6月29日（日）J2 第23節 甲府 vs 湘南（18:30KICK OFF/小瀬）
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第22節の湘南対山形を平塚に観に行った甲府・安間監督。一方、湘南の菅野監督は第21節の甲府対山形を小瀬で観ている。J2の多くのチームは先乗りスカウトというやり方を採用せずに、Jリーグから送られてくる対戦相手の前節のビデオを観て相手のスカウティングを行うことが多い。しかし、今節対戦する両チームの監督は対戦スケジュールが上手くフィットしたことで、お互いの試合を直接観ることが出来た。スカウティングビデオでは感じ取ることが出来ない、生の観戦で得たものをどう活かしてくるのかが注目される。

甲府は引き分け2つを挟んで5連敗中だったが、第21節に2位・山形に勝ってようやく内容と結果が手を繋いだ。3連敗を引き分けでサンドイッチしている湘南は5試合勝ちがない。どちらもしんどい状況であるが、湘南が勝ち点30で7位なのに対して甲府は勝ち点22で11位と更にしんどい位置にいる。しかし、6連勝のあと甲府に敗れ、前節・湘南に引き分けた山形が現在2位で、4連勝のあと引き分けを挟んだ草津が前節アウェイでC大阪に1−2で勝って6位と、J2戦線は首位独走中の広島を除けば第1クールと第2クールでは主役級チームが変わってきた。中位から下位のチームにとっては希望だが、第4クールがない今シーズンは第2クールで昇格争いの尻尾だけは掴んでおかないと第3クールは全勝しなければならないような状況に陥ってしまう。この意味では、5試合で最低でも勝ち点10〜11を手にするペースが必要になってくるのではないだろうか。

現在、“1連勝中”の甲府はなんと言ってもハードワークの重要性をみんなが再認識できたことが大きい。無駄な連敗ではなかった。しかし、「無駄な連敗ではなかった」と振り返って言うためには本当の連勝が必要になってくる。2点、3点取れる可能性もあるチームだが、そう思えるほど楽観的にはなれない。1点差の勝負をハードワークで何試合も乗り切る、本当の強さを見せて欲しい。ハードワークして、ハードワークして、ハードワークできる甲府になれれば、そこから得られるモノは大きいはず。大西は「（今までもハードワークをしてきたが）今のハードワークは動く距離や速さが違うし、球際の強さが違う。疲れるけど、勝てばその疲労は吹っ飛ぶ。今振り返ってみれば、J1からJ2に落ちて『（J2では）大丈夫だろう』というところがあったかもしれない。（後半にガス欠になると言われるけど）そんなことは考えないで、前半開始から行けるところまで行くだけ」と言う。今はこの潔さでいい。大西や石原のダイナモ兄弟がレギュラーを掴んでからの甲府は観ていて面白い。そこにアンカーでバランスよくボールを捌ける林が加わって、甲府らしさが蘇ってきた。クローズとオープンのバランスのよさが今の甲府の攻撃の強みだ。

だからと言って「イケている気」になるのは怖い。しかし、選手は連敗から多くのものを学んでいる。山形に勝った後、「これからだぞ」と言ったメンタリティが期待できる理由だ。湘南にはアジエルというどんな状況からでもチャンスを創造できる神様がいる。その神様がボールを持てば一番の信者である石原というイケイケのFWがDFラインの裏を取りに来る。それに対して、風貌ならキリストの生き写しのような和製キリストの池端が苦手の集中力をどれだけ発揮できるかが勝負を分ける。和製キリストは「アジエルがボールを持ったときにはラインを止めないことが重要。裏を取られることは危ないという意識は常に持っている」と警戒する。ボールを持ったアジエルに反応してサイドから中に切れ込んでくる湘南の選手に対するマークが甲府の守備の最大のポイント。FWの石原直樹（湘南）をDFの石原克哉（甲府）がマークする石原対決も見られるだろう。山形戦で見せたような、ゴール前で身体を張ってシュートを防ぐ戦いができればアジエルを起点とする攻撃を封じることが出来るはず。そして、最後は理屈ではなく、身体を張って戦うだけ。山形戦でずぶ濡れになって歌い続けてくれたサポーターは、翌日のサテライト・磐田戦でもずぶ濡れで歌ってくれた。彼らと共に戦い、何度でも「輝く夜空」を歌う。そして、喉が枯れるほど歌えば小瀬は夢が降る場所に変わっているはず。まずは、湘南に勝って歌おう。

以上

2008.06.28 Reported by 松尾潤