11月9日(日) 2008 J1リーグ戦 第31節
鹿島 0 - 0 新潟 (16:04/カシマ/21,500人)
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今季も優勝争いは最終節までもつれるのだろうか。優勝争いのライバルである名古屋や川崎Fが敗れ、大混戦から一歩抜け出すチャンス。しかし、鹿島はその絶好機を逃してしまった。逆に新潟は大奮闘。守備意識が非常に高く、FWの矢野貴章までもが献身的にボールを追い鹿島から自由を奪った。両チームが得たのはともに勝点1だったが、その重みは全く違う結果となった。
試合は開始早々、時計が1分を指す前に両チームとも決定機を迎える。左サイドから興梠慎三の上げたセンタリングが新潟DFの対応ミスもありゴール前のマルキーニョスの前に落ちた。ワンバウンドした浮き球をジャンプしながらシュートするも、ゴール枠上に外れてしまう。新潟もすぐさま反撃。3節振りの出場となったマルシオ・リシャルデスが右サイドからゴール前にパスを送る。走り込んだ矢野がボレーで合わせるも、このシュートも枠を外れた。
慌ただしい展開で始まった試合で先にペースを掴んだのは鹿島だった。リーグ戦・天皇杯と、ここ2試合、影を潜めていた前線からのプレスが復活。チーム全体の激しいプレスで新潟の選手たちをサイドに追い込む。ライン際で相手選手を2〜3人で囲むと次々とボールを奪った。7分には、敵陣で奪ったボールをマルキーニョスがポストをかすめるミドルシュート。9分には本山とのワンツーパスで中央を駆けあがったダニーロが強烈なロングシュートを放つ。11分には、興梠慎三が左サイドで2人のディフェンスの間をドリブルで一気に突破。ペナルティエリア内からマのイナス方向へのパスは、走り込んだ本山雅志の背後に転がってしまいシュートには至らない。さらに13分には、右サイドを内田篤人が駆けあがりゴール前にふわりとしたセンタリング。こぼれ球をマルキーニョスが左足でシュートするも、新潟GKの北野貴之がはじき出す。この時間帯は鹿島の攻撃陣が猛威をふるった。
攻撃を支えたのは鹿島の素晴らしい守備。激しいフォアチェックでパスコースを限定。ボールを受けに下がる矢野やアレッサンドロを伊野波雅彦や岩政大樹が封じ、新潟を自陣から出させなかった。しかし、ハイペースの守備も15分あたりで一息つく。すると新潟のFWにボールが収まるようになった。16分には素早いカウンターを仕掛け、アレッサンドロからDFラインの裏へ抜け出そうとする矢野にスルーパスが出る。意図とタイミングが合わずカウンターは失敗したものの、これを機に新潟の守備も落ち着きが持てるようになる。
「立ち上がりはやはり鹿島さんの方がボール回し・攻守の切り替えが非常に早くて戸惑う場面があったんですけど、前半の中ぐらいからDFラインも落ち着いて、ゲームのテンポも慣れて守備もリズムが出て来たかなと思います」
新潟の鈴木淳監督は、序盤の鹿島の猛攻をしのいだことでリズムを掴めたと述べた。
新潟がやろうとしていたのは「しっかり守って速い攻撃を仕掛けるというゲームプラン」(鈴木監督)。右サイドバックの内田潤もそのコンセプトに従い、攻撃を仕掛けるチャンスを狙っていた。
「少し落ち着けばサイドで2対1を作れる局面が必ず出てくるから、そのときは思い切って2対1をつくってクロスからチャンスをつくっていこうということが、事前に狙いとしてあった」
これ以降、新潟はボールを取られたら自陣には引くもののMFやFWはアグレッシブな姿勢でボールを追いかけてカウンターを狙う。ホームの鹿島はその守備をどう切り崩すのか、という構図が出来上がった。これが試合終了まで続くことになる。
これまで、鹿島はそうした相手に対してもパスワークでサイドから切り崩してきた。今、その連動性はチームから失われている。最終ラインから味方の攻撃を見つめる岩政大樹は言う。
「もっともらってパス、もらってパス、動いてパスというテンポをつくっていかないと、最終的なところで崩していくのは難しい」
組み立ての中心だった小笠原満男がいなくなったことも大きく影響しているのだろう。ボールを支配しているのは鹿島なのだがチャンスとなるシーンは少なかった。33分には新井場がドリブルからそのままミドルシュート。58分、右CKから岩政がヘディングシュート。ゴールを捉えていたものの、シュートコースにいた矢野がこれを体で弾く。77分にはダニーロからDFラインの裏に抜け出した興梠に浮き球のスルーパスが出る。GKと1対1の絶好機を迎え右足アウトで放ったシュートを北野が左手1本でセーブ。この試合最大の決定機を決めきれなかった。80分あたりからは中盤に広大なスペースができ、お互いにゴール前に迫るも決めきれない。鹿島は、ロスタイムにゴール左から新井場。さらにゴール右から交代出場した増田誓志がシュートを放つもいずれも枠を外れて万事休す。新潟の6本の倍以上となる14本のシュートを放つも、ゴールを奪えずに試合を終えた。
新潟としては、粘り強く守備をしてカウンターから決定機をつくった。やはりマルシオ・リシャルデスからのパスがつながったときはビッグチャンスが生まれる。首位を相手にアウェイで勝点1を奪えたことは残留に向けて大きな前進と言えるだろう。
対する鹿島にとっては厳しい結果となった。前線からのプレスは機能したものの、自陣でガッチリ守られると途端に攻め手が少なくなってしまう。決定機を決めきれなかったことも引き分けてしまった原因だが、パス回しで引いた相手を崩すことが出来ないのも痛かった。とはいえ、未だに首位であることに変わりはない。プレスが再び機能したことをプラス材料と考え、次の大分トリニータとの大一番に期待したい。
以上
2008.11.10 Reported by 田中滋
J’s GOALニュース
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