3月14日（土）J1 第2節 浦和 vs Ｆ東京（14:00KICK OFF/埼玉）
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2009シーズン、浦和のホーム初戦がいよいよ幕を開ける。対するはＦ東京。ともに第１節の試合を落としており、連敗だけは避けたい状況なだけに、両サポーターから注がれる視線はより厳しいものとなるはずだ。“パスサッカー”を標榜する両者のガチンコ対決で、果たして浦和は変革への青写真を示すことができるのか。この試合の結果によって浦和の進む道が変わることはないだろうが、新指揮官フィンケ流サッカーのお披露目としては、今季最大の見せ場になると言っていいだろう。

６年ぶりの無冠という昨季の結果を受け、ドイツの名将フィンケ新監督を迎えて改革を推し進めている浦和。今季開幕戦となったアウェイでの鹿島戦では、中盤でテンポのいいパス交換が行なわれるなど、早速変化の兆しを見せてくれた。ゴール前での迫力を欠き、攻守の切り換えの遅さも目立って結果は０対２の敗戦となったが、シュート数では13本と鹿島（同10本）を上回った。カウンターに焦点を当ててきた相手とのシュート数の比較にさほど大きな意味はないが、少なくとも２連覇中の王者相手にシュートを放つところまで持ち込めているという事実が、新チームにとっての一定の収穫となることは間違いない。

そんな浦和にあって、まばゆい輝きを放ったのが17歳の原口元気だ。デビュー戦後にも関わらず、「緊張もしていなければ、特に思い入れがあったわけでもなかったので、いつも通り。（よかった点は）ボールを取られなかったこと」というふてぶてしいほどのコメントがなんとも頼もしさを感じさせるが、実際にプレー面でも左サイドから攻撃の起点となってチームをリード。豊富な運動量と仕掛けの鋭さといい、バイエルンのフランス代表MFリベリーを髣髴とさせるようなプレーぶりは圧巻だった。チームを勝利に導くほどの影響力を持つまでには至っていないが、一戦一戦の積み重ねで期待値の幅は一層広がっていくことだろう。

開幕前からチームの変化には時間がかかることを明言してきたフィンケ監督だが、今後チームを引っ張ることが期待されるポンテや高原直泰の体調は依然として途上段階。早々の戦線復帰を目指す三都主アレサンドロや梅崎司という“追加戦力”を考えても、序盤戦を乗り切ることさえできれば浦和の進む先には大きな道が開けてくるはずである。今後の加速という意味では、このＦ東京戦での勝利こそがブースターの役割を果たすことになりそうだ。

一方、さいたまスタジアムに乗り込むそのＦ東京は、ホームでの開幕戦で新潟に１対４とまさかの完敗を喫した。優勝争いも期待される首都チームは、いきなり冷や水を浴びせられた格好だが、相性の悪い浦和相手の勝利で改めて弾みを付けたいところ。目指すサッカーという部分では、昨季に積み上げた経験値で浦和を上回るだけに、がっぷり四つに組む相手を寄り切れるかが注目される。特にボール回しの起点となることが予想される梶山陽平が、浦和MF阿部勇樹とのゲームメイク争いを制することができるかは、この試合の見どころのひとつになるだろう。

王座奪還の序章。屈辱のシーズンを終え、忘れかけた歓喜の瞬間を味わうべく、浦和は再び険しい道を歩み始めた。選手たちが何よりも安心を覚える、赤熱の空間広がる“ホーム”で記す第一歩。スタートダッシュこそ飾れなかったものの、着実なる前進に向け、新生浦和はこの場所からリスタートを図る。

以上