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【J2:第30節 仙台 vs 広島】レポート:圧倒的な広島のボールポゼッションに対し、3ボランチ、そしてボールへの執念で挑んだ仙台が、広島に勝利を許さなかった(08.08.11)

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8月10日(日) 2008 J2リーグ戦 第30節
仙台 1 - 1 広島 (19:04/ユアスタ/18,445人)
得点者:61' 佐藤寿人(広島)、70' 菅井直樹(仙台)
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 90分を通じて痛感させられたのは、広島のボールポゼッション技術がやはりJ2のレベルではない異次元のものだったこと。それこそ彼らの武器を完全に封じるには、雨乞いでもしてピッチを水没でもさせないことには無理なのだろう。広島が今季ほぼ全ての試合において、終始主導権を握ってきた理由もうなずける。
 しかし仙台は、あの手この手を駆使して、18,445人という久々の大サポーターの前で広島に対抗した。仙台の選手たちは勝利を逃し、5試合連続の引き分けとなった結果を悔やんでいたが、序盤に語った圧倒的な支配率の差、そこから数字として表れたシュート数の差(仙台9、広島16)を考えれば、1−1での勝点1獲得は、むしろよく広島から「1」を引き出したとも言える。

 1トップの後方から飛び出してくる広島の2シャドーを、仙台は最も警戒していた。そこで仙台が採った策が、ボランチの位置に右から富田晋伍、千葉直樹、斉藤大介を並べた3ボランチの4−3−1−2だった。木曜日の紅白戦では2本目として試していた布陣だが、これにはここ最近センターバックとして出場していた千葉をボランチに上げるためにも、センターバックとの岡山一成がスタメンからの出場に耐えうるコンディションを取り戻すことが求められるなど、さまざまな条件が。おそらく翌日の非公開練習でもこの辺りのチェックはされたのだろうが、やはり仙台はこの布陣を使ってきた。
 全体的に劣勢な中、しかし3ボランチの効果は確かに見えた。3ボランチ、特に斉藤のところで広島のボール回しはよくひっかかり、また3ボランチのうち2人がしっかりとケアに入ることで、高萩洋次郎、柏木陽介の広島2シャドーが飛び出してチャンスを作る場面も、5月の前回対決よりは減らすことが出来たといえる。その分広島にミドルシュートとサイドからのクロスを許すことになったのだが、ラインを突破されない限り、遠巻きからのシュートからさほど脅威を感じることはなく、時折枠を捉えたシュートも元広島のGK林卓人が良い反応でかき出したし、サイドからのクロスも岡山復帰で高さが戻ったDF陣は危なげなく跳ね返す。この辺りはプラン通りだった。
 しかしそれでも広島はこじ開ける術を持っている。元々3ボランチにしたことで、仙台の陣形は攻守に渡って重心が後方へと下がっていたことから、広島は仙台をかなり深い位置まで押し込むことに(それにより「奪ってからの逆襲」を狙っていた仙台の反撃も、距離が長すぎてものにならない状況になった)。また中盤だけでは崩せないと見るや、槙野智章、さらには他の2人など、広島の3バック勢も果敢に前線に顔を出してきた。仙台がピンチを迎えたとしたらむしろ彼らの攻撃参加によるものであり、26分には右サイドを駆け上がった槙野に対して仙台のマーキングが乱れたところに綺麗な浮き球スルーパスが通り、林と1対1の局面に。これはループシュートが枠を外れて仙台は事なきを得るのだが、やはり仙台は防戦を長い時間強いられた戦いとなっていく。

 それでも耐えていた仙台だが、61分についに失点。左サイドの服部公太からゴール方向に斜めに入れられたグラウンダーのパス、ゴール正面で待っていた佐藤寿人の前で柏木が角度を変えたことで、仙台の守備陣は不意を突かれた。抜け出した佐藤は、かつて自らが歓声を巻き起こしていたサポーターの声を悲鳴に変えるシュートを、ゴール左に流し込む。ポゼッションはあるものの決定力に難があった広島の攻撃陣の中でも、唯一無二のゴールハンターのフィニッシュは冷静だった。

 失点を受けて、仙台は富田を下げて永井篤志を投入し、通常のダブルボランチによる4−4−2に戻すが、広島の分厚い攻めはさらにすごみを増し、仙台に襲い掛かる。間違いなく仙台にとっては危険な時間帯。だが仙台は、サポーターのテンションも一度は落ちかけた中で、決して切れなかった。そして70分、右からのCKが一旦ははね返されるも、再びCKを蹴った梁が拾いセンタリング。ドンピシャで捉えたナジソンのヘッドはGK佐藤昭大に当たるものの、球はゴール前に詰めていたこの日が鎖骨骨折からの復帰戦だった菅井直樹の前にこぼれる。強烈に蹴りこんだシュートは、チェックに入った桑田慎一朗とGK佐藤の股を抜きネットへ。明らかな劣勢の中、仙台は執念のゴールで追い付いて見せた。

 同点ゴールの時間帯をちょうど境にして、広島の運動量が落ちてきたこともあり、ゲームは激しい展開に。斉藤が足をつって交代を余儀なくされるなど壮絶な試合となっていったが、最後まで互いにゴールを割ることは出来ずに、1−1のドローで終わっている。
 ただ斉藤の光景を見ても改めて思うのだが、サッカーの成熟度、ボールの支配率などは明らかに広島が上回った中で、やはり1−1という成績は、仙台の奮闘によるところが大きかったのではないだろうか。
 戦術面での準備に決して意味がなかったというわけではない。だが広島が技術によってボールを保持し続けるのに対し、仙台はミスで失ったボールに食らいついたり、ラインを割りかけたボールを必死に追って残すなど、一人ひとりのボールへの執念によって試合を繋いだ。これもまた、立派な「ボールポゼッション」である。
 仙台は自分たちのやり方で、広島に勝利を渡すことを阻んだ。5連続引き分けは確かに痛いが、サポーターのテンションを次節のダービー(8/16@ユアスタ)へと繋ぐには十分だった。まして次節は、関口訓充が出場停止から帰ってくる。

以上
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