10月19日(日) 2008 J2リーグ戦 第40節
仙台 1 - 0 愛媛 (13:04/ユアスタ/13,118人)
得点者:13' 平瀬智行(仙台)
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愛媛を相手に5試合ぶりの勝利となった今節の90分が、仙台にとって、今季記録した16個の勝利の中で最も厳しい内容であったとは言い過ぎだろうか。しかし少なくとも、最も自分たちの思い通りに事が進まなかった勝ち試合であったことは確かだ。
だがともかく仙台は勝った。そして今はそれこそが、何をさておいて最も重要な成果であり、チームの評価をはかる唯一の指針なのである。美しく戦って、それで散っては仕方がない。足をふらつかせても、ピッチに這いつくばってでも、最後には左右のポストとクロスバーに祈ることしかできなくなっても、とにかく90分が終わった時に、勝点3という報酬を手にしている者こそが認められるのだ。
今日ユアスタにいた仙台側の人間は、自分たちが置かれている状況がいよいよ、そうした過度の緊張を強いるゾーンに入ったのだということを、終了のホイッスル後の弛緩と充足感によって、嫌でも認知させられたはずである。
今節に向けて進めてきた準備が全て無に帰していたかのごとく、立ち上がりから仙台は苦しんだ。ハーフウェイから前方の位置でボールをほとんど収めることができず、さらにミスがミスを呼び愛媛の強襲を呼び込んでしまう。高い位置でボールを奪った愛媛は、バイタルで受けて前を向いた内村が起点となり、自らドリブルからのシュート、左に張る江後(今日のピッチ上で最もボールの収まりが良かったのが、愛媛の左サイドにいる彼の部分であり、江後に入れば高い確率で愛媛のチャンスにつながった)への展開など、様々な形で仙台ゴールに迫ってくる。それに対して仙台のダブルボランチが下がれば、今度は愛媛のダブルボランチが仙台ゴール方面にせり上がり、高い位置でボールの中継所となって全方位からの仙台の包囲を強めるために働く。これまでの愛媛戦を考えれば苦戦もある程度覚悟できていたが、立ち上がりの内容において仙台は勝てなかったこれまで以上に厳しいものがあった。
しかしそんな仙台に、先制点がもたらされる。生み出したのは、手倉森誠監督が最後まで起用で悩みを見せた2つのポジションの選手だった。左サイドにいた関口訓充がボールを後ろに戻すと、受ける位置にいた磯崎敬太はよく前線を見ていた。ノートラップでゴール前に斜めのクロスを送ると、ボールはDFライン上でしかし守備陣の隙間にうまくポジションを取っていた平瀬智行へ。本人はヒーローインタビューにおいて「まぐれ」と語っていたが、平瀬の頭を経由したボールは右ポストに当たった後、反応して横に身を投げていたGK川北裕介の体に跳ね返って、ゴールマウスへと入っていった。詳細はプレビュー( /jsgoal_archive/jsgoal/detail.php?press_code=00072627 )をご覧いただくとして、この試合におけるキーとなっていた2人の選手によって、明らかに劣勢だった仙台はゴールを手にした。
とはいえ、このゴールがすぐに仙台を楽にさせるということはなかった。確かに、早い時間の失点でゲームプランが狂わせられた愛媛にも一瞬のほころびはあったのだが、それが収まるとゲームは再び愛媛のものに。パスミスやクリアミスといった仙台のドタバタも依然続き、何とか前半は1−0で終えてみたものの、シュート数は仙台の6に対し愛媛は10。どうにも流れは変わらない。
後半に入っても、仙台の苦しみに終わりは見えなかった。セットプレーさえ得られれば、前後半通じて2度の決定機を迎えた岡山一成や、殊勲のゴールを上げた平瀬に代わって後半の早い時間にピッチに投入された中原貴之などの高さが活きる場面も見られたが、それ以上に失点の憂いを仙台はぬぐうことができない。両サイドに渡って愛媛に押し込まれ、前線と中盤以下はほぼ分断されている。それゆえに、サイドの梁勇基か関口に渡ってカウンターへの期待が高まっても、そこでスピードを落とされたら次の一手が出ない。たまらず両ボランチが前へ押し上げようとするとそこでミスが起き、逆にボランチとDFラインの間へ愛媛の選手に入り込まれる悪循環。書いていてもぞっとしてしまうが、本当に仙台にとっては、それだけ苦しい試合だったのだ。
だが、運は仙台にあった。81分、愛媛が入れてきたロングボールが、岡山の後方にこぼれてしまう。抜け出したのは後半からピッチに入っていた田中俊也。直前に関口が鋭い突破から作ったチャンスの余韻が抜けていなかったユアスタが、田中が右足を振り抜いたのからワンテンポ遅れて凍り付く。
しかし、強烈な弾道は鈍い金属音とともに、ピッチ内に跳ね返される。前半、平瀬のヘッドを結果的にゴールマウスへと導いたポストだが、FWにとって右は天使なら左ポストは悪魔、そしてこの日の仙台にとっては最高に頼れる相棒だった。
3分と表示された後半ロスタイム。愛媛のFKから最後は仙台ゴール前で混戦状態となるが、ピンチを仙台は凌ぎ切る。その後にやってきたタイムアップの笛。決して格好の良い勝利ではないが、全ての苦労は、この勝点3で報われることになる。
そういえば手倉森監督は愛媛戦の前にこのようなことを語っていた。
「劇的だったり、『ズトーン』って感じのボールスピードのあるパワフルなゴールだったり、あり得ない勝利というのが、昇格をするチームには何度かあるもの」
残念ながら、ゴールに関してはラッキーの要素を何割か含んだ一発に終わった仙台。しかし内容、そして田中のポスト直撃などを踏まえれば、この試合も「あり得ない勝利」の1つには数えられないだろうか。少なくともこれまで昇格を逃し続けてきた中では、こういう試合で勝点を取りこぼしてきた幾度もの記憶が筆者にはある。
これは決して、タチの悪い皮肉でも何でもない。ゴールポストが発したあの乾いた音を、昇格の思い出話として何十年も語り次ぐことになったって、何ら恥ずかしいことではないのだ。
この勝利で、仙台は3位へと、再浮上を果たしている。
以上
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