8月23日(土) 2008 J1リーグ戦 第22節
F東京 1 - 2 東京V (18:34/国立/18,431人)
得点者:28' カボレ(F東京)、61' 大黒将志(東京V)、89' 那須大亮(東京V)
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※F東京側レポートはこちら
本当に、最後の最後に歓喜が待っていた。
もうロスタイムも消化、いつ終了のホイッスルが鳴ってもおかしくない状態。ピッチのMF服部年宏でさえ、「もう引き分けかなと思っていた」。しかし、望みを繋いだのは、まずはディエゴの思い切ったミドルシュート。おそらく、あのシュートが枠に飛ばずそのままラインを超えていれば、審判は笛を吹いていただろう。が、思いを乗せたシュートは、CKのチャンスを得る。
大きく両手を上下させサポーターを鼓舞しながら、コーナーフラッグへと移動する、キッカーのディエゴ。サポーターの祈るような声援を背にゴール前へと放った美しく力強い放物線は、「今日は決めろよ」と試合前に声をかけてたDF那須大亮の頭にピシャリと合い、そのままゴールネットへと突き刺さっていった。
今回の東京ダービーには、雨にも関わらず18,431人の観客が集結。
F東京の応援歌をかき消すように「俺のヴェルディ」と歌い続けるヴェルディサポーターたちが陣取るゴール裏には、「PRIDE OF TOKYO」の横断幕が広げられている。合言葉は「今日こそは」。祈るような気持ちをピッチに送りながらのキックオフだった。
しかし前半は不安な気持ちにさせられた。F東京にサイドを再三破られ、チャンスを作られる。「サイドで数的優位を作られ、前にいけなかった」と試合後の柱谷監督。スタメン起用された大黒将志にもなかなかいいボールが入らず、シュートに持ち込むことすらままならない。しかし柱谷監督いわく、これは「想定内」だったらしい。「引かされるのはしょうがないと思っていました。その中でカウンターを狙っていければ」。
確かに、「前半はまず失点ゼロで(柱谷監督)」というプランということなら、形は作られるものの、最後をしっかり固めていた前半の流れは悪くはなかったかもしれない。が、28分、F東京カボレに「スーパーシュートを決められて(柱谷監督)」失点。これは想定の範囲内ではなかったはずだ。
残り時間がたっぷりある中で、たった1点のビハインド。しかし、そのビハインドは「今季3戦全敗」の相手に対して「今季一度も逆転勝利がない」チームが背負ったものだ。観ている者を不安に陥れるには充分で、「またか」という言葉が脳裏をよぎったとしても責めることはできないだろう。が、それも、結果的には最後に待つ歓喜への演出になるとは。
重要なファクターとして試合後に選手達が口を揃えたのは「我慢」。
「先制されても、集中力が途切れることはなかった。我慢して戦おうと意思統一できた」とDF那須大亮。ハーフタイムには柱谷監督も「(勝負ところで)レアンドロを入れて勝負に出るから」と、そこまでをしっかり我慢して戦うように指示したそうだが、選手達はその通りの「我慢強さ」を発揮し、後半に入ってからもじっと反撃の時間を待った。
そして59分、いよいよレアンドロが投入され、反撃ののろしを上げる。
すると2分後の61分、そのレアンドロからラストパスを受けたFW大黒が「GKが出ていたので浮かそうと」いう倒れこみながらの技あり右足シュートで移籍後初ゴールの同点弾。柱谷監督の采配がズバリ当たった形の同点劇で、サポーターのコールは一気に熱を帯びた。
そこからの互いにゴールへの執念を見せ付ける展開に、スタジアムは興奮の坩堝。F東京MF羽生直剛の絶妙ループをGK土肥が指先ではじけば歓声をあげ、「やられた」と凍りついたDF長友佑都のゴールがノーゴールの判定に胸をなでおろす。逆に、飯尾一慶のシュートや、やフリーで放ったDF服部のシュートが枠を捉えず落胆。攻守がめまぐるしく変わえり見応えのある、しかし1点が奪えないまま時間は確実に過ぎていった。
そして、3分間のロスタイムをほぼ消化。「最後まで諦めない」にも程がある時間帯に差しかかろうとしうていた時、冒頭の逆転劇が待っていた。いや、待っていたのではなく、選手達自らが作り出したドラマ。
ゴールとほぼ同時に試合終了のホイッスルが吹かれると、殊勲者の那須を中心にゴール前では抱擁の嵐。そして、選手達はライン際でボールの行く末を見守っていたディエゴのもとへと駆け寄り、折り重なっての抱擁。最後は、古巣対戦に毎試合闘志を燃やしながら叶わず、この試合に「チームで1番勝ちたいと思う」と皆が話していたGK土肥のもとへと走っていき、また抱擁が繰り返された。
同じスタジアムをホームとするチームに、今季既に3回も負けている。これだけでも充分に屈辱的なことだ。でもそれ以前に、東京Vは2003年4月に勝ってからはもう10試合もF東京に未勝利。「ダービー」と銘打たれたカードに心躍らせながらスタジアムへやってくるサポーターは、これまで幾度肩を落として帰路につく苦い経験を強いられたことか。
が、最高の喜びを味わえる逆転勝利で、順位も逆転(東京V10位、F東京11位:23日時点)。サポーター達も、クラブ関係者も、この劇的勝利の感想を率直に表す言葉は、GK土肥洋一の試合後のそれと同じだろう。これでようやく、「すっきりした!」。
以上
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