に敗れる要素はなかった。
まるっきり歯が立たないという印象はない。迫力ある攻撃を仕掛けるという印象もない。しかし、当たり前のように勝利を奪っていく。「広島強し」。その印象が強く残る試合だった。
以上
2008.05.11 Reported by 中倉一志
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第13節 福岡 vs 広島】レポート:福岡、3バックに手応えも勝利は遠く。広島のしたたかさの前に0-3で敗れる。(08.05.11)
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