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【第88回天皇杯4回戦 広島 vs 東京V】プレビュー:J2王者の現在の実力が、J1クラブにどこまで通じるか。興味深いポイント満載のゲーム(08.11.02)

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11月2日(日)第88回天皇杯4回戦 広島 vs 東京V(13:00KICK OFF/西が丘
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 1994年、ファーストステージの王者は広島。セカンドステージを制し、チャンピオンシップで広島を下して日本一に輝いたのは、東京V(当時V川崎)だった。役割を完璧に明確化した機能美を武器に組織の力で闘い抜いた広島と、各ポジションに日本代表選手を擁し、圧倒的な個人技と自由な発想に満ちたV川崎の闘いは、ラモス瑠偉(前東京V監督)のアーティステッィクなループシュートと共に、歴史に刻みこまれている。
 それから14年の歳月が流れ、広島も東京Vも苦難の道を歩いてきた。
 その後、広島は2度の降格を経験した。東京Vもまた、その後はリーグタイトルを獲得することなく、2005年にJ2降格という試練に直面し、J1復帰まで2年の歳月を要した。ステージ優勝クラブのJ2降格は広島が初めてならば、年間王者経験クラブの降格は東京Vが初めて。日本リーグ時代に4連覇の偉業を達成した東洋工業を前身に持つ広島と、1980年代から 90年代にかけて日本のサッカーシーンを引っ張ってきた東京Vがこの14年で歩いてきた道を表現するには、「諸行無常」という言葉が最もしっくりとくる。

 その両チームが、2005年以来3年ぶりに、公式戦で相見えることとなった。ただ、この両チームの置かれている立場は、対照的と言っていい。
 9月23日にJ1復帰を内定、28日にはJ2優勝も決定した広島にとって、今は天皇杯が最大の目標である。J2を席巻した広島のパスサッカーが、J1クラブを相手にどこまで通用するのか。「来季の闘いに向けて、少しでも多くJ1と闘いたい。そのためにも、天皇杯はとりにいく」と佐藤寿人が言えば、ペトロヴィッチ監督も「前回はファイナリストだった。今回は、その一歩先(=優勝)を目指したい」と意欲を燃やしている。

 一方の東京Vにとっては、J1残留が何と言っても最優先課題。9月以降の戦績が1勝2分4敗と伸びず、23節時点では自動降格圏の17位千葉と13ポイントをつけていたのに、現時点では17位磐田と3ポイント差。入れ替え戦圏である16位千葉とは2ポイントにまで、詰められている。状況は、非常に厳しい。
 ただ、昨年の広島もそうだったが、リーグ戦では重圧にさらされ、実力を発揮できなかったチームが、カップ戦ではその重圧から開放され、活き活きとピッチを駆け回るケースは多い。ここ最近の東京Vは「失点したくない」という想いが強く、ディフェンシブなゲームになる傾向が強かったが、天皇杯ではその意識がなくなり、攻撃的な闘いを展開する可能性もある。
 実際、柱谷哲二監督はリーグ戦で2試合連続出場停止となるディエゴを起用し、現時点でのベストメンバーで闘うと明言した。負傷者も、レアンドロこそ広島戦に間に合いそうにはないが、大黒将志はベンチ入りする可能性もある。土屋征夫の負傷は確かに痛いが、代わりに出場が予想される萩村滋則も経験のある選手。大きな痛手にはなるまい。
 また、チーム状態も、システムを調整した名古屋戦あたりから、右肩上がりになっている。福西崇史と菅原智をダブルボランチに起用した布陣が守備に安定感をもたらし、ディエゴをFWに起用したために前線で時間がつくれるようになった。得点こそ増えてはいないが、3試合で失点1という結果は、守備の修正がうまくいっている証明である。

 その「上向き」の東京Vに対し、広島はどう闘うか。
 「相手は確かに経験豊富だ。我々はその経験の差を運動量で補っていく」とペトロヴィッチ監督は言う。広島の華麗なパスサッカーは、個々の技術の高さだけでは成立しない。パス&ムーブを全員が激しく繰り返し、スペースをつくりながらパサーに選択肢を多く提供することで相手守備陣を混乱させるから、機能する。実際、その運動量が落ちた試合、たとえば第1クールでの岐阜戦や熊本戦、第3クールの甲府戦では、広島の良さを発揮できなかった。このことからも、広島の生命線が運動量であることは明らかだ。

 ディエゴというJ2にはいない破壊力を有するタレントは広島にとって脅威だが、パス・シュート・ゴールの全てがチームNo.1の数字を誇る彼を抑え込むことができれば、全員が起点となって走り回ることができる広島は、ペースをつかめるだろう。一方の東京Vは、若さの力を利して思い切って攻めてくる広島の選手たちを経験でいなし、その裏をつくことができれば、ディエゴを中心に強烈な攻めを見せることができるはず。
 J2王者の現在の実力が、J1クラブにどこまで通じるか。東京Vが広島を撃破し、上昇気流を本物とすることができるか。興味深いポイントが満載のこのゲーム、見逃す手はない。

以上

2008.11.01 Reported by 中野和也
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