3月11日(水) AFCチャンピオンズリーグ
川崎F 1 - 0 天津 (19:00/等々力/12,125人)
得点者:16' レナチーニョ(川崎F)
ホームチケット情報 | 決勝戦は11月7日(土)に国立競技場で開催!
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さすがに監督が「参加することに意義がある」と臆面もなく会見で口にするチームには負けられないと、そんな気持ちになっていた。ただ、その一方でそうやって「勝つことが当たり前」という心持ちで試合に入っていい結果が出たためしもなかった。2年前に初めて臨んだACLのホーム初戦。バンコク大学を相手にした試合は「勝たなければ」というよりも「勝つのは当然で、何点差をつけるのか」といった話題が飛び交うくらいにゆるんだ空気の中での試合だった。そのバンコク大学に思わぬ先制点を許した川崎Fは、苦しんだ末に1-1で引き分け。あのバンコク大学戦の轍を踏まないためにどうするのか。そうした過去の経験をふまえた中で、試合の入り方と、運び方の両方に注目していた。
アウェイで戦う天津は、立ち上がりの時間帯は引き気味に試合を始めていた。その守備陣形は、攻めあぐねさせられた開幕戦の柏を連想させるものがあった。ただ、川崎Fは柏戦をふまえた修正を施していた。監督会見で関塚隆監督は柏戦では中央からの攻めが多かったことを引き合いに出し「しっかり幅を持った攻撃」を心がけていたのだと明かしている。実際、この試合では両サイドバックが攻め上がる場面が頻繁に見られるようになっており、一度中でためたボールをサイドに散らす、という形が何度となく作られていた。また個人的に問題だったと考えていた中村憲剛と谷口博之のボランチの関係も改善されており、谷口がより守備的なポジションを取ることで中村の攻め上がる場面が増えるようになっていた。開幕の柏戦で露呈した問題点の一つは、連動性だったと考えているのだが、それについては修正ができていたと見ていいだろう。
守備に専念する天津に対し、川崎Fはボール支配率を高めながら対抗する。時に中から。そして時に幅を持った攻撃で相手を揺さぶると、16分に先制点が生まれる。ポジションを前に取り、積極的にリスクを取って攻撃に絡んでいた中村からのパスを受けたヴィトールがライン際でクロス。これをレナチーニョがヘディングで流し込んだ。「人生で初めてだった」というヘディングによるゴールで川崎Fは幸先良く先制する。
と、ここまでは悪くない展開だったのだが「追加点も取れそうだ」との期待は、徐々にしぼんでいくことになる。これは前後半を通してのものだったのだが、ゴール前にまで持ち込むプレーに関してはスピード感のある素晴らしいものになっていた。ただし、それをシュートにまで結びつけるその精度がまだまだ足りていないのである。特に、今の川崎F は対戦相手から警戒される立場のチームとなっている。それだけにゴール前でのスペースは極限まで削り取られるのが確実になっている。またこの試合では、先発フル出場したトンマージを中心としたゴール前での守備に固さがあった。ただ、そうした中でもタイトルを目指す立場のチームとしてはゴールして勝たなければならず、そのためにプレーの精度を上げていかなければならないのである。その点について関塚監督は「勝負どころでのコンビネーションはもっと高めていかないといけないと思います」と率直に答えていた。
試合に慣れてきた天津は、場面によって川崎Fを押し込む試合展開を作り出す。特にそれが顕著に出ていたのが後半の戦いだった。彼らは臆することなく前に出て行き、川崎Fに対して厳しいプレスを仕掛け、高い位置でボールを奪おうとしていた。昨季の中国リーグ得点王であるルイスを中心に、アジア枠のブリッジや王といった選手たちが、豊富な運動量で川崎Fの選手を囲い込んでいく。もし力が劣っているアウェイのチームであるならば、そうした戦いは挑むことはないだろう。だからこそ、前から取りに来たことを考えれば、彼らの力はまだまだ底が深いと考えていいのだろうと思う。ちなみに天津の左樹声監督は「ホームに帰って迎え撃つときには必ず勝つように頑張りたいと思います。特にホームに戻るとスピードが速くなる。勝算はあると思います」と話してホームで雪辱すべく意気込みを口にしていた。
天津のプレスは厳しいものがあったが、川崎Fもその点では試合巧者である。巧みにパスをつなぎプレスを無力化させて、高く押し上げたラインの裏を狙う場面が増えていった。カウンターにしても、サイド攻撃にしても、中央突破にしても、川崎Fはある程度の形を作り続けてはいた。ただ、それを1度しかゴールに結びつけられなかったという点で物足りなさが残る試合でもあった。リーグ戦を1位で通過することの意味は大きく、そのためには天津の気持ちを削ぐという点でも、他チームへのメッセージになるということを含めても、さらなる得点を期待したかった。要するに1点では物足りないということなのだが、その一方で勝点3を積み上げた事実は評価すべきだろうとも思う。JリーグからACLに出場している他の鹿島、名古屋、G大阪の3クラブと川崎Fとの違いは、監督が交代している点にある。もちろん関塚監督の就任による影響は最小限にとどまってはいる。ただ、それにしても関塚スタイルの構築にはもうしばらくの時間が必要になるだろう。そうしたクラブ事情を考えれば、勝点3を手にすることができたこの事実は悪いものではなかったと思う。
まだまだ足りていないところはあるし、もちろん満足したらそれでプロは終わりということもある。そうした中でのこの勝利を、しっかりと次につなげてほしいと思う。
以上
2009.03.12 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
一覧へ【AFCチャンピオンズリーグ 川崎F vs 天津】レポート:手堅い内容で今季初勝利。グループリーグ突破に向けて勝点3を手にする(09.03.12)
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