今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J1・J2入れ替え戦 磐田 vs 仙台】磐田サイドレポート:救世主・松浦の大活躍と我慢強い試合運びで磐田が辛勝。最後まで身体を張って、何とかJ1残留を確定させた。(08.12.14)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
12月13日(土) 2008 J1・J2入れ替え戦
磐田 2 - 1 仙台 (16:04/ヤマハ/16,693人)
得点者:41' 松浦拓弥(磐田)、70' 松浦拓弥(磐田)、89' 梁勇基(仙台)
----------
☆仙台サイドレポートはこちら

 磐田の救世主は、まだ表情にも話し方にもあどけなさを残す19歳の男だった。彼の名は松浦拓弥。166cm、62kgと身体は小さいが、この入れ替え戦2試合では、日本中に「とんでもない選手が現われた」と思わせるほどの鮮烈なパフォーマンスを見せた。

 ただし、チーム対チームという意味では、決してJ1の磐田がJ2の仙台を圧倒していたわけではない。どちらも第1戦と同じスタメンで臨んだ磐田ホームの第2戦でも、前半30分までは仙台のペースで試合が進んでいた。何としても先制点が欲しい仙台は、立ち上がりから出足と勢いで上回り、前線からの厳しいプレッシャーで磐田に落ち着いてパスを回す余裕を与えない。磐田のほうは「(チーム全体として)少し硬かったと思う。ボールを全然つなげなかった」(岡田隆)ということもあり、仙台の攻撃に耐える形になって、どちらがホームチームかわからないような展開が続いた。
 そんな中で、24分に仙台が左からの速い攻めでクロスを入れると、ニアサイドの選手がスルーしてフリーのナジソンに通る。これは本当に決定的な場面だったが、ナジソンがシュートをふかしてしまう。「押していた前半30分までの間にどうしても点が取りたかった」と仙台のボランチ・斉藤大介が振り返ったが、このチャンスが決まっていれば、試合展開はまったく別のものになっていただろう。

 逆に磐田にとっては、自分たちのリズムがなかなか作れない時間帯を「押されるのは想定内だったので、そこは我慢しようと思っていた」(茶野隆行)と耐えきったのが大きかった。30分を過ぎた頃からは、立ち上がりから飛ばしてきた仙台の選手たちの動きが鈍り、プレッシャーが弱くなってきた中で磐田がポゼッションして押し込めるようになり始めた。
 そして41分、松浦がこの試合一つ目の大仕事を見せる。磐田が仙台陣内に押し込んだ中で、一度は相手に渡ったボールを松浦がバイタルエリアで奪い返し、そのままドリブルで2人、3人とかわして左にはたく。それを受けた前田遼一が左足でクロスを入れると、そのままニアサイドに走り込んでいた松浦が、胸でコースを変えてGKの上を抜くループシュートをゴール右に決めた。まさに自作自演。松浦本人が「もう1回やれと言われても絶対できない」と振り返ったように、ゴールは狙ったもののシュートコースにはラッキーな面もあった。だが、その前のボール奪取、ドリブル、そしてゴール前への飛び込みは、ベンチで見ていた名波浩も絶賛するものだった。
 いずれにしても磐田にとっては、苦しい時間帯に耐え、狙い通りに流れを自分たちの側に取り戻してきたところだっただけに、本当に大きな価値のある先制点だった。

 後半に入ると、磐田が前半の流れをそのまま維持して、立ち上がりから自分たちのペースで試合を進めた。ときおりミスから速攻を食らうが、それも守備陣がしのぎ、仙台が早めの交代策で反撃を狙う中でも、主導権を渡すことはなかった。
 だが、24分に梁勇基の左FKの場面で、後半から入っていた平瀬智行がヘッド。これがループ気味のシュートになってゴールマウスをとらえたが、GK川口能活が素早く後方にジャンプして指先で弾き出す。この日2つめの大ピンチを、守護神のスーパーセーブが救った。
 そして、その後の仙台のCKを駒野友一が大きくクリアすると、それが前線にただ1人残っていた松浦に通る。そこからは松浦が得意のドリブルで単独のカウンターを仕掛け、2度3度のフェイントで対面のDFを翻弄して抜き去り、GKとの1対1からチップキックで2点目をゲットした(25分)。シュートに至るまでの短い時間に松浦は、左からカバーに入ったもう1人のDFの動きを確認し、対面の相手がフェイントに対して背を向けた瞬間を見逃さず、カバーの選手とは逆側に持ち出してきれいに抜ききるという芸当を見せ、シュートの場面でもしっかりとGKの動きを見極めてチップキックを選択した。

 その後、29分にも松浦が右サイドで1人ぶち抜いてクロスを入れ、ニアの前田がゴールに押し込んだが、その前にファウルがあったとして主審がゴールを取り消し、3点目はならず。それでも、磐田はラインを下げることなく、バランスを保って攻めながら時間を使うという試合運びを見せた。
 しかし、さすがに残り時間が少なくなると、仙台の必死の反撃に押し込まれる場面も多くなってくる。そして4分と表示されたアディショナルタイムが1分を経過した頃、ペナルティエリア手前でFKを与えてしまい、梁に素晴らしいシュートを決められて2-1とされてしまった。

 これで、仙台があと1点取れば奇跡の大逆転勝利が実現する。当然、仙台の選手たちは、残り2分もない状況ながら、炎のように熱く攻め立てた。磐田のほうは前線でボールをキープしようとしたが、逆にあっさりと奪われ、本来はしっかりバランスを整えて守らなければいけない中盤がスカスカだったところに、磐田の余裕の無さが表われてた。そのため、仙台にやすやすと右サイドを深くえぐられクロスが入る。それに対して、この日はクロスに対して良い反応の見せていた川口が飛び出してこれをパンチング。しかし、このクリアが小さくなって、仙台の選手に渡り、その後は混戦となった中で3度シュートを打たれたが、すべて守備陣が身体を投げ出してブロック。最後はCKに逃れて、絶体絶命のピンチを気迫と執念で免れた。

 そして、その後の左CKをニアサイドで大きく跳ね返したところで、ついにタイムアップの笛。最後は薄氷を踏むような2-1の勝利で、磐田がようやく来季のJ1残留を決めた。ただ、選手たちは心からホッとした表情を見せたが、大きな歓喜はなかった。今季の最後の最後で良い試合を見せたことは収穫だが、それも今季貯めてきたツケを最低限返しただけ。「もうこういうシーズンはイヤなので、来年は良いサッカーができるようにしたい」(村井慎二)というのは、チームメイトだけでなくサポーターにも共通する願いだ。
 もちろん、リーグ最終節の大宮戦あたりから「和製メッシ」とでも言いたくなるようなキレを見せた松浦にも、来季はさらに成長した姿を見せてほしい。

以上
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着