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【J1:第13節 川崎F vs 大宮】レポート:戦術と個人技を有効活用した大宮が大逆転。川崎Fはホームで手痛い連敗となった。(08.05.18)

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5月17日(土) 2008 J1リーグ戦 第13節
川崎F 2 - 3 大宮 (19:04/等々力/14,235人)
得点者:35' オウンゴ−ル(川崎F)、43' ジュニーニョ(川崎F)、53' 土岐田洸平(大宮)、75' デニスマルケス(大宮)、87' 小林慶行(大宮)
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 良くも悪くも試合を動かしたのは大宮だった。前半の内容から判断すれば、ハーフタイムの時点で大宮の勝利を予想できる人は皆無だっただろう。それ程までに、前半は大宮にとってあまりに悪い試合内容になっていた。

 川崎Fは菊地光将がケガによって欠場。代表に初選出された井川祐輔を累積警告による出場停止で欠いていた。レギュラーからは2枚落ちた形のメンバー構成になることが不安視される部分もあったが、試合が始まるとその心配は霧散する事となる。

 前線からしっかりとかけてくる大宮のプレスに対抗すべく川崎Fは長めのボールを多用。最終ラインから無理にビルドアップしようとはしなかった。大宮が前線からプレスをかけてくるという事は、その前提として2列目の選手による押し上げが必須となる。その結果として、大宮の中盤は手薄な状態となってしまっていた。

 川崎Fの最終ラインがターゲットとした最前線の鄭大世は、競り合いに勝てればジュニーニョやフォローアップしてきた大橋正博といった選手にボールをつなぎ、仮に大宮のDFが競り勝ったとしても、このこぼれ球は開き気味の中盤のスペースに転がることとなった。そしてそのこぼれ球を最初に触るのは、往々にして青と黒のユニフォームの選手だった。

 敵陣で起点を作ることに成功した川崎Fは、そこからパスワークを開始。対応に苦慮する大宮を攻め立てた。川崎Fペースのまま膠着気味に落ち着いていた前半の35分に、鄭大世の個人技をベースとして奪ったゴール(オウンゴール)は、高畠体制に移行後の初めての先制点となる。勢いに乗る川崎は前半終了間際の43分に、中盤で谷口博之が奪ったボールをジュニーニョへとつなぎドリブル。対応したDFとGKを立て続けにかわして追加点を手にした。

 2点のリードを許した大宮は、後半開始から2選手を入れ替え、両サイドハーフの活性化を試みてこれを成功させた。森勇介の対応に追われていた金澤慎のポジションにFWとして先発していた藤本主税が入り、また、前半の大半の時間帯で消えていた小林大悟に代わり、土岐田洸平を起用。金澤と入れ替わりでピッチに立った吉原宏太がFWに入る形となる。
 この交代の意図について樋口監督は「両サイドにランニングできるタイプの選手を使う事で活性化させたかった」と述べており、この采配がズバリと当たる形となる。大宮の両サイドハーフが中央に絞りながら攻撃参加することで、サイドにスペースが生まれることとなる。ここに前半ほぼ沈黙していた両サイドバックが飛び込んで重厚な攻撃を実現したのである。

 枚数をかけて攻撃してくる大宮に対し、川崎Fは難しい守備対応を強いられることとなる。

「ぼかした対応をしておけば一発でやられる事はないと思っていました」と後半の守備を振り返るのはリーグ戦初先発の横山知伸。「ぼかす」というのは、マンマークにつくのではなく、その選手を意識しつつ状況を判断し、必要なエリアに入った時に一気に対応に入る、という守備状況を示している。つまり川崎Fの守備陣がズルズルと下がっていたのは彼らにしてみれば織り込み済みの対応だった訳だ。そして、その守備を大宮の攻撃陣が上回ったことになる。

 ベンチから戦況を見ていた原田拓は「後半の1点目が早かった。あれでバタバタしてしまった」と試合のターニングポイントについて口にする。53分の土岐田のゴールは、微妙なタイミングで抜け出したこともあって川崎Fの選手たちが抗議する姿が見られたが、それ以前にも川崎Fは最終ラインのギャップを突かれており、あの形で突破されたのは必然的な流れだった。

 2点差を1点差にしたチームに勢いが出るのは定説である。75分のデニス・マルケスのスーパーな同点ゴールで大宮が勢いを加速させると、圧巻だったのが87分の小林慶行の55mを越えるFKだった。

「あの瞬間だけでなく、ゲームを通してGKが前に出ているのは見えていた。ただ、蹴るチャンスが無かった。ぼくに入るときにチャレンジしてミスしたらそれで終わりになる。ゲームの中であの瞬間だけしか蹴るチャンスはなかった」と逆転ゴールを語る小林慶。冷静な状況判断と、それをゴールに結びつける正確な技術がもたらしたファインゴールだった。

 試合終盤。川崎Fは寺田周平を最前線に残しパワープレーを試みるが、CKを奪うのが精一杯。前半とは打って変わり、後半は大宮ゴールをこじ開けることはできなかった。この結果、5試合前に、この日の大宮と同じ2点差をひっくり返して高畠体制をスタートさせた川崎Fは、ホームで痛い連敗を喫することとなる。一方の大宮は采配によるギアチェンジに成功。樋口監督によるチーム戦術に、選手の個人技が融合して4試合ぶりに勝ち点3を手にすることとなった。

以上

2008.05.18 Reported by 江藤高志
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