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【J1:第13節 鹿島 vs 柏】レポート:両チームにとって悔しい引き分け。「らしさ」を失った鹿島は、7戦連続で白星なし(08.05.17)

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5月17日(土) 2008 J1リーグ戦 第13節
鹿島 1 - 1 柏 (16:04/カシマ/20,361人)
得点者:36' 小笠原満男(鹿島)、42' 太田圭輔(柏)
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試合終了後、ミックスゾーンでの両チームの選手たちの様子は対照的だった。報道陣の質問に丁寧に答える柏レイソルの選手に対し、鹿島アントラーズの選手たちは足取りは重く、表情は硬かった。勝点1ずつを分けあう結果となったが、その意味合いはチームによってまったく違う。リーグ中断期間前の4試合を3勝1分けで終えた柏は、自分たちのサッカーに手応えを感じている。しかし、鹿島にとってこの引き分けは、リーグ戦7試合連続白星なしを意味する。開幕5連勝したあとの7試合でひとつも勝てないとは誰も予想できなかっただろう。

試合開始から主導権を握ったのは鹿島の方だった。ひさびさに試合間隔が1週間空いたことで、失っていた中盤の運動量が復活。ボールを奪うと、チーム全体が有機的に動き出す鹿島本来のサッカーを見ることができた。ここ数試合、存在感を示せていなかった野沢・本山の両選手が、ボールを持てばパスを織り交ぜながらゴールへ向かいディフェンスを引きつけてスペースを作り、オフザボールの時は労を惜しまないフォローアップのフリーランニングで攻撃を組み立てる。何度もペナルティエリア内で勝負する場面を作り出し、流れを引き寄せた。それにプラスして、左サイドでは新井場が精力的に攻撃参加。絶妙なスピードとタイミングで前線の選手たちに絡んでいった。こうしたフリーランニングのプレーを引き出したのが、興梠とプロ初先発となった佐々木の両FW。2人ともボールキープで高い技術を見せ、攻撃にタメを作った。ボールの落ち着き先のない柏は防戦一方となってしまう。

前半36分、リズムをつかんでいた鹿島に先制点が入る。左サイドから、野沢がふわりと中央にあげたセンタリングを興梠と柏キーパーの菅野が競り合う。こぼれ球を再び岩政がヘディングシュートをした際、遅れてボールに飛び込んだ鎌田の手にシュートが当たり、鹿島がPKを得る。そのチャンスを、小笠原が落ち着いて決め、鹿島が欲しかった先制点をものにした。

しかし、そのわずか6分後の42分、柏が太田のヘディングシュートで同点に追いつく。左サイドをパスワークで崩し、大谷が逆サイドへセンタリング。岩政と大岩の間にあがった絶妙のセンタリングに太田が飛び込みゴールをあげた。前半終了間際、鹿島に一瞬生じた隙を見逃さずにゴールを決めた柏の見事な攻撃だった。

後半は、鹿島がボールをキープし、FWがゴールを向いてプレーをする場面をつくり出すものの、小林祐三ら柏DF陣がシュートの場面では自由を与えず決定的な場面は阻止する。逆に、柏は速攻から鹿島のゴールに迫り、あと一歩のシーンを何度もつくり出した。67分、李忠成が鹿島DFの裏に抜け出す。ペナルティエリアを飛び出した曽ヶ端が、李と交錯してしまいイエローカード。レッドカードでもおかしくないプレーだっただけに、鹿島にとってはラッキーだった。68分、そのFKで得たチャンスから柏が決定機を迎える。FKが壁に当たって跳ね返ったあと、右サイドから逆サイドへ大きく展開し石川がヘディングで折り返す。キーパーが完全に振られたため、無人のゴールに流し込むだけだったヘディングシュートを古賀は外してしまった。試合終盤は鹿島が猛攻を仕掛けるが、そのままタイムアップとなった。

柏は細かなパスミスが目立ち、ゲームを支配する時間は少なかったとはいえ、攻守に切り替えが早く集中した試合運びを見せた。鹿島にパスを回されても完全に崩される場面は少なく、決定機でゴールを決めていれば狙い通りの試合だっただろう。
一方の鹿島は、7試合連続で勝利から見放される結果となった。前半では、セカンドボールへの反応などで柏を圧倒。試合への意気込みを感じるプレーが随所に見られた。しかし、ボールを支配できたことがおかしな余裕が生んだのか、徐々に相手ボールになったときに帰陣するスピードに遅さが感じられるようになり失点。鹿島の右サイドを崩されたシーンで、右サイドバックが守備に絡んでいないのはあるべき姿ではない。次の水曜のACL・ナムディン戦に勝ち、中断期間でもう一度本来のサッカーを取り戻したいところだ。

以上

2008.05.17 Reported by 田中滋
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