7月6日(日)J2 第24節 広島 vs 熊本(18:00KICK OFF/広島ビ)
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「熊本戦から始まり、愛媛・岐阜と続く3連戦は、今シーズンでもっとも重要な闘いだ」
広島・ペトロヴィッチ監督は、みけんに深いしわを寄せて語る。それは前節、山形に逆転負けを喫したからだけではない。チームは「負傷者の尋常ではない多さ」という深刻な危機に見舞われていることに、その要因がある。
広島の負傷者の名前をリストアップしてみよう。
GK=下田崇、木寺浩一
DF=森脇良太、橋内優也
MF=森崎浩司、高萩洋次郎、柏木陽介、篠原聖
FW=ユキッチ
9人のうち7人は、レギュラークラスの実力と実績を持つ選手たち。あまりの負傷者ラッシュに、11対11の紅白戦もできないありさまだ。森崎浩と高萩は熊本戦に間に合う可能性もある。しかし、他の選手たちはこの3連戦への出場はほぼ無理。怪我からの回復途上にある盛田剛平や桑田慎一朗の状態も微妙で、まさにギリギリの戦力しか、広島には残っていない。
ただ、この緊急事態も、考え方を変えれば「チャンス」になる。ここまで安定した闘いを見せてきたが故に、広島はほぼ固定メンバーで闘ってきた。それは一方で、若い選手たちの出場機会が少ないというデメリットを持つ。しかし、この負傷者続出の状況は、試合に出ていない若者たちにとってはビッグチャンス。実際、ユースから昇格したばかりの岡本知剛は「とにかく試合に出たい」と意欲を燃やし、強烈な左足に期待の高いルーキー・内田健太も「チャンスだと思っている。しっかりとアピールしたい」と熱い練習を続けている。
ただ、負傷者が多いからといって、若者たちに対して無条件に出場機会が与えられるわけではない。昨季は彼らと同じようにチャンスに飢えていた李漢宰は「サテライトだから試合は関係ない。そんなことを考えて練習している選手は、一生、試合には出られない」とハートの重要性を指摘する。昨年、李漢宰はレギュラーの相次ぐ怪我によって急きょ試合に起用されたことがある。その試合で結果を出せたのは、彼が常にあきらめず、ベストを尽くして準備していたからだ。
この負傷者ラッシュに加え、熊本戦ではリベロを務めてきたストヤノフが出場停止という大ピンチ。リベロには森崎和幸が入って急場をしのぐことになる。「ボランチでのカズの重要性は、言うまでもないこと。本当は、カズが二人欲しい」と言う指揮官としては、苦渋の選択。最終ラインでプレーを落ち着かせ、全体の守備を指揮できるのは、森崎和しかいないという判断だ。
その森崎和が務めてきたボランチには、高柳一誠が入る。怪我を繰り返したこともあり、なかなか自分の力を発揮できていないが、彼のポテンシャルは誰もが認めるところ。基礎技術の高さ、スペースを見つけてそこに走る判断の良さは抜群。1対1にも強く、レギュラーを奪ってもおかしくない実力を練習では常に見せつけている。ただ、練習でのプレーを試合に出すということは、言葉ほど簡単ではない。何よりもプレッシャーが違う。だが、そこを克服すれば、高柳自身にも大きなステップアップが待っている。
仙台と引き分け、C大阪に逆転勝ち。「連敗中も内容は悪くなかった」という池谷監督の言葉が結果として現れてきた熊本は、自信を持って広島に乗り込んでくる。第1クールでの広島戦では確かに敗れはしたが、内容ではむしろ熊本の方が上。「勝ち点を奪われても仕方のない試合だった」とペトロヴィッチ監督も熊本への警戒心を隠さない。
注目は、C大阪から2得点を奪った木島良輔と、決勝点をアシストするなど2得点に絡んだ高橋泰の「帝京高10番2トップ」だろう。スピードにあふれた突破を持ち味とする木島と、万能型の高橋の相性はいい。帝京高の先輩・後輩で、木島がつけていた背番号10を高橋が譲り受けた関係でもあり、「わかり合えるものがある」(高橋)ことは確か。木島にとっては、2005年大分でプレーして以来のJでの舞台。高橋にとっては、かつて自らの庭としていた広島ビッグアーチでの5年ぶりのプレー。格別の想いを持つ二人のモチベーションは、間違いなく高い。
そんな上げ潮の熊本を主力不在の広島が跳ね返すには、全員のハードワークと強い気持ちが重要だ。「誰かがやってくれる、という人任せの意識では、山形戦のような失点をくらう。チームとして助け合うと同時に、自分がやるんだという主体性を持つが大切」という森崎和幸の言葉どおりにやれるかどうか。この難局を広島が乗り切る方法は、それしかない。
以上
2008.07.05 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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