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【J2:第14節 仙台 vs 山形】仙台プレビュー:4連勝を賭けて臨むこととなった、今季初のみちのくダービー。サポーターの熱狂を背に、ホームで仙台は「自らのスタイル」での勝利を目指す。(08.05.18)

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5月18日(日)J2 第14節 仙台 vs 山形(13:00KICK OFF/ユアスタ
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「チームの雰囲気はすごくいい。全体が前向きになってきている」。今節に向けたコメント、手倉森誠監督の語り出しだ。
 最近の成績を考えれば、そう自信を深めるのも無理はない。全て試合の後半に追いつかれての4試合連続引き分けの後、仙台は第10節の鳥栖戦から、広島、甲府と地力を持つ相手に3試合連続完封勝利。この3試合を監督は「相手にボールを持たれることを想定するなど、我慢させられながら戦った部分がある」と振り返ってはいるが、たとえ当初望んでいたゲームプランではなくとも、折り合いをつけた中で最高の結果を手繰り寄せられていること、それこそが今のチームの安定感を物語っているとも言える。木谷公亮、岡山一成の経験豊富なCBが中心となるDFラインが、時に前線選手のプレスに連動した高いラインで強気に、時にゴール前でしっかりブロックを作って待ち構えたりと、硬軟自在の守備を構築したことがチームにもたらした好影響は小さくない。

 しかし、あくまで「我慢」の結果であるこうした戦いぶりに、チームは完全に満足してはいない。自分たちが開幕前から目指していたサッカーを、仙台はこの地でプロフットボールクラブとして生きていく以上、間違いなく現時点で最もサポーターの耳目が集まることになる一戦にて、改めて披露しようとしている。
「東北のサッカーは、ベガルタが引っ張っていかなければいけない。そのためにもまずはダービーで、ベガルタが勝たなくてはいけない。この試合は宮城と山形の両県民の気持ちを感じるゲーム。そういう気持ちも汲んで戦いたい」(手倉森監督)
 今季最初のダービー。仙台に課せられたミッションは勝つこと。それも、仙台、宮城のサポーターが自分たちのチームを誇りに思えると同時に、今後クラブが求めるサッカーの方針を指し示すような「仙台らしさ」を含んだ内容での勝利だ。

 仙台が目指すサッカー。スタイルの面で言えばそれは、ボールを自分たちでしっかり握った上で、ワイドなパスワークやポゼッションを活かすサッカーである。手倉森監督が就任会見で、狙うサッカーを表すキーワードとして使った「SENDAI」のアルファベットで言えば「D」の部分、「ダイナミックさ」の強調を、改めてダービーで仙台は目指す。「2、3人の連携で崩そうとしつつ、一方で逆サイドへのオプションをちゃんと持っておけば、攻めは歯止めが利かなくなる」という監督は、今週のトレーニングを経て、サイドチェンジの質の向上を感じているという。
 山形はしっかりと守りを固めて、奪った後は手数や人数を極力かけずにゴールへ一直線に向かう「縦」の向きに重点を置いた攻撃を狙っている印象がある。もし仙台が前述のような攻めを多く見せられれば、相手との差異という意味でも「仙台らしさ」を示すことができるだろう。

 一方で目指すサッカーについて、ゲーム内でのモチベーションの面で考えれば、それは「SENDAI」の「A」の部分、「アグレッシブさ」に当てはめられるだろうか。「少数得点での決着は、僕よりむしろ小林さんが覚悟しているのではないか。うちはチャンスがあれば、どんどん点を取りに行きますよ」(手倉森監督)というように、仙台にこの試合を、いかにもダービーという(客観的に見れば)堅く、動きの少ない試合にしようという気持ちはあまりない。
 今季山形を率いる敵将は、かつて手倉森誠ヘッドコーチ(当時)が所属していた2002〜03シーズンの大分で監督を務めていたなど、手倉森監督をよく知る小林伸二監督であり、こちらが描くゲームプランを頓挫させるべく、様々な手を尽くしてくることが予想される。だがそれに「仙台のサッカー」で打ち勝てれば、チームも、そして監督自身も得るものは大きい。

 と、ここまでチームの事情を中心に、今節に向けた背景をまとめてみたが、ダービーというものがもたらす理由不要な熱狂を前にしては、あまり意味のない情報だったかもしれないと、ちょっと反省している。
 鏡やガラス、あるいは穏やかな水面…自分の像を反射させる存在がないことには、人は己の姿を確認することができない。同じように、自分がこの場所に生きている証は、自分に反応してくれる存在が近くにいてこそ、より強く得ることができる。

 山形という存在がもたらしてくれるダービーの一日は、自分たちが愛するクラブは仙台という場所にあるという(さらに地元サポーターにとっては「自分がクラブのあるこの場所で暮らしている」という)、普段は改めて気にも留める必要のない当たり前のこと、しかしとても重要なことである「自分たちの確かな存在」を確認させてくれる一日。世界中のダービーが、それ以外の試合よりも(程度の差こそあれ)ほぼ必ず盛り上がるのは、そこにこそ理由があるのでは。
 ピッチ上のチーム同様、サポーターもまた、末永い付き合いになる隣人に見せつけよう。自分たちがここにいる証を、そして自分たちだから放てる光を。それがダービーだ。

以上
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