11月9日(日) 2008 J2リーグ戦 第42節
徳島 0 - 3 山形 (13:04/鳴門大塚/2,942人)
得点者:2' 長谷川悠(山形)、33' 豊田陽平(山形)、53' 園田拓也(山形)
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プレビューに書いた2つの勝負ポイントがそのまま明暗を分けた一戦だったと言えるだろう。セットプレーでの守備と、サイドエリアの攻防─。徳島はそれらに十分な対応を見せられなかった結果として失点を重ね、ホームで敗れた。
試合開始からわずか2分、いきなり徳島はサイドを破られ先制点を奪われる。山形のSB宮本卓也に右サイド裏を取られペナルティエリアへの侵入を許すと、その宮本の折り返しをFW長谷川悠に押し込まれた。
このシーンを振り返れば確かに山形・馬場憂太の出したスペースへの長いスルーパスは素晴らしく、また宮本の飛び出しも非常にタイミングよかったが、徳島の左サイド守備があまりにあっけなかったことは否めない。加えてその守りに関して言うなら、左SBとして起用された挽地のポジショニングには疑問が残ると言わざるを得ないのではないか。まさかたった1本のパスであれほど簡単に決定的な形を作られようとは…。さらにその後も徳島はたびたび両サイドからヒヤリとさせられる。失点にこそならなかったが後半開始早々には目を覆うようなピンチもあり、明らかにサイドの攻防で優位を握れなかったことは徳島にとって苦戦の要因となっていた。
そして試合を決定付けられたと言っていい3失点目はまたしてもセットプレーから。しかも前々節、前節と同じCKであった。やられたのは警戒していた豊田陽平・レアンドロ・長谷川らの高さでなく、低い弾道のボールへ園田拓也に飛び込まれたものだったが、いずれにしてもセットプレーでの守備における脆さを再び露呈したのは事実と言えよう。DFリーダー西河翔吾が沈痛な表情で絞り出した「3点目のセットプレーはずっと言われていること。また繰り返してしまったということです」という言葉からはこの課題の根っこが想像以上に深いことが感じられた。
ただ、決してこの2つのポイントだけが徳島の敗因ではない。前節すでに最下位の決まってしまった徳島とJ1昇格へばく進中に山形の間には見過ごし難いモチベーションの差があったように思われる。またそれを背景にした山形の気迫溢れるパフォーマンスは特筆すべきで、中でも2トップの豊田、長谷川から始まる全員の連動した厳しいプレスに徳島は思うような組み立てをほとんど許してもらえなかった。
その上、徳島は個々の基本的な部分も大きな問題として浮き彫りに。試合後に美濃部監督も「当然相手の守備力は非常に強いものなのですが、そういう厳しく激しいプレッシャーの中でボールを止めるとか蹴るとか、基本的なベース技術の低さは痛感している」と語ったが、選手たちがマイボール時に自らミスを多発してしまっては攻撃の形にすら至らないのも必然だ。また2点目を献上してしまったGK島津の「あまり考えられないようなミス(美濃部監督)」については猛省が必要だろう。勢いよく飛び出していたとは言えほぼフリーの状態でのキャッチングをファンブルしては、単純にチームの背負うビハインドを広げてしまうだけでなく全体の集中力を削ぐことにまでも繋がってしまう。
徳島は44節に試合がないため残りはあと2試合。最下位という不名誉な順位がすでに決まっているとは言え、このような戦いを続けたままシーズンを終えてしまっては本当にマズい。今季に残ったものが苦しんだ記憶だけではどうしようもないだろう。だからこそ、今さらと言われようが選手たちはとにかくまず原点へ立ち戻り、自分たちのプレーに全精力を傾けなくてはならない。今季掲げたアグレッシブで攻撃的なサッカー、それを最後の2試合で何としても取り戻し見せてもらいたいと願う。
対して4連勝を飾った山形は、3位・仙台が今節引き分けたことによって勝点差がさらに広がりJ1自動昇格がいよいよ現実味を帯びてきた。小林監督は「順位が順位だけに更に集中して出来る楽しいシーズンになっているし、ここからは今までやっている通りに1試合1試合集中してやりその先に答えが出るというだけであって、答えを先に持つと危ないことになるので1試合1試合を大事にしていくということですね」と勝って兜の緒を締めたが、この一戦のプレーから考えれば山形がこのまま2位の座を確定させる可能性は限りなく大きいように思われる。悲願の瞬間へ、山形は確実に向かっている。
以上
2008.11.09 Reported by 松下英樹
J’s GOALニュース
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