3月14日（土）J1 第2節 山形 vs 名古屋（16:00KICK OFF/ＮＤスタ）
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昇格したばかりのチームがホーム開幕戦を首位で迎えることになると、誰が想像し得ただろうか。

山形は記念すべきＪ１初の開幕戦をヤマハスタジアム（磐田）で戦い、磐田を６−２でねじ伏せた。前半は新加入でスタメンの座を射止めたキムビョンスクと古橋達弥がゴールを決め、後半は長谷川悠、北村知隆、レオナルド、ロスタイムにもう一度長谷川と、サポーターの目の前で怒濤の４ゴール。ジウシーニョに２ゴールを許したが、得失点差＋４で堂々の首位発進となった。

動きの質が高い古橋の加入は裏で確実に起点をつくることにつながり、秋葉勝や佐藤健太郎の成長でボランチを使ったポゼッションも精度が上がった。昨シーズン、Ｊ１昇格を果たした主力メンバーがほぼ残ったが、最大の特長である堅守をベースに、ボールを確実につなぐ精度などチーム全体の機能が向上した。後半のゴールラッシュを生んだ、前がかる相手のスペースを突いて追加点を奪う展開は、昨シーズン何度も経験している得意のパターン。登録されたメンバー中９人がＪ１未経験という壁を前に、普段どおりの力を出し切れたことが、この試合最大の収穫だった。

そして、１月27日以来、３次にわたる長いキャンプ生活を打ち上げ、生活の拠点である山形にようやく戻れたことで、精神的に落ち着いた状態でトレーニングに集中できることになる。今週は降雪でグラウンドが十分に使えず予定のメニューを消化しきれなかったり、車で１時間ほどかけて県外に移動しての練習を強いられるなどアクシデントはあったが、新たな離脱者もなく、Ｊ１初のホーム戦に向け順調に迎撃態勢を整えている。

山形とは逆に、ストイコビッチ監督が２年目の指揮を執る名古屋はあわただしい１週間を過ごした。開幕戦では昨シーズン、ともに躍進の象徴となった大分とホームで対戦。ダヴィと玉田圭司の２トップの３得点で３−２と下したあと、韓国に渡る。中２日で臨んだ蔚山現代とのＡＣＬデビュー戦を３−１と勝利で飾り、いったん戻った名古屋から山形に乗り込んでくる。８日間で３試合目、しかもアウェイ連戦とハンディを抱えているが、計６得点で２連勝とチームには勢いがある。

昨シーズンのサイド攻撃偏重から、今シーズンは前線にボディコンタクトに強いダヴィを獲得。スピードのある玉田圭司とともに中央で個がゴールを狙う選択肢を手に入れた。力強い試合ぶりには、上位チームの風格が漂っている。一方、ディフェンスラインは田中隼磨の獲得で強化されたが、負傷者が相次いでいる。阿部翔平の負傷で開幕戦の左サイドバックには竹内彬が入り、その竹内も蔚山戦はベンチで見守り、代わって佐藤将也が出場。さらにＣＢバヤリッツァが負傷で蔚山戦には吉田麻也が出場と、メンバーが固定できていない。ただ、蔚山戦で吉田がゴールを決めるなどそれぞれが役割を果たし、チーム自体も結果が出ていれば、それはむしろプラスの経験となる。

攻撃的な名古屋がゴールを破るか、守備の堅さで山形が守りきるか、その鍔迫り合いがゲームの大きな見どころ。サイドチェンジで揺さぶりをかけたり、突破を図るなどボールを素早く動かすことで局面を打開したい名古屋に対し、山形は数的優位をつくらせない粘り強い守備で対抗する。山形は名古屋のパススピードに早めに慣れ、相手に攻めさせてカウンター気味に仕掛けたいが、一方の名古屋も大分戦、蔚山戦とギアチェンジは後半だ。連戦の疲労やアウェイということを考えると、ここ２戦と同じスロースタートになる可能性も高い。リーグ戦で初対戦の相手であることや、雨が予想されている気象条件も微妙な影響を与えそうだ。そのなかで、セットプレーが両チームにとって貴重な得点源であることは間違いない。山形は磐田戦でリスタートから２アシストを記録した石川竜也に加え、古橋や宮沢克行などキッカーがそろっているが、名古屋も蔚山戦でセットプレーから３得点を挙げている。

前評判を覆した山形と、前評判どおりの強さを見せている名古屋。公式戦での対戦は98年の天皇杯4回戦以来となる。勝者同士が紡ぐ試合が記憶に残る名勝負であってほしいと、舞台となるＮＤスタは願っている。

以上

2009.03.13 Reported by 佐藤円